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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
図書館のミステリー
62/72

明智くんの証言

 ここは、彼の彼女として優しく声を掛けてあげて、バッチリ対応しなきゃね。


「光男さん、どうしたの? もしかして風邪? 保健室行く?」

「いや大丈夫だよ、ありがと。実はね、あ、他の皆も聞いて欲しい」

「あ、なんだポンカン! お前、言いたいことがあるなら、今日だけは特別に言わせてやろうじぇねえか」


 織田くん、いちいち偉そうよ。でも今それを指摘をすると、余計に話がこじれちゃうから、黙っておくけどね。


「松平くんのご両親は温泉旅行中なんだよ。そのことを一昨日、彼から直接聞いたんだ。なんでも、彼は商店街の福引きで一等賞を当てたそうだよ。その賞品として得ることのできた、《ペアで熱海温泉旅行に二泊三日ご招待》を、ご両親にプレゼントしたのだって。丁度、結婚記念日だということもあってね」


 へえ~、福引きで一等賞だなんて、松平くんもラッキーな男だね。まるで「棚から天下餅てんかもち」みたいな感じよ。

 兎も角、明智くんの証言は百パーセント信憑性があって、黒田くんたちの証言の裏づけとして、百二十パーセント有力な情報よ。


「そうか、それなら共康の家が留守なのは合点がてんがいくなあ。おい佐久さくやん、もう一回共康のスマホに連絡入れてみろ」

合点かってん承知、電話のすけ


 佐久間盛信さくまもりのぶくんが、そんな風におどけたことを言いながら、携帯電話を使って松平くんに掛ける。

 十数秒待っても、佐久間くんはしゃべらない。つまり相手が出ないってこと。


信仲のぶなか様、共康のやつ電話に出んわ」

「であるか。是非もなしだ」


 このコンビも、なかなか妙に滑稽なのよね。まるで、お屋形やかた様と、その家臣みたいな感じでね。ふふ。

 そして、ここであたしはピンときた。


「分かったわ。松平くんは親が不在だから、寝坊してるのよ」

「うん。可能性として十分にあり得ると、僕も思うよ」


 あ、明智くんがあたしの推理に賛同してくれた。これは心強いこと。


「だがなあ明智、お前、昨日付属図書館であった怪現象について知ってるのか?」

「え、織田くん、それはどういうこと?」

「ははは、光男、まだ浅井からも知らされてないのか。お前ら破局が近いな」

「織田くん黙ってよ。光男さんには、彼女である、このあたしから話す」

「ふん。イチャついてんじぇねえぞ、ボケナスども!」


 あたしは、織田くんの暴言を無視して、昨日の夕方に起きた、あの奇妙な事件について説明した。

 周囲にいる男子たちも、茶茶ちゃちゃを入れず黙って聞いてくれた。


「そんなことがあったんだね」

「うん。どうせ松平くんたちのイタズラだと思ったから、光男さんには伝えるまでもないかなって思ったの。ごめんなさいね」

「いや別にいいよ。茶子さんが謝る必要はないから」


 少ししてチャイムが鳴り、朝のショート・ホームルームが始まるのだった。

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