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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
北琵琶学園祭殺人事件
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中等部の学園祭開催!

 今の時期、全国的に学園祭シーズンなのかもしれない。

 私立校、あたしたちの北琵琶学園は、部活動にはあまり力を入れていないけど、その代わり学園行事には滅法パワーを注いでいる。その中で最たる行事が学園祭という訳なの。

 先週は、初等部の学芸会と運動会があったし、今日から四日間、中等部の学園祭が開催中だよ!

 そして来週は、高等部が渾身の力を込めてやる「北琵琶高等部祭」がある。


 お祭り好きの十吉なんか、フルパワー全開モードで浮かれちゃって、その勢いが暴走して、ついさっき、玉紗さんに告白しちゃったわ。「おれっち、細川さんを、超ラブってるぴょ! おれっちと結婚を前提に、つき合ってくれおー!!」なんて叫んでね。

 北琵琶学園中等部一のお嬢様、玉紗さんは真田大福くんにお熱だから、十吉なんて、その辺に転がっている石ころ同然と思っているに違いないわ。

 玉紗さん、「ごめんなさいね、羽柴さん。わたくし大福様に、この身も心も生涯捧げると、お誓いしておりますゆえ。ほほほ」と軽くあしらったもの。


 傷心の十吉を連れて、あたしとトシヨンと明智くん、総勢四名で、模擬店を見て回ることにした。ホントは、トシヨンのために大福くんも誘いたかったのだけど、彼には先約があってね、それは叶わなかった。

 でもトシヨン、日曜の夕方、あなたの手を大福くんの手に重ねてあげるから。一緒にダンスをさせてあげようと、オチャコが作戦を練っているのだからねっ!


「さあて、なにを食べようか?」

「おれっち、タコ焼が食べたいぴょ!」

「まあ十吉、失恋しても食欲はあるのね?」

「ラブとメシは、別腹だぴょん!」

「へえ~、十吉にしては、まともな考え方ね」


 兎に角、三年梅組がやっている、タコ焼き屋さんの前にやってきた。

 織田くんの姿がある。なにか怒鳴っているわ。


「おいコラッ、タコ焼屋! これタコが入ってねえじゃねえかっ!」

「まあまあ織田くん、落ちつきなって。上級生に突っかかったらダメでしょ」

「おう浅井か、聞け! 俺様が買ったタコ焼の最後の一個だけに、タコが入ってなかったんだ。ボッタクられたぜ、まったくよぉ!」

「あんた、やっぱりクレームをつけるチンピラ風の客の方がよかったわね?」

「黙れ、明後日、お前を刺してやるからな。覚悟しておけ!」


 知らない人が聞いたら物騒なことだけど、それは劇中でのことよ。

 先日、劇の順番はクジ引きで決めてあるの。梅組は、このあたしが引くことになっていたから、「推理の神様、推理の神様、どうかよい順番をオチャコたちにお与え下さい。今度お礼はしますよ、絶対しますよ」と心の中で祈りながら引き、望んでいた午後一回目の出番になったわ。

 午後一というと、お昼を食べた後の人が多いだろうし、退屈な劇をやると大失敗になるし、その逆に、ハッと目を醒まさせるような衝撃インパクトの大きい演出なら大成功間違いなし、あたしたちはそう考えているのよ。

 なにしろ、殺人事件の劇の最中に別の殺人事件が起こるのだから、その驚きは計りしれないはずだもの。へへへ。

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