劇の制限と登場人物
わざわざ教室まで足を運んでくれた足利先生に百二十を示し、その結果、百を承認して貰えた。松平くんの戦略が見事に功を奏したってことね。
課された制限は、まず白いスーツ姿の覆面男が観客席から舞台へ飛び込んでくるのはNGで、ちゃんと決められたスペースのどこかから登場するように変更。そうなると、舞台下と観客席までの間に用意される劇用のスペースから飛び込むのが、一番効果的ということになる。
それと、血糊袋の使用は必要最低限の量にして、舞台にシートを敷くなど、周りを汚さない対策を徹底するという約束の上で、どうにか認めて貰えた。
最後に、先生三人が劇に飛び入り参加することはキッパリ却下された。
それでも、担任の出演は認められているのだから、足利先生に参加して貰ったらいいの。その時、最初に殺される役をやっている十吉がムクリと起き上がり、明智警部捕と一緒になって、白いスーツ姿の男を三人で取り押さえる。
死んでいるはずの十吉が生き返るところがミソよ。観客の多くは、なにか変だと思うに違いないもの。この案を出したのは、明智くんよ。やっぱり頭いいわ。
こうして、ある程度やりたいことをやらせて貰えることに決まり、劇のタイトルも、「北琵琶学園祭殺人事件」を正式採用することになった。
それから、まずは登場人物を決めた。
トシヨンが、ノートに綺麗な字で清書してくれている。それは次の通り。
A警部捕、S県警本部、捜査第一課強行犯捜査二係の係長。
B巡査、S県警本部、捜査第一課強行犯捜査二係の係員。
警察官1~2、S県警北琵琶署の制服警官たち。
鑑識班1~3、S県警本部、鑑識課の係員たち。
被害者C、タコ焼屋をやっている三年梅組の生徒。
生徒1~4、模擬店をやっている三年生生徒たち。
客D、タコ焼にクレームをつけるチンピラ風の若者。
客1~4、模擬店に買いにきている客たち。
男E、白いスーツを着た覆面姿の長身男。
野次馬1~5、殺人事件現場を見にきた人たち。
これ、きっと面白い劇になるに違いない!
明日から本格的に脚本作りを始めることに決め、今日は解散となる。