明智くんと織田くんたち
六人がお弁当を食べ終えても、お昼休みは、まだ十五分以上も残っていて、あたしたちは引き続き、おしゃべりタイムを堪能しているのだった。
でもここに、織田くんと彼の家臣たち、そして松平くんもやってくる。
「おいコラッお前ら、《ピクニックごっこ》は楽しいか?」
「あのねえ織田くん、あたしらのランチ・タイムは、《ピクニックごっこ》じゃないわ。これは《ピクニックそのもの》なの。あんた、分かるかしら?」
「教室の中でピクニックだと? そんな屁理屈、分かるかーっ!」
「であるか。是非もなし。おほほ」
「俺様のセリフを無断で使うなーっ!」
「あはは、ごめんごめん。あ、それより、なんの用かしら?」
「別に大した用じゃねえ。ポンカンがムカつくから、懲らしめにきたんだ」
あたしは、最近になって気がついたことがあるのだけど、それを織田くんに教えてあげることにする。
「あんたって、ホントは光男さんの実力、認めてるのでしょ?」
「あ、なんで俺様が明智のことなんか、認めなきゃなんねえんだ!」
「織田くんは、気力、体力、腕力、背の高さなら、このクラスで一番かもしれないけど、知力と知識力に関して、光男さんにはテンで敵わない。織田くんが持っていない凄い能力を持つ、この明智光男さんのことを、あんたは心の底では認めているのよ。おそれてもいるのよ。だからいつもいつも、彼に突っ掛かってくるのよ。あたしの推理、どうよ?」
「ふん」
「なにが《ふん》よ、織田くん」
「俺様はな、そんなことを話し合いに、わざわざきてやったんじゃねえ。明後日がなんの日か、浅井でも知ってるだろが」
「明後日? そうねえ、真っ先に思い浮かぶのは、クリスマス・イブだわ」
「そうだ。それでな、お前らは、予定をもう決めてるのか!」
ええっ、どういうこと?? 織田くん、あたしたちを誘いにきたのかしら?
ここに明智くんが割って入る。
「実はね、僕の家でパーティーをやろうと思っているのさ」
「なんだとぉ光男! お前の家って、仏教の寺じゃねえのかっ!!」
「仏教でも耶蘇教でも回教でも、楽しいパーティーというのは、楽しいものなんだよ、織田くん」
「なっ、ポンカンの癖に悟ってやがる……」
「そうかなあ」
「是非もなし! この俺様も、お前が主催しようという、そのパーティーに参加してやるぞ。なあ共康?」
「そうだな、俺も参加させて貰うぜ。楽しみだ」
「おれっちも、おれっちも!」
「オレもな」
「まあ大福様! わたくしも参加させて頂きますわ。ええ是非もなく、大福様ともども、今後も神のご加護があらんことを願いまして。おほほ」
こうして、明智くんのお家で、クリスマス・パーティーが開催されることに決まったわ。もちろん、あたしとトシヨンも参加するわよ。
とてもいいパーティーになりそうね。ふふふ。