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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第9章 団体戦編

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八十六ノ舞「アタシの師匠たちは誰だと思ってるの?」


先輩たちが1回戦を勝利した日の夜。

宿屋の食事処ではどんちゃん騒ぎが起こっていた。

昼間の戦闘、そして2日続けての騒ぎにさすがのサクにも疲れの色が見えている。

それでも献身的に分身を駆使して料理を運んだりと、大忙しだが。

オリジナルのサクは主賓席にアスカ先輩と共に座らされ、酔っ払った姉さんや観客から色々な言葉を浴びていた。


「いやーアタシですら、まさかノースリンドブルムを瞬殺するとは思ってなかったぞ。」

「決闘新聞の者です!お二人を取材させていただいてもよろしいでしょうか?」


いつの間にか記者さんまで現れた。

いいから休ませてあげたいんだけどな。

そんな想いも空しく、取材を受け始める生真面目な2人。

受け答えの様子を見ながら料理を食べつつ、こちらはこちらで作戦会議だ。

初戦を3日後に控えているとはいえ、あまり細かいことを決めるつもりはないけどな。


「初戦の相手はウエストブルムだ。

全員1年生のチームで、新人戦決勝とメンバーは変わらない。

まさか今度は団体戦で、しかも初戦で相対するとはね。

ユウリ、ウエストブルムに行っていただけあって詳しいだろうから、どれくらいの成長を遂げているのか教えてくれるかい。」


こういう時のショウヤは本当に頼りになる。

アビスリンドには欠かせない人物だ。


「あー・・・これ言っていいのか?まあいいか。

帰ってくる直前に俺1人と5人相手で模擬戦をしたんだが、5秒経たずに終わったぞ。」


ぶっ、と紅茶を吹くシャルロット。

アカネに直撃したけど色々大丈夫だろうか。


「新人戦準優勝メンバー相手に5秒って・・・むしろアンタが恐いわ。」


「チェルシーの『反魔結界アンチマジック・フィールド』、シャンディの『重量級鎧(パワード・スーツ)』、ウッディの『破壊と創造の三又槍(トリシューラ)』。

この3つだけ注意してれば、負ける相手じゃないと思うぞ。」


顔を吹きながらアカネも頷く。

個人戦初戦でシャンディと闘っているだけあり、相手の力量は理解しているのだろう。

だが1+1が2とは限らないのは、今日の先輩たちの試合で分かっている。

油断や慢心は禁物だな。


「アタシがゲイルの『真空剣』にどれほど苦しんだと・・・」


反論したそうな人が約1名いるが、そっとしておこう。

そろそろサクを助けてやるかと、席を立った。



-----


「さあ、いよいよ大会も4日目!

1回戦も残すところ2試合となりました。

本日の第1試合はアビスリンドAチーム対ウエストブルムBチーム!

互いにメンバーは新人戦決勝戦と全く同じ!

新人戦ではアビスリンドが接戦を制しましたが、今回は団体戦!

リベンジに燃えるウエストブルムの逆襲はあるのでしょうか!

そして第2試合は優勝候補と言っても過言ではない、マジックギルドAチーム!

対するはウエストテインAチーム!

高火力チーム同士の対決ですね!

本日も見どころ満載の団体戦、間もなく第1試合が始まります!」



自陣のクリスタルの前に集まった俺たちは円陣を組んでいる。

このメンバーと言ったら、アレだろう。


「我ら出生、身分は違えども、この場この時をもって志は一つ!

この腕に誓い、仲間を守り敵を討つ!()くぞ、我らの勝利へ!」


「「「「おおー!!」」」」


全員が笑顔で右の拳をぶつけ、高く掲げた。

久しぶりにこのメンバーで闘えるんだ。

ワクワクせずにはいられない。


「それでは、試合開始!!」



フィールドは浜辺。

見通しがいいフィールドではあるが、さすがにクリスタルは見えないか。


「あったよ!たぶん1キロちょっとくらいかな?」

「アンタ、どれだけ目が良いのよ・・・」

「んんー?なんか4人こっちに来てる気がする。」


開始早々アカネが敵のクリスタルを発見。

他のメンバーには全く見えていないが。

そして攻撃4守備1と来たか。


「アカネとアタシに任せてくれないかしら。

皆は思いっきり攻めちゃって!」


「4対2でいけるのかい?

ただでさえ今回の相手は厄介なメンバーが多いのに。」


「そこはやってみないと分からないけど・・・

それで負けちゃうくらいなら、マジックギルドには勝てないと思うわ。」


それは一理ある。

シャルロットとショウヤが互いに頷いた。


「任せるぞ、2人とも。行こうイオ、ショウヤ。」


「「任された!!」」


ニヒヒと笑うシャルロットとアカネ。

なんとまあ頼もしいことか。

俺たちは手はず通りに進むとしよう。



-----


浜辺と言っても、隠れる場所がないわけではない。

大きな岩の密集地帯や、遠回りにはなるが林もある。

どちらも足場が悪いのが難点だが。

『速度強化』をしてもスピードに乗りづらそうだ。


ひとまず自陣に真っすぐ向かってきているであろう4人と出くわさないように、林から迂回している。

イオが箒で高く飛び上空から敵陣クリスタルを探すのと、自陣クリスタルの状況を見る役目を担っている。

ぬかるんだ場所を走っても体力を奪われるだけなので徒歩で移動しているのだが、いかんせん足を取られる。

ショウヤも何度か転びそうになっていた。


イオがこのまま真っすぐと合図をしたのを確認して直進。

その直後、敵軍が自陣に到着と合図を送ってきた。

こっちは遠回りしている分到着が遅れてしまっている。

2人は大丈夫だろうか。



-----シャルロット視点


少し離れたところに派手な甲冑が4人、こちらに向かってくるのが見えた。

アカネ、視力いくつなのよ。

体格からして男4人かしら。

てことはアライブ、シャンディ、ゲイル、ウッディの超攻撃メンツだ。

チェルシー1人でユウとイオの攻撃から守るつもりなのか、それとも速攻で決めにきたのか。

どちらにしても、こちらはアカネとアタシの2人だけ。

燃えるわね。


「燃え盛れ、咲き誇る狐百合(レーヴァテイン)!!」


全身付与(エンチャント・オール)速度上昇(スピードアップ)

全身付与─防御力上昇(タフネスアップ)

強化付与(エンチャントアームズ)筋力上昇(パワーアップ)

装備付与(ハイエンチャント)世界随一の銘刀(おおかねひら)。」


「・・・・・・ある・・・・・・生れ。・・・・・・・!」

「ん?シャルル、何か言った?」

「ちょっと独り言よ。」


んー、やっぱりダメか。

アカネにも聞こえないくらいの声で詠唱してみたのだけど、まったく反応しない。

魔力がもっていかれただけになってしまった。

まああんまり期待はしてなかったけど。

そんなことをしている間に甲冑組が到着した。



「そこを通してもらうぞ。」


到着早々、ゲイルが寝ぼけたことを言ってきた。

通していたら試合にならないじゃない。


「絶対に通さないわ。」

「ユウくんに任されたもんね。」

「あの言葉だけで、アタシたちは何度でも立ちあがれるもの。」


顔を見合わせ、2人で笑顔になってしまった。

「ねー」と同意するアカネ。

アタシもそうだけど、アカネもやっぱりユウが大好きなんだなあ。

っと、それは置いといて。


「アカネ、ゲイルの『真空剣』は太刀筋がほとんどないから先に倒しておきたいわ。」

「おっけー!5秒ちょうだい!」


言うなり飛び出していくアカネ。

アタシが新人戦でアレほど苦労した相手なんですけど!?

5秒って!

ユウといい、アカネといい、本当に化け物ね。


「3対1とは騎士らしからぬ闘いだが、団体戦だ。悪く思うなよ!

『高速剣─レベル10(マックス)』!!」


アライブの最速の連撃が始まる刹那。

懐に入り込み、剣先でアライブの剣の動きを止めた。


「止まって見えるわよ?

炎舞緋剣(えんぶひけん)満開の姫緋扇(ラペイロージア)!!』」


「御霊に授かりし知恵は、世の平和のために。

我が行動は、弱きを助け。

その意志、この槍に誓い貫き通す。

我がちから(クゥド・シャクティ)破壊と創造の三叉槍(トリシューラ)。」


ウッディ(アンタ)も勝手に行くんじゃないわよ!『青銅櫓(アイアース)』!!」


お返しと言わんばかりに連撃をお見舞いした瞬間、もの凄い速度でクリスタルに向かってゆくウッディ。

ギリギリのところで櫓が完成し、クリスタルを覆った。


「『重量級の袈裟斬り(パワード・スラッシュ)』」


クリスタルに意識を取られた瞬間、斬りかかってくるシャンディ。

ホント、この人は闘い方が上手いわね。


でも、アタシの師匠たちは誰だと思ってるの?


『神速の剣姫』も見慣れてるのよ。

今のアタシは、そんな遅い攻撃止められないわけがない!!


「『戦乙女(ヒルダ)』!!」


大きな金属音をあげシャンディの袈裟斬りを受け止める、()()盾。

鍛えれば鍛えるほど、白からどんどん赤に染まっていったのだ。

ルーナ師匠曰く、使用者の特徴で色が変わるらしい。



『アライブ・ビート、ゲイル・ケーシィ戦闘不能!』


「シャルル、お待たせ!」


言いながらウッディに斬りかかり、クリスタルから距離を取らせるアカネ。

残るは冷静なシャンディと、ユウと同等のスピードを持つウッディ。

どっちを先に倒すべきかしらね。


「シャルル、今度は3秒ちょうだい!」

「えっ」


「我は汝。

悠久の時を経て、我、汝と共に歩み進む者也。

目指すは高み、天より高く。

導べに従う御霊よ、新たな伊吹となりて顕現せよ!!

(おわり)の秘剣―六道人間・准胝観音(じゅんでいかんのん)!!」


そのままシャンディに斬りかかるアカネ。

剣を振る腕の残像が残るほどの速さの連撃。

腕が何本にも見えるくらいだ。

アカネもこの1か月、相当鍛えたのね。

負けていられないじゃない。



ウッディを見据えて剣を構える。

ウッディもまた、槍を構えた。


「槍って確かに攻防一体で優秀な武器だけどさ、広い場所じゃないと扱えないのは大きな欠点よね。

複製(アンキーレ)』!!」


ウッディを囲う12枚の盾。

そこに向けて思いっきり駆けだす。


槍を動かそうとした瞬間にアンキーレを複数動かし、動きを妨害。

左右や後ろになんか動かさせない。

もうアンタの槍は、前にしか動かせない!!


「くっ!!」


苦し紛れのような声と共に、案の定真正面からの突きが放たれる。

既に槍の側面から当たるように動かしていたアンキーレがぶつかり、軌道がアタシの左に大きくずれた。


「『炎舞─焔虎の牙フレイムタイガーファング』!!」

「負けません!!!『軍神の魔槍(グングニール)!!』」


思いっきり剣を振り抜いた体制のシャルロットに槍が。

片手を弾かれ、残る片手で攻撃を放ったウッディに炎の牙が。


それぞれに直撃した。



-----通常視点


『シャンディ・フォークレット、戦闘不能!』


「おーやるなあ、あの2人。」

「凄いですね。残るはウッディさんだけじゃないですか。」

「2対1ならユウリ並みのスピード相手でも有利に闘えそうだね。」

「俺だけに?ショウヤちゃーん、そのギャグはちょーっとイケてないんじゃない?」


クスッと笑うイオに、チェルシーが思わず大きな声をあげた。


「アナタたち、緊張感とかないのかしら!?」

「え、だって魔法使えないし。」


チェルシーの作り出した『反魔─結界アンチマジック・フィールド』の中で座り込む俺たち。

イオはともかく俺は普通に闘えるし、何よりショウヤが霧散させればすぐに終わるのだが。

自分のチームの防御力くらい知っておきたいじゃないか。


当然アカネとシャルロットが突破されれば敗北なのだから、大きなリスクは背負っている。

その代償といってはなんだが、腕試しをさせてもらおうってところだ。

まあ、負けないと信じてるからあんまりリスクとは思ってないんだけどな。


『シャルロット・マリア・ヴァルローレン、ウッディ・アレンシュタイン、戦闘不能!』


「ウソ!?4対2だったのよ・・・!?」


チェルシーの驚いた声と共に立ち上がる。

イオも立ち上がり、ショウヤは『反魔─結界』を霧散させて立ち上がった。

その両手には双剣が携えられている。


「2人は手の内と魔力を温存しておくといい。

真名開放─『二つで一つの銘刀(かんしょうばくや)』!」


そのままチェルシーに向かい走り出す。

チェルシーの剣戟を受け流しながら軸とし、回転しながら完全に後ろに抜けた。

残るはクリスタルのみ。


「『流れゆく双剣フルーソ・ピストレーゼ』」


バキンと音を立てて崩れるクリスタル。

相手の攻撃の力を利用して身体の配置を変えるとは。

ショウヤめ、団体戦に合わせた動きを物にしたな。

他の大会じゃ、使いどころがないからな。


「クリスタル破壊により、勝者アビスリンドAチーム!!」



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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