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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
消えたRと消えたL
29/72

真田大福くん

 今日は、もう一つ特別な戦略も考えてきたの。

 あたしはそれをトシヨンに話してみることに決めたわ。


「捜査本部には梅組で一番に頼もしい男子、大福くんにも入って貰うわ」

「えっ、そんなの!?」

「これを機に、大福くんに急接近しちゃえば? もっと積極的にね!」

「でも、わたし……」

「ファイトよ、トシヨン!」

「う……うん。ちょっとくらいなら、積極的にしてみるよ、わたしも」


 その意気よトシヨン、少しくらいなら強引にならなきゃね。玉紗さんという強力なライバルがいるのだもの。

 そう思っていると、やっぱりお約束、ウワサの彼氏(・・)よ。こちらに走ってくるわ。


「よう浅井あさい前田まえだ、早いなぁ」

「大福くん、グッモーニィグ! ほうらトシヨンも」

「うん! だ、大福くぅん、おっはよー!」

「おう前田、おはよ。今日は調子よさそうだな?」


 うんうん、いい調子だよ、トシヨン。

 あとは、このあたしに任せていいからね。


「あのね大福くん、トシヨンは気丈に振る舞ってはいるけど、傷心なのよ」

「は、ショウシン?? ソロバンの級か、習字のこと?」


 それは「昇進」というより「昇級」だね。というか、サッカー全力少年の大福くんには、「傷心」という言葉なんて通じないか。

 それなら、ここはストレートに伝えるべきね。


「トシヨンの仔猫ちゃんが迷子なのよ」

「えっ、前田、そうなのか?」

「うん……」


 突如、別のクラスの男子が、出入り口のところから割り込んでくる。


「真田、先に行ってるぞ!」

「おう武田たけだ、オレもすぐ行く!」


 そう言ってから、大福くんはあたしらの顔を見る。


「浅井、前田、悪いな。今からオレら、自主トレやるんだ」


 大福くんは、彼の席にカバンを置いて教室から出ていこうとする。

 いつものようにグラウンドで武田くんと練習をやるのよね。

 あたしが、「あ、大福くん」と叫んだら、トシヨンがあたしの肩に手を置いて、「オチャコいいの。行かせてあげて」と言うのよ。

 トシヨンの気持ちは、一瞬にしてバッチリ理解できた。


「あんた、旦那さん思いのいいお嫁さんになるわ」

「いいお嫁さんだなんて、そんな、わたし恥ずかしぃ~」


 照れてモジモジするトシヨンも、また可愛いですなあ。むふふふ。

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