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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
二学期初日の事件
15/72

オチャコたち捜査中

 織田くんは、とても苦い表情をしていて、今にも「くそう、完全犯罪だと思ったのによお、こんなにもアッサリ見破られちまうとは。浅井の推理脳の前では、俺様なんて、まるで赤子同然だぜ」とでも言わんばかり。

 さあ、早くも事件解決かな?

 三日どころか、たったの三分で結末を迎えることになるね。


「これで決まり、犯人は織田くんよ! トシヨンの爛丸をダシにして脅迫すれば、友だち思いで心根の優しいあたしのことだから、大福くんとしゃべるなという要求にも応じるって考えたんでしょ。あんた、やっぱりあたしのことが好きなのよ。あたしが大福くんと話すのが気に入らないのよ」

「おいコラッ、黙って聞いてたらいい気になりやがって。俺様がお前なんかを好きになる訳ねえって、さっきも言っただろがっ! 爛丸のこと知ってたのはなあ、十吉から聞いてたからだ」

「えっ違うの? あたしってば、推理外しちゃってる!?」

「当ったりめえだ、どんだけウヌボレこいたら気が済むんだ、お前は!」

「うん、僕も織田くんに同意するよ。浅井さんの推理は短絡的過ぎる。捜査は始めたばかりなのだから、少し落ち着いて考えようよ」


 がっがあーん!!

 めっちゃ違ってるしぃ! あたしの早とちりだったぁ~。もしかして、こんなあたしって、せっかちインペイシェント体質?


「……あ、でもでも、どうして十吉のやつが爛丸のこと知ってたの?」

「弟から聞いたってよ。あいつの弟、前田の弟とダチなんだ」

「そうだったのか~。ごめん織田くん」

「これからは気をつけろよ、ボケナスのヘボ探偵」

「くぅ……」


 あー、不覚だった。織田くんが爛丸のことを知っているはずないって思い込んでいたのよ。

 推理や捜査にとって思い込みが厳禁なのは鉄則。そんな基本を、よりによって、このあたしが忘れちゃうだなんて、今日は雨が降ってくるかも。カサ持ってきてないのにね。

 ここで織田くんがトシヨンに聞く。


「おい前田、爛丸のこと誰かに話したか?」

「オチャコの他は、マサミちゃんとテルモっち」


 去年あたしたちと同じクラスだった、伊達正美音だてまさみねさん、毛利輝母もうりてるもさんのこと。今は桜組と菊組にいる、その二人から、別の誰かに伝えているのかどうか、すぐ聞き込み捜査が必要だわ。


「トシヨン、桜組と菊組まで行って、爛丸のこと誰かに話したか聞いてきて」

「うん、分かった」


 トシヨンはさっそく教室から出ていった。


「織田くんが十吉から爛丸のこと聞いた時、一緒にいた人は?」

「共康と、松組の荒木あらきと竹組の滝川たきがわだ」

「じゃああんたが、その人たちから誰に話したか聴取して」

「おいコラッ、俺様に命令するな!」

「なんでよ、協力するって言ったでしょ?」

「ああそう言った。けどそれはなあ、俺様が捜査チームのリーダーとして仕切ってやるという意味だ。文句言うなら、事件のこと皆に言いふらすぞ」


 おおっと、その手でくるか、この出しゃばり男め!

 でも逆らって捜査を邪魔されたら困るし、ここはフラタリング作戦よ。つまり、うまく「おべんちゃら」を使って、調子に乗せてやろうってこと。


「そうね、あんたはリーダーにふさわしい器だわ」

「おお、そうだろ、俺様こそリーダーだろ?」

「そうよ、あんたが大将! あ、でも松平くんと十吉、あと荒木くんたちも皆あんたの子分みたいなものでしょ。だったらあたしが聞くよりあんたの方が、おそれ入ってスパリと答えてくれるんじゃない?」

「おう、当ったりめえだ! この俺様に任せとけ!!」


 織田くんは、お尻にムチを打たれたお馬のようになって駆け出した。

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