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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
消えたRと消えたL
37/72

オチャコ事件解決!?

 松平くんが十吉に開封を促す。


「中身がちゃんとあるのか、念のため調べてみろよ」

「ほいほい、調べるっぴょ!」


 十吉はシールを自分で破き、封筒の閉じ口、いわゆる「ベロ」の部分を開いて、中身を確認する。


「あっれぇー!! 空っぽだおー!」

「なに本当か!?」


 十吉と一緒に松平くんも驚いている。

 突如、あたしの推理脳が警鐘アラームを鳴らすのだった。


「十吉、あと皆も聞いてよ」

「あ、なんだよ浅井?」


 織田くんは怪訝そうな表情を見せている。まあ黙って聞きなさいってば。


「あたしね、犯人が分かったわ」

「ええぇー、それホントかおー?」

「ホントよ。犯人はこの中にいるのよ」


 あたしはそう言いながら、十吉、織田くん、松平くん、明智くん、トシヨンの顔を順番に見回した。

 さっきまでこの場にいた、竹中くん、玉紗さんはもう自分の席に戻っているのだけど、あの二人は、この事件と無関係よ。


「コラッ浅井、もったいつけてねえで、さっさと言えよ」

「まああわてなさんな、織田くん。今から《消えたL》事件の犯人の名前を言うわよ。覚悟はいいかしら?」

「だから、早く言えつってるだろがっ!!」


 ふん、織田くんはやっぱり短気ね。女の子にモテないわ。


「犯人は十吉、あんたよ!」


 あたしは右手の人差し指をピンと伸ばして、十吉の顔に向けてやった。

 ふふ、決まったわ。探偵オチャコ、鮮やかに事件解決よ。


「おれっちが犯人な訳ないぴょん! おれっち、被害者だぴょ!」

「そうね。あんたは、あんたが言うように被害者だわ」

「おいコラッ浅井! 十吉が犯人なのか被害者なのか、一体どっちだ!」

「ふふ。これだから素人はダメね」

「あ、なんだと!」

「あたしが分かったのは、十吉が自作自演の劇場型犯罪をやったってこと。自分が被害者のように装ってね。織田くん、劇場型犯罪の意味、知ってる?」

「知るか!」

「教えてあげるわ。劇場型犯罪というのは、特に犯人が主役みたいになって、刑事や探偵たちを相手に事件を起こして、それがまるでドラマのストーリーであるかのように、意図的に犯行を進めようと企てることよ。分かる?」

「分からねえ!」


 ふん、織田くんには理解できないのも無理はないわね。


「分からないなら、黙っててよ。ねえ十吉、あたしの推理バッチリでしょ?」

「違うぴょん!」

「そうだぞ浅井、俺が分からねえと言ったのは、劇場型犯罪とかの意味のことじゃねえ。十吉が犯人だという理由が分からねえってことだ!」

「え、どういうことよ?」

「つまりだなあ、お前が説明したような細かい計画を、この十吉が自分で考えてできる訳ねえってことだ。十吉、そうだろ?」

「そうだおー。おれっちそんな七面鳥しちめんちょうなことできないぴょん」

「十吉、それを言うなら《七面倒しちめんどう》でしょ?」

「おれっちそんな七面倒なことできないぴょん」


 十吉は胸を張って、そう言い直した。自信に満ちていて、こいつがウソを言っているようには思えなくなってきちゃったの。

 もしかして、あたしってば、また推理ミスってるのか!?

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