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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第8章 夏休み編

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八十ノ舞「アビステインの名が廃る」


-----ショウヤ視点


8月も終わりが近づいて、ノースリンドブルムでもようやく長袖では暑いと感じるようになってきた。

今日はついに月に1度の戦闘指揮実践訓練の日だ。

この日をどれだけ待ちわびたか。

実践に参加させていただけるのは今回だけなので、持ち帰れるところは全て持ち帰ろう。

そう思っていたのだが前回の座学の際。


「次回は実戦形式の授業を行う。

今回の指揮はケイオス、そしてショウヤ・フォン・アビステイン。

この両名は自軍を4名選んでおけ。」


なんと、アレク学長から指名を受けたのだ。

後になって知るのだが、学園長直々に頭を下げに来てくれていたらしい。

過去に思うことはあれど、逆の立場なら自身も同じことをするだろうと思いアレク学長も納得したのだとか。

本当に学園長の生徒への想いの強さには頭があがらない。

忙しい身だろうに、わざわざ僕1人のために片道5日かかる距離を移動し、好かれていない相手に対して頭を下げれるのだから。

上に立つ者の姿勢として、学ぶべきことが沢山だ。


話を戻して、指揮をとらせてもらえるとは思っていなかった。

ケイオス・デカルガ。

新人戦代表で決勝では本来イオと闘う相手だったはずだ。

他のメンバーと違って寡黙で、失礼ながら影が薄い印象がある。

それでもノースリンドブルムで新人戦代表に選ばれる程の実力者だ。

相手にとって不足はない。


さて、メンバーを集めなくては。

と言っても気軽に声をかけれるのはアンジェリーナさんしか居ないのだけどね。

緊張しながら声をかけると、2つ返事で了承してくれた。

1人だと声をかけづらいでしょうからと、残りのメンバーも一緒に探してくれるそうだ。

本当に彼女が居てくれて良かった。



残りの3人はアンジェリーナさんの推薦ですぐに見つかった。

普段仲良くしているメンバーなんだとか。

僕のことも普段から話してくれていたようで、喜んで力になると言ってくれた。


ノースリンドブルムの生徒はガラの悪い連中ばかりだと思っていたが、アンジェリーナさんのように優しく温かい人もちゃんと居る。

これはこの学園交流の中でよく分かった。

ユニークスキルを持つ生徒が自分は特別だからと天狗になっていて、それに乗っかった取り巻きも含めて悪いイメージになっているだけのことだった。

いかにノースリンドブルムの生徒とはいえ、僕らと年齢も変わらない同じ1人の学生なのだ。

ここに来るまでの自分の認識が、いかに狭いものだったかを恥じよう。



-----


「それじゃあ、準備はいいかい。」


学園は違えど、今この場の仲間たちに声をかける。

各々表情は違えど頷きを返してくれた。

こちらの布陣は攻め3、守り2のオーソドックスなもの。

守りは僕とアンジェリーナさんが務め、他の3人に遊撃してもらおうといった具合だ。

この実技の授業は実際の団体戦同様、クリスタルの防衛戦だ。

普段から慣らしておくことで、実際の団体戦でもきちんと動けるようにとのことらしい。

自陣のクリスタルの前に陣取り、開戦を待つ。


「それでは模擬戦始め!!」


アレク学長からマジックアイテム伝いで開始の合図が出された。

今回のフィールドは山の中。

見晴らしの悪さはこの上ないが、それは相手も同じだ。

木々に隠れながら攻撃部隊がそれぞれに散っていった。


神経を尖らせながら周囲を警戒していると、味方が1人撃破されたとアナウンスが入った。

なるほど、こうやって戦況が把握できるのか。

しかしやはり新人戦代表メンバーが相手なだけある。

こちらのメンバーも決して弱くはないが、相手の方が一枚上手のようだ。


そんな関心をよそに、すぐさま2人目撃破のアナウンスが入る。

いくらなんでも早すぎる。

つい先ほど散っていったばかりなはずだ。

1対1の実力差はそこまでないと思う。

ということは、囲まれて撃破されたということだろうか。


「これはきついわね。」


アンジェリーナさんも思わず苦笑いをしながらつぶやいた。

そして、悪い予感というのは得てして的中するものなのだ。

前方から2人組が2組、計4人が視界に入った。

攻撃4人だなんて、思い切った作戦をする。

その中には新人戦代表のザッケンローの姿もあった。


「『凍てつく刃(アイス・ブレード)』」


アンジェリーナ得意の氷属性強化魔法。

かつてシャルロットの竜をも凍らせた威力のそれは、少し離れているのにも関わらず寒さを感じるほどに空気を冷やしている。

遠距離が得意な相手に遠い場所で構えるつもりはないと言わんばかりに、4人が一斉にアンジェリーナに斬りかかった。


「おいおい、女性に男4人が寄ってたかって斬りかかるとはどういう了見だ。」


僕1人にしてしまえば後は問題ないとでも言いたげなその攻撃。

そしてお世話になっている恩人(なかま)へ向けられている刃。

アビステイン次期国王として、仲間を見捨てることなどできはしない。


アンジェリーナも剣を構えるも、その前方へと身体を滑り込ませた。

アンジェリーナの驚いた声とほぼ同時に。


「真名開放─『二つで一つの銘刀(かんしょうばくや)』!!」


地面から吹き荒れる突風に、ザッケンローたちが一瞬怯んだ。

その隙は、見逃さない。

ここで狙うはザッケンローしか居ない。

左手でザッケンローの剣を思い切り打ち上げる。


「馬鹿め!俺様のユニークスキルを忘れたか!」


打ち上げた剣に黒いモヤがかかる。

あとは斬りかかれば、新人戦のアカネくんの二の舞だ。


だが、それがどうした。


「お前こそ、僕のユニークスキルを忘れたか?」


剣に集まった魔力を霧散させ、右手で左肩口から斬りかかった。

以前ユウリに見せてもらった動きのアレンジだ。

やはり僕は、仲間に助けられてばかりだな。


「『流れゆく双剣フルーソ・ピストレーゼ』」


まともに斬られたのは初めてなのだろうか。

大げさに痛がりながら転がるザッケンロー。

アナウンスで撃破宣告が流れた。

これでもまだ3対2でこちらの分が悪い。


そんな僕の気持ちをあざ笑うかのように、こちらの攻撃メンバー全滅のアナウンスが流れた。

さらに技の隙を狙う、後ろから斬りかかる敵の気配。

これはさすがにまいった。

一矢報いたとはいえ、やりきれないな。


「飛べ。『飛竜─雪華(せっか)』」


ノースリンドブルムに来てから一番聞き慣れた声が響いた。

僕の死角から斬りかかってきた相手を飲み込むように飛ぶ雪の竜。

直線に飛び、少し離れた木にぶつかり消滅した。

日光に当たりキラキラと光りながら散るその姿は、まるで華のようだ。


「綺麗な技だ。」


そんな感想を呟いてしまった。

直後、背中に背中が押し付けられる感触。


「ふふ、ありがと。背中は任せるわね。」


2人目のダウン宣告がアナウンスされ、この場では2対2。

今の攻撃で敵を分断し、それぞれが向かい合う形となった。

外様である僕を信頼して背中を預けてくれるとは。

何度目か忘れたが、まいったね。

これに応えないとアビステインの名が廃る。


「『双剣のつむじ風トゥルビネ・ピストレーゼ』」

「凍れ。『雪月花の魔女ソルシエール・ド・グラス』」


以前よりも勢いのついた回転斬りに加え、『二つで一つの銘刀』から起きる風を利用したものだ。

防御もろとも打ち払い、3人目のダウン。

後ろを振り向くと、イオの『大寒波』と同じレベルで凍り付いた敵の姿があった。

当然アナウンスが流れる。



互いに肩で息をしているものの、4対2という不利な状況を覆した僕たちはどちらからともなくハイタッチを交わしていた。


「それじゃあ、もう守る意味もないだろうし行こうか。」


アンジェリーナも頷き、敵陣へ向けて2人で走り出す。

ケイオスが陣取るクリスタルの前に到着すると、両手を挙げて降参された。

魔法が使えない状態ではアンジェリーナ1人でも勝てないのに、2人の相手はできないとのことだ。


「それまで!

勝者、ショウヤ・フォン・アビステインチーム!」


思わず左手で小さくガッツポーズをしてしまった。

右手を挙げながら近寄ってくるアンジェリーナにハイタッチで応えた。



助けられた部分も多かったが、間違いなく成長を実感できているぞ。


まだまだ満足するつもりはないけどね。

ひとまずはこの勝利を喜んでおこう。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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