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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第8章 夏休み編

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八十一ノ舞「少しの自信と、より強い決意」


-----サクラ視点


「しょ、勝者、ユウリ・アマハラ・・・」


ユウリ様がブライデン王国から戻られてから10日が過ぎ、夏休みも終わりが近づいてきた頃。

私の新技完成から遅れること1週間。

ユウリ様の拾式がいよいよ完成した。

それに伴いウッディさん、プレオさんに加えて新人戦代表のシャンディさん、アライブさん、チェルシーさんを交えた5対1で闘うことに。

学園側に許可をもらい、正式な立ち合いとして組んでもらった。

夏休み中だと言うのに多くの生徒が観戦に訪れる中、試合開始5秒で勝利者宣言がされたところだ。

かくいう私は溜息と共に頭を抱えていますが。


時間が少し経ったにも関わらず5人全員が未だに起き上がれずにいる。

アライブさん、チェルシーさんは意識を失っており、シャンディさんとプレオさんは麻痺で動けない。

ウッディさんは唯一防御が間に合うも、威力に押されて壁に打ち付けられたダメージが大きそうだ。


ウエストブルム訓練場内のざわつきは収まらず、その観客の視線は壇上のユウリ様に注がれていた。

1年代表メンバー4人と、2年代表メンバー1人の5人がかりで闘うと聞いたときには笑いが起きたり、騎士にあるまじき闘いと言われたりと色々あった。

それでも結果はその逆。

5人がかりでも、たった1人を止められなかったのだ。


団体戦まで1か月を切ったこの時期に、他校の学生1人に代表メンバーが一斉にだ。

学園側もこの結果は他言無用と緊急アナウンスを流し、大慌てになっている。


だからやめておきましょうと言ったのに。

伝統校のプライドを打ち砕いた当の本人も、強化の負荷に耐え切れなかった制服がボロボロになっていますけど。

礼儀として5人全員にお辞儀をしてますけど。

私が言いたいのはそこじゃない。


「まあまあだな。」

「どう見てもやりすぎでしょうに!!」


戻ってくるなりそんな感想を言われるものだから、スパァーンと良い音を立てるほどのツッコミを入れてしまった。

ユウリ様は叩かれた肩を抑えながら。


「複数人相手だとあの速度での標的変更が大変すぎて、威力の制御まではさすがにできねえわ。」


まあ確かに私でもそれは無理ですね。

それでもこの時期に、大騒ぎになりそうな結果になってしまった。

とはいえ互いに新技の手ごたえはアリだ。

次の団体戦で大いに活躍できそうです。



-----シャルロット視点


夏休み終了まであと3日。

何度やっても神話級の換装を召喚できず、ついには魔力切れで1日寝こんでしまった。

ルーナ師匠には、そんなにすぐにできても困ると言われてしまったけど。

召喚魔法に適性がないのかしら。

いや、そんなマイナスな考えはやめよう。

アタシの努力が足りないのだ。

今までの盾魔法は、『大輪の狐百合』のおかげでコツはなんとなく分かった。

だけど今やっているのは召喚魔法だ。

それも神話級の。


今まで触れたことのない分類の魔法だし、初級から最上級をすっとばしていきなり神話級に挑戦しているのだから、盾魔法よりもコツが掴みづらいのだ。

ルーナ師匠に相談してみると、一度持ち帰って初級から訓練してコツをつかみ、時間をかけて習得すると良いとアドバイスをもらった。

本当に悔しいけど、こればっかりはそうするしかなさそうね。

アリスやイオの魔法の才能は、桁違いなのだと改めて分からせられたわ。


起きてすぐに鍛錬せずに、一旦クノッサスを歩いて気分転換をしてからにするとしよう。

頭の中を整理もしたいしね。



召喚魔法を周りに使える人が居ないのは痛い。

ルーナ師匠に聞いても良いのだが、それは師匠に甘えすぎている気がする。

アタシ自身で見つけ出すか、召喚魔法を使える人に聞くか、ね。

心当たりがあるような、ないような。

ユウがいつだったかそんなことを言ってた気がするのだけど。


「あれ、最優秀選手なのに個人戦に出れなかった子じゃないか。」


ダメだ、思い出せないわね。

クノッサスから戻ったらいの一番に聞くとしよう。


「おぉい、無視とはずいぶんだね!

おいで、ジーニー!」


考え事をしていたアタシの目の前に突如現れた、巨大な青い猫のぬいぐるみ。

え、可愛い。

そんな感想を抱いた瞬間、アタシに向けて振り下ろされる猫パンチ。


大海(オハン)!!」


咄嗟に盾魔法を展開し、猫パンチを防いだ。

鈍い音と共に凄い衝撃が来たけど、なんとか止められたわね。

こんな居住区のど真ん中で襲撃なんて、何考えてるのよ。

そう思いながらも青い猫から目を離さずに術者を探す。


「ジーニーの拳を止めるなんて、やるじゃないか。」


後ろからの声に振り向くと、先ほどの疑問の答えがそこに居た。

ナナシー・ヘンドリクス。

マジックギルド3年主席で、学生議会長を務める召喚術師だ。


「お久しぶりです、ナナシー先輩。

今ちょうど召喚魔法で壁にぶつかってて、よければコツを教えていただきたいのですけど。」

「え、普通に嫌だよ。めんどくさい。」

「頼れるのはナナシー先輩しか居ないんです!」

「う・・・そこはほら、ボクは忙しい身だから。」

「そうですか、残念です。召喚魔法の天才と聞き及んでいたのですが、仕方ないですね。」

「ああもう、仕方ないなあ!凡人の悩みを聞くのも天才の務めだからね。うん、天才だから仕方ない。」


ちょろいわね、この人。

おだてればなんでも教えてくれるんじゃないかしら。

しかし詳細は口外しないようにときつく言われている。

ぼかしながら伝えると、考えたのちに答えてくれた。


「召喚魔法ってのは繋がりなんだ。

生き物であれば心の繋がりが必要だし、物を呼び出すのであれば物と呼び出す場所を繋いであげたらいい。

まあこれは聞くより見た方が早いかな。」


そう言い、アタシに向けて右の手のひらを向けてきた。


手癖の悪い盗人(スティール)


急に剣の重さが消えたと思えば、ナナシー先輩の右手に握られているアタシの剣。

これって盗賊とかが使うイメージだけど、召喚魔法なのね。


「こんな感じで魔力で繋いであげるのさ。

呼び出す物が大きければ大きいほど、そして強ければ強いほど必要な魔力もあがっていくよ。

それじゃあ、またね。」


なるほど、失礼ながら分かりやすい。

って待て待て待て。


「アタシの剣、返しなさいよ!!」

「にゃはは、授業料ってことで!」

「あったまきた!!複製(アンキーレ)!!」


走って逃げるナナシー先輩を囲む12枚の盾。

驚いて脚が止まったのを見て、盾をナナシー先輩に向けて集めた。

「にゃっ!」

鈍い音とナナシー先輩の悲鳴がほぼ同時に聞こえ、アタシの剣が宙を舞う。

それをつかみ取り、一安心。

まったく、油断も隙もありゃしない。


「やるじゃないか。一応名前を聞いておいてやる。」

「シャルロット・マリア・ヴァルローレン。」


両方の鼻から鼻血を流し、仁王立ちしてこちらを指さすナナシー先輩。


「団体戦で決着をつけてやる!

必ず出て来いよ、()()()()()()()。」


言うなり走ってどこかへ行ってしまった。

あの人がユウ以外を名前で呼んでるのは初めて聞いた。

少しは認められたってことかしら。

こちらこそ、この借りは必ず返さないとね。


まさか他校生で、アンジェ以外に闘ってみたいと思える人ができるとは思っていなかった。

実力差はとんでもなく大きいけど。

団体戦はアタシが勝てなくても、チームが勝てば勝ちなのだ。

それはそれで少し悔しい気持ちがないわけではない。

それでもチームのために全力を尽くすだけね。



盾魔法を実戦で初めて使い、剣を取り戻せた。

この1か月ちょっと、必至にやってきたことは決して無駄になってないんだ。


凡人の悩み、なんて言われてしまったけど。


凡人(アタシ)はアタシらしく、泥にまみれて努力するだけだ。

そしていつか本当の天才たちと、肩を並べて闘うんだ。


少しの自信と、より強い決意を胸に。

ルーナ師匠の家へと踵を返した。




拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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