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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第9章 団体戦編

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八十四ノ舞「偶然ではなく必然」


大闘技場をあとにし、宿へと戻ってきた。

食事処の1番大きなテーブルを使わせてもらい、今後の作戦を練ることに。

全員が腰かけるのを待って、ショウヤの進行で始まった。


「作戦会議と言っても、基本的に何も決めないで臨機応変に動く方がこのメンバーは良いと思うんだ。

ただ、攻撃メンバーと守備メンバーだけは決めておこうと思うけど、どうだろう。」


言いながらテーブルを見渡すショウヤ。

全員が頷くのを見て続ける。


「まず攻撃メンバーだけど、ユウリとイオ。

そして守備メンバーにアカネとシャルロット。

僕は状況に応じてどちらにも入る中衛といったところかな。

ひとまずはこれで考えてる。

たださっきユウリと相談して、マジックギルド相手の場合はイオにも守備に回ってもらうと思う。」


まるでマジックギルドを相手にするまで負けるつもりはないともとれる物言いに珍しいと感じながらも頷く。

イオとの連携なら先のブライデンでもやっているし、コンビネーションとして悪くないだろう。

守備に関してはアカネは何も心配してないし、シャルロットにも気配だけで剣を止められたことがある。

そこに盾魔法が加わっているのだから心配する必要はなさそうだ。

早くも作戦会議終了といった空気の中、シャルロットが声をあげた。


「それじゃあ堅苦しい話は終わったことだし、本題ね!

ユウ、誕生日おめでとう!!」


どこから取り出したのか、クラッカーが勢いよくパァンと音を立てた。

アカネも「おめでとう」と続く。

そういや今日、9月15日か。

自分でも忘れてた。


サクやアスカ先輩たちが料理を次々運んでくれて、一瞬でテーブルの上は料理だらけになった。

いつの間に準備したんだ、この量。

運んでくれている先輩たちに申し訳なくなりつつ、ふと視界の端の兄妹が気になった。

イオの気まずそうな顔と、苦笑いのショウヤ。

その空気にシャルロットがたまらず声をかけた。


「何も伝えてなくてごめんね!ユウの驚く顔を見たかったのよ。」

「いえ、そういうわけではないんですけど・・・。」


普段ははっきりものを言うイオが珍しく歯切れが悪い。

どうしましょう、と言わんばかりにショウヤに目をやる。

視線を受けたショウヤは申し訳なさそうにしながらも。


「実は・・・僕たちも今日が誕生日なんだ。」



『大寒波』も超えているのではないかと思うほど空気が凍った。

とんでもない魔法じゃないか。

やったなショウヤ。



-----


「ケーキの追加お待たせ!!」

「ナイスタイミング!こっちもちょうど追加のお肉が焼きあがったとこです!」

「おっしゃあ、今日は騒ぐぞー!!」


アカネやシャルロットを筆頭に、アビステイン兄妹と俺をテーブルに残し慌ただしくなる店内。

姉さんやマジックギルドのメンバーも到着し、まるで嵐だ。


アスカ先輩が垂れ幕をとても綺麗な字で書き足し、肉を焼いていたサクが分身で次々と盛り付け、提供とスムーズにこなしてゆく。

分身便利かよ。

シャルロットがパーティー用のとんがり帽子をいつの間にかかぶっているのを見ながら、ショウヤたちに声をかけた。


「まさか同じ誕生日だなんて思わなかったわ。」

「意外とそういう話にならないからね。別に隠すつもりはなかったんだけど。」

「こういうことがあると、何気なく過ごしている日常もなるべくしてなったのかなって思っちゃいます。」


偶然ではなく必然か。

確かに素敵な考え方だな。

実にイオらしい。


そんなゆったりとした空気の俺たちをよそに、真後ろではぎゃーぎゃーと騒がしい。

姉さんがウェディングケーキかと思えるほどの巨大なケーキを、トニーを遣って運んできたのだ。

まあ確かに重そうだけど、他校生に運ばせるのはどうかと思う。

もちろんアリスたちも着いてきた。

それをどこに置くかでもめているらしい。

地面じゃなきゃどこでもいいけどな。



-----


やっとのことで準備が整い、巨大なウェディングケーキもどきとホールケーキが3つ。

これでもかと焼かれた鶏肉に、2週間は野菜を食べなくても生きていけそうな量のサラダ。

やりすぎだろうと思いつつもありがたさを感じる。

そしてこういう時に必ずと言っていいほどお呼ばれされ、乾杯の音頭を取らされるルーナ隊長。

相変わらず不憫な人だ。


「それでは、今日は大いに盛り上がろう!

ユウリくん、ショウヤくん、イオンくん、誕生日おめでとう!乾杯!!」


「「「かんぱーい!!!」」」


絶対に近所迷惑だろうが、まあどうせうちの姉さんのことだ。

周りも巻き込んで騒ぐのだろう。

変なところにカリスマ性の高い人だからな。


「アカネ、適当にケーキ切り分けろ!」

「ええっ、こんなでかいの斬れないよ、ミドリさん!」

「大丈夫だ、お前ならできる!アカネの本気を見せてみろ!」

「本気でいいの?分かりました!」


言うなり剣を抜くアカネ。

え、何するのあの子。


「我は汝。悠久の時を経て」

「バカかお前!!いや、そういやバカだったわ!

ケーキ切るのに奥義使うバカがどこにいんだよ!」

「本気って言ったじゃん!?あと、バカバカ言うなー!!!」

「あ゛?タメ口使ったのはこの乳か?!」


アカネと姉さんは漫才でもしてるのだろうか。

『神威』でアカネの背後に回り込む姉さん。

お仕置きするのに使ったそれ、ウチの実家の秘伝ですよ。

たった今自分で言ったことだぞ。


「胸なら自分の揉めばいいでしょー!!」

「揉むほどねえって言ってんだろ!!いい加減叩き斬るぞてめぇ!!!」

「お前もいい加減にしろ!!」


ゴォンと鈍い音を立てて振り抜かれる王国最強の盾。

頭から血を流して金髪を赤く染めながらうずくまる姉さん。

その姿に笑いに包まれる宿内。

なんというか、平和だなあ。


結局サクが分身を駆使して切り分け、全員に配膳までしていた。

ウチのシノビは本当に器用だ。

甘いものに目がないイオがあまりに美味しそうに食べるものだから、こっちまで笑顔になっちゃうね。

こんな笑顔で賑やかな環境、出会いに感謝を。



-----


「今日は急にお邪魔しちゃってごめんね。」


マジックギルドのメンバーを送っていく際、アリスに声をかけられた。

どんちゃん騒ぎをして酔いつぶれた姉さんの介抱までしてくれて、感謝こそすれ謝られることなどないというのに。


「来てくれてありがとうな。3回戦、楽しみにしてるよ。」

「ホントに楽しみだべ。アビスリンド倒さないと優勝しても意味ないでな。」

「はっ、言ってろ。」


トニーにもケーキを運んでくれたお礼を言いつつ、宿まで送った。

宿の前で褐色ロリ先輩に色々いちゃもんをつけられたのはご愛敬ということで。


組み合わせの巡りの悪さや、初の団体戦ということもあり、ちょっと気負っていたところはある。

それでも思いがけず良い息抜きになった。

明日の午後、第2試合でいきなり先輩たちの試合がある。

そこでシュミレーションしつつ応援するとしよう。

そんなことを考えつつ、来た道を戻る。



先ほどのイオの言葉を思い出す。

偶然ではなく、必然か。


今のかけがいのない仲間たち。

今まで、そしてこれからも闘い続けるであろうライバルたち。

この出会いは、出会うべくして出会ったものなのだろうか。

なんか哲学になってきたな。

・・・難しく考える必要なんてないか。


俺たちは今、それぞれの立場でここに居る。

各々目指しているものは違えど、確かにここに居るんだ。

それが全てで、それ以上でも以下でもない。


その皆に共通して俺から言えることはたった1つだ。

普段の生活も、バトルも全部ひっくるめて。


笑顔で、楽しくやろうぜ。



歩きながらニヤリとしつつ、片付けに追われる宿へと戻った。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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