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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
二学期初日の事件
12/72

明智くんと織田くん

 ここにまた一人、クラスメイトがやってくる。

 大福くんと入れ替わりで入ってきたのは、クールなメガネ男子。


「浅井さんに前田さん、おはよう」

「うん、おっはよ~」

明智あけちくん、おはよう」

「どうしたの前田さん、顔が真っ赤になっているけれど、もしかして風邪?」

「えっ、真っ赤!? どうしよ、大福くんに……」

「体調が悪いのなら保健室に行く?」

「ううん、風邪じゃないから。わたし、平気だから……」


 明智くん、人に親切にするのは感心なこと、だというのは分かる。

 だけれど、ハートどきどき全開モード、今のトシヨンのことは、そっとしておいてあげてよ。

 ここへまた一人、別の男子が入ってきた。


「おいコラッ光男みつお! 朝っぱらから軟派ナンパこいてんじゃねえぞ。それ、お前のキャラじゃねえだろがっ!!」

「あの、僕は別に、これといってその――」

「あ? なんだコラッ!」

「いや、その……」


 あー、また始まっちゃったよ。


「おいポンカン頭、ハッキリ言えよ!」

「だから、そういう意図などは、なにもなくて」

「大ボケこいてんなよ! 軟派だろがぁ! 見ろ、前田の顔が、こんなにも真っ赤になってるじゃねえか。これは、お前が無理やり迫ったからだろっ!!」


 ええっと、今まさに明智くんを一方的に激しく責め立てている、この言動のすんごく荒っぽい長身男子は、織田信仲おだのぶなかくん。二人とも、あたしたちと同じく梅組のクラスメイトよ。


「――というか、大人しい明智くんに、織田くんの方から毎度毎度、突っ掛かっていくのよ。そんでもって、これはあたしなりの推理なんだけど、実は明智くんも織田くんもあたしのことが好きで、どちらかというとあたしは明智くんと話すことの方が多いから、織田くんってばそれが気に入らないみたい。ヂェラスィ、つまり嫉妬なのよ。あーあ、モテモテのあたしって罪な女だわ~」

「おいコラッ浅井!」

「ん? なに??」

「なんで俺様がお前なんかを好きにならなきゃなんねえんだ!」

「えっ違うの? あたしってば、推理ハズしちゃってる!?」

「当ったりめえだ、ウヌボレこいてんじゃねえぞ!! つーかネボケこいてんだろ、お前は!」

「うん、その点は僕も織田くんに同意するよ。なにしろ浅井さんのことは、同級生の一人だとしか認識していないから」


 がっがあーん!!

 めっちゃ違ってるしぃ! あたしの勘違いだったぁ~。

 もしかして、こんなあたしって自意識過剰体質なのか?


「ところで織田くん、キミは僕のことを軟派だとか言うけれど、でも僕はそんなつもりなんて一切なかったのだから」

「黙れポンカン! お前が寝てるとこ狙って、納本寺のうほんじ燃やすぞ!」


 納本寺というのは、明智くんにあるお寺の名前。

 彼のお父さんはお坊さんなの。髪の毛はフサフサなんだけどね。


「織田くん、いけないよ。それは刑法第百八条に定められた、現住建造物等放火という罪に該当するから、そんなことをしでかすとキミは犯罪者だ。そうしたらキミのご両親も、きっと悲しむから」

「あっあ~、チョーうっざいわあ~。放火だと? そんなバカなこと、俺様がマジでやる訳ねえだろがっ! お前やっぱジョーク通じなさ過ぎ~」


 まあそれはそうよ。ホントにお寺を燃やしたら大変なことになるし。犯罪者になるだけでなく、仏様のバチまで当たっちゃうよ。

 というか、そんな過激なジョーク、検事を目指しているマジメな明智くんに言ったりする織田くんの方が一方的に悪いわね。

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