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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
消えたRと消えたL
35/72

オチャコ事件解決?

 あたしは、最後まで残った一人に尋ねる。


「織田くんはどうするの?」

「俺様は別に、十吉が金曜に出したという手紙にも、昨日逃げ出した前田の猫にも興味ねえ。だが、これも乗り掛かった船だ、協力してやる」


 ん? あたしは聞き逃さなかったわよ。さっそく容疑者浮上!


「あんた怪しいわよ」

「なんだと?」

「ねえトシヨン、織田くんに爛丸のこと話した?」

「ううん、まだ」

「そうよね。爛丸が昨日逃げ出したことなんて、まだ話してなかったのよ。なのに、なんでそのことをあんたが知ってんの?」

「そ、それは……」


 どうよ? あたしが慎重を期して、事件を《消えたR》と命名したのは、このためだったのよ。あたしの捜査、ますます好調だわ。ふふふふ。

 織田くんは、とても苦い表情をしていて、今にも「くそう、俺様としたことが、ついウッカリ口を滑らしちまって、そのことを浅井の鋭い推理脳によって見抜かれたんだ。やっぱり俺なんて、名探偵浅井の前では月とスッポンの違いだぞ」とでも言わんばかり。

 さあ、早くも、まず《消えたR》の方は、これで解決かな?

 三日どころか、たったの五分で犯人確保に至ることができそうよ。


「決まりね。犯人は織田くんよ! あんた昨日の晩、トシヨンの爛丸を、公園かどこかで見つけて誘拐したのでしょ。あんなにも愛くるしい仔猫ちゃんをダシにして犯行声明を出せば、友だち思いで心根の優しいあたしのことだから、明智くんとしゃべるなという要求にも素直に応じるって考えたのだわ。織田くんってば、やっぱりあたしのことが好きだったのよ。だから、あたしが明智くんと話すのが気に入らないのね。どうよ、図星でしょ?」

「おいコラッ、いい加減にしやがれっ! こっちが黙って聞いてたらいい気になりやがって。俺様がお前なんかを好きになる訳ねえって、前から何回も繰り返し言ってるだろがっ! 爛丸のこと知ってたのはなあ、十吉から聞いてたからだ」

「えっ違うの? あたしってば、推理外しちゃってる!?」

「当ったりめえだ、お前はどんだけウヌボレこいたら気が済むんだ!!」

「うん、その点について、僕も織田くんに同意するよ。いつもながら浅井さんの推理は短絡的過ぎる。合同捜査は始まったばかりなのだから、もう少し落ち着いて考えようよ」


 がっがあーん!!

 めっちゃ違ってたしぃ! いつもの早とちりだったぁ~。

 こんなあたしってば、せっかちインペイシェント体質なんだおー! あ、つい十吉の口癖が移っちゃったよ。てへへ。


「……あ、でもでも、どうして十吉のやつが爛丸のこと知ってたの?」

「十吉の弟、小梅男こうめおだよ。昨日の夜、小梅男が、コンビニの近くで猫捜しをしている前田の弟、松彦まつひことバッタリ会ったんだ。それで、その話を聞いたそうだ」

「そうだったのか~。ごめん織田くん」

「これからはもっとよく気をつけろ! ボケナスのヘボ探偵め!」

「くぅ……」


 あー、不覚だった。織田くんが、爛丸が迷子になったこと、知っているはずないって思い込んでいたのよ。これは深い反省が必要だわね。

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