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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第9章 団体戦編

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九十ノ舞「さあ、楽しもうぜ」


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分かってはいたことだが、マジックギルドのアニマルズの攻撃力の高さは異常だ。

それを目の当たりにしたアカネとシャルロットは先ほどから一言も発していない。

ショウヤも頭の中でシュミレーションをしているのだろうか。

さっきから顎に手を当てて、たまに唸っている。

そんな状態の3人を見ながらイオとおやつを食べているところだ。

今日のイオはパンケーキの気分だったらしく宿の厨房を借りて作らせてもらった。

3人とは打って変わって、両手を頬にあてて満面の笑みで幸せそうに食べる姿に癒されるね。

今年のマジックギルドが強いのなんて、今初めて知ったわけじゃないだろうに。


「何度考えてもやはりアリス君が一番邪魔だね。あ、もちろん団体戦でという意味だよユウリ。」

「わーってるよ。だから開幕速攻でリシリア先輩を倒して守備に回させたいって言ったろ?」


数日前からこのやりとりは何度もやっている。

しかし単独での突撃を可能であれば認めたくないのだそうだ。

曰く、「ユウリのことは信じているが、万が一戦死した場合の状況が悪すぎる」とのこと。

そんな平行線をたどり、今の今まで話がまとまっていないのだ。


「ユウリがやられた場合、誰が攻めに回れるんだ。僕ではリシリアさんはたぶん倒せないし。」

「でもある程度のリスクは侵さないとだと思うぞ。無傷で勝てる相手でもないしな。」

「リスクか・・・そうだよね!けほっ」


未だに咳が出ているアカネに目でうがいをしてこいと訴えると、素直に頷いて部屋へと走っていった。


「ワガママ言っても良いかしら?」

「攻撃に回らせてほしいとかでなければ構わないよ。」

「ナナシー先輩と1対1でやらせてもらえないかしら。

もちろん守備の状況、アリスが居る居ないでこちらも変わってくるのは分かってるのだけど。」


シャルロットの言葉に思わずショウヤと顔を見合わせる。

正直なところ、守備の面で一番迷っていたのがナナシー先輩の対処だ。


トニーのパワーではシャルロットは不利。

なのでアカネに対処してもらうつもりだった。

ナナシー先輩はイオとシャルロットの2人で守らなくてはおそらく止まらず、そこにアリスが加わったら敗北は必至だ。


「勝てるのかい?」

「どうかしらね。でも結局誰かが倒さなければならないんでしょ?」


姉さんそっくりのニヤリとした顔で。

それでも、真っ直ぐな真剣な目で。

武者震いで両肩が少し震えてるのを除けば完璧だったな。

その目はショウヤを納得させるには充分だったみたいだ。


「はあ、分かった、分かったよ。

開幕速攻でユウリはクリスタルに突撃、破壊が不可能であればリシリア先輩のみ撃破して即撤退。

その後は相手攻撃メンバーが離れるまで待機し、僕が合流後に攻撃再開。

守備はトニー君はアカネ、ナナシーさんはシャルロットがそれぞれ1対1で対処。

イオは魔力を温存しつつ2人のフォローだ。」


頭を抱えながらも的確な指示を出すショウヤ。

いつも苦労かけてすまんね。



-----


「決ぃぃぃまったーーー!!!

アビスリンド学園サクラ・イガ選手がクリスタルを破壊!

闘うごとに自身へのマークがきつくなる中、堂々の躍動!

これで無傷の3連勝でベスト4に進出です!!」


「誰もダウンせずに準決勝まで進んだのは、6年前のノースリンドブルム以来ですかね?

『先手のアレク』が率いた歴代最強と言われた世代の。」


「えーっと、記録によると・・・そうですね!

あの時は最後まで誰1人ダウンすることなく完全優勝でしたから。

当時、ルーナ隊長や『神速の剣姫』を擁したイーストテインは団体戦には力を入れていなかったという説もありますけどね。

彼女たちが参加していれば結果は違ったかもしれない、という。」


「それは言っても仕方ないことですよ。

なんにしても、今回のアビスリンド学園Bチームの実力は本物。

ただそれでいいじゃないですか。」


「それもそうですね!

アビスリンド学園といえば、Aチームも明日の最終戦で出てきますね!

マジックギルドAチームとの、決勝戦で行われてもおかしくない組み合わせです。」



先輩たちの勝利に実況解説も盛り上がっている。

確かにここまで誰もダウンしていないというのは凄いな。

サクの働きがあってこそだが、全員が自分の役割を全うしている。

守備についている3人はサクとアスカ先輩の活躍に目が行きがちで一見目立たないのだが、集中力がとんでもない。

3人で3方向を見張っているのだが、アスカ先輩たちがその場を離れてから試合終了までの間に一瞬たりとも気を抜いたりしない。

もちろん当然と言われてしまえばそうなのだろうが、常に気を張っていなければならないというのはとんでもなく疲れる。

それを毎試合、常に行っているのだから頭があがらない。


アカネとシャルロットが居るから安心して攻められてる。

ショウヤがいろいろ考えてくれるから余計なことは考えなくて済む。

イオが攻守両面で動いてくれるから、前だけ向いていればいい。

俺も皆に感謝しないとな。


さあ、いよいよ明日はマジックギルド戦だ。



-----シャルロット視点


「お前はアタシと闘ってる時と、アタシ以外と闘ってる時の自分の違いが分かっているか?」


先輩たちが勝利を収めた後。

いつも通り駐屯所へ向かい、アーデルハイド様にボコボコのボコにされた。

目を覚ました時にはいつの間にか師匠が居て、そんなことを問われた。


「常に全力で闘っているつもりですけど。

・・・違い?・・・うーん。

他の人の時は、もらった!と思う時があるんですけど、師匠の時はそれが一切ないとかですかね。」


アタシの言葉に小さく頷く師匠。

この質問の意図はなんだろう。

間違いなくアタシに何かを気付かせるためなんだろうけど。


「良い線いってるな。

ちなみにそのもらったと思った時の結果はどうなってる?」


「最近では団体戦1回戦で相打ち、サンドレさんにカウンターをもらい敗北ですね。

アーデルハイド様には一方的にやられてしまったので。」


「あのおっさんは別格だから良いや。

それよりも他の2人が重要だ。よーく思い出してみろ。」


アーデルハイド様のことをあのおっさんって呼べるのは師匠だけな気がする。

っと、それより他の2人ね。


まず団体戦初戦のウッディ戦。

槍の動きを盾で封じたうえで、ほぼ完全な状態で攻撃に入った。

カウンターをくらう可能性を思いつきもしなかった。

それほど完璧に目に見える槍を封じたから。

でも結局魔力で新しい槍を生成されて、アタシは貫かれた。


そしてサンドレさんとの立ち合い。

最初の10秒は盾と剣で相手の攻撃を止めれていた。

その後の攻撃も間違いなくそれまでと同じだった。

それでもカウンターを入れれると踏み込んだ瞬間、さらなるカウンターを叩きこまれた。


「どちらも攻撃に転じる時に隙ができている?」


「まあそれは間違いないんだが、今教えたいことはそこじゃない。

じゃあアタシとのこの前の稽古を思い出してみろ。」


この前ここでやったやつね。

『神速の剣姫』の連撃についていくのがやっとで、攻撃に転じる隙なんてなかった。

結局10分くらい守り続けて1撃をくらって、詠唱の隙に気絶させられた。

守るだけなら耐えられるってことかしら?

アタシがそう言葉を発しようと口を開いた瞬間、師匠が溜息交じりでさえ切った。


「はあ・・・お前さ、アタシと闘う時に他の人と闘う時の感覚で向かってきたらどうなると思う?」

「え、そんなのボッコボコのフルボッコにされるに決まってるじゃないですか。」

「じゃあその逆は?」


逆って他の人と闘う時に師匠に向かう気持ちでってことかな。

うーん、それだと相手の剣や動きが止まって見えそう・・・


「あっ」


アタシの言葉に師匠がニヤリと笑う。

世話のかかる弟子だ、と言わんばかりの優しい目。

ユウの目の次に好きな目だ。

まあ姉弟なのだから似てるのは当然か。

じゃなくて!


「盾魔法を覚えたことで、無意識に心のどこかで油断があったかもしれません。

誰と闘う時も師匠と闘う時の気持ちでいかなければいけないですね。」


「そういうことだ。

明日の試合に間に合うように、今から相手してもらえそうな相手全員を体力の続く限り相手にしてこい。

1試合でも負けたら明日は出場させねえからな。」


「上等!!」



-----通常視点


「超満員のクノッサス大闘技場!

本日は準々決勝2日目!

第1試合はノースリンドブルムがサウスポートを撃破し、準決勝へと駒を進めました!

これから始まるのは第2試合、アビスリンド対マジックギルド!

どちらも学園の主力選手が揃ったチームで、決勝戦で行われてもおかしくない対決です!

ルーナ隊長も本日は解説でお越しいただいてますので、特等席でお弟子さんの活躍を見れますね。」


「もう開き直ることにしたわ。

だらしない試合したら破門するからね!!」


「相当なプレッシャーですね。

そして解説の立場でありながらこの上なく個人的な発言、ありがとうございます。

それでは間もなく試合開始です!」



「破門は嫌だなあ。」


目の下にクマができているシャルロットが苦笑いで呟いた。

宿で集まった際に表情に驚きはしたものの、イオが真っ先に気付く。

普段とは違い、自分と闘った時の感覚に似ているとのこと。


個人戦出場選手を決める予選で闘った時のことだろう。

あの時は徹夜で姉さんと闘って、ものすごい集中状態だった。

直接闘ったイオが言うのだから、ほぼ間違いなくそれに近い状態に居るはず。

それなら俺たちがとやかく言うことはない、という判断だ。


「さて、行こうか。」


ショウヤの掛け声と共に壇上へ向かう。


壇上では既に仁王立ちしたナナシー先輩。

右肩をぐるぐる回しているトニー。

こちらに笑顔で手を振ってくるリシリア先輩。

高笑いのケイオス。

そして目を瞑り、ものすごい集中状態に居るのが見て分かるアリス。



どいつもこいつもやる気満々だな。

ケイオスは相変わらずで、リシリア先輩は可愛らしいけど。


この10人で闘うのは最初で最後だろう。

どんな結果になろうとも、悔恨のないように。


俺から言えることは、たった1つだ。


「さあ、楽しもうぜ。」



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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