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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第8章 夏休み編

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七十五ノ舞「ツーマンセルフライ」


-----イオ視点


ブライデン王国の首都、ブライドに到着してから3日が経ちました。

そのど真ん中に堂々とそびえ立つ宮殿に居ます。

正しくは宮殿敷地内のポーラン家ですけど。


一国の王女という立場上、宮殿とマジックギルド学院以外での行動を制限されている現状です。

アリスと魔法談義をしたり、トニーさんに勝負を挑まれたり、マリーナさんに薬草知識を教えて頂いたり、トニーさんに勝負を挑まれたり。


私はそんなに闘うことは好きではないのですけどね。

なんというか、アビスリンドには居ない純粋な目といいますか。

いえ、アビスリンドの皆さんの目が濁っているとかそういうわけではないんですけど。

純粋に力比べが好きな人だなあという印象です。

むしろそれが彼なりのコミュニケーションなのかもしれないと思い始めているくらいです。

1日1回必ず勝負を挑まれるので、毎日実践訓練も積めているのはありがたいな。



あとはユウリさんのことを根掘り葉掘り聞かれるくらいですね。

この家の全員に。


ええ、確かに同じ部屋で生活をしていますとも。

それでもアリスやトニーさんはともかく、アリスのご両親やメイドさんにまで聞かれるとは思いませんでした。

ユウリさんごめんなさい。

私も楽しくなって、つい喋りすぎちゃいました。


寝る寸前にアリスに「貴女はユウリくんのこと好きな自覚はあるの?」と聞かれて、危うく宮殿の一部を破壊してしまうのではないかと思えるほどの魔法合戦になってしまうくらいには、楽しそうに話していたみたいです。

プラグニスさんが止めに入ってくれなかったら大変なことになるところでした。

猛省です。


仕方ないじゃないですか。

認めてしまったら、今の関係が壊れてしまいそうで怖いんです。

だからこの気持ちは認めないし、気づいていないように振る舞う。

兄さんと同じように、憧れです。それ以外は認めません。



というかそれはおいておきましょう。

マジックギルド学院でのお話し。


マジックギルドでは夏休みも希望者は授業を受けることができるそうで、ありがたくその制度を使わせていただいています。

もちろんアリスとトニーさんも同伴です。


ブライデン王国に到着した初日は、魔法の進歩の差に度肝を抜かされました。

街で人が空を飛んでいるなんて思わないじゃないですか。

到着早々アリスに教わりましたとも。


そしてその魔法が必須な授業などもあり、とにかく全てが魔法、魔法、そして魔法です。

ワンダーランドです。夢の国です。

・・・言い過ぎました。


まだ3日目の終わりではありますが、ここに来てよかった。

今までの魔法の常識は完全に壊され、新しい世界が開けた。

そんなところに、あと1ヶ月半も居れるなんて。

吸収できるものは全部吸収していかないとですね。



-----


4日目の早朝、家の外に魔法の気配を感じて目が覚めました。

こんなに朝早くから、なんでしょう。

そう思い窓から外を見て、個人戦の結果に納得してしまいました。


プラグニスさん特製の結界の中で、すでに汗だくのトニーさんとアリスが全力で闘っていました。

アリスは分身を出しているし、トニーさんも疑獣化(ビーストモード)


アリスに至っては、夜遅くまで魔法の勉強をしていて私よりも寝るのは遅かったはずなのに。

汗だくということは、ほんの数時間しか寝ていないということだ。


そこまで努力をしている天才に、勝てないのは当然です。

自分では努力しているつもりになっていました。

個人戦優勝という最高の結果を残してなお、自身を高めようとするアリス。

このままでは差は開く一方になってしまう。


負けていられませんね。


そうと決まれば即行動。

動きやすい恰好、といっても学園のジャージですが。

に着替えて早速外へ向かう。


2人に近づくと、トニーさんが早速こちらに気付きました。

流石の鼻の良さですね。


プラグニスさん特製の結界は魔法を遮断するものだそうで、アリスが神話級魔法を使用しても宮殿に被害が出ないようにするためのものだそうです。

その中でなら全力で闘える。


「2人まとめてお相手させてください。」


杖を構えて臨戦態勢を取ると、2人は驚きながら顔を見合わせていた。

なんですか、文句あるですか。

団体戦や男女ペア戦を見越して、という気持ちも無いわけではないですけど。

それよりも純粋に、ユウリさんでも歯が立たなかった2人に対してどこまで闘えるのかを知りたい。

今の自分の実力を知っておきたいんです。


「良い目だべ、イオ!後悔すんなよ!」


言いながら飛び込んでくるトニーさんと、溜息をつきながらも魔法を準備するアリス。

本当に良い仲間、ライバルと出会えました。


この出会いに、心からの感謝を。


結局2人にボコボコにされては『完全回復』を使われてボコボコにされて・・・

何回やってもコンビネーションを突破することはできませんでしたけどね。


この日から毎朝、アリスとトニーさん2人を相手に実践訓練を積むことになりました。



-----


「最後、ポーランとアビステイン!準備しな!」


マジックギルドの飛行魔法の授業中。

2人1組で決められたコースをそれぞれが1周の計2周。

その合計タイムを競うという授業を受けています。

ツーマンセルフライ、という競技だ。


他の学園で言うところの体育みたいなものですね。

全員がジャージに着替えて箒にまたがるというシュールな絵ですけど。


勝手なイメージですが、魔法使いといえば箒と杖ですよね。

まさか自分が箒に乗って飛ぶ時が来るとは思いませんでしたが。


先生に呼ばれた通り、授業に参加した多くの生徒の中で私とアリスのペアが最後に飛ぶことに。

なんでもアリスは飛行魔法の達人だとか。

だからこそ経験の少ない私と組ませたのでしょう。


箒にまたがり空中にあるスタート位置につこうとしていると、アリスが耳打ちをしてきました。


「飛行中は重心を低くして、手で箒をしっかりと掴んでハンドルと思ってね。

わたしが先に飛ぶから、お手本を見てなさい。」


そう言うと地面を蹴り上げ、スタート地点へと飛んで行ってしまった。

ハンドル、ですか。

乗り物の運転はしたことがないのですが、とりあえずやってみることにしよう。

それではアリスのお手並み拝見です。



「ポーランには障害物も用意したよ!

それでは、用意・・・スタート!!」


パァンと大きな音が鳴った瞬間、アリスがものすごいスピードで飛び始めた。

こういうところを見ると、アリスはやっぱり天才なんだと改めて思い知らされる。

今までの組で一番速かった2人よりも圧倒的に速い。

そのうえで速度を落とさずに、急に目の前に現れる障害物を瞬時に躱しているのだ。


絵で描くような雷の形のような動きで障害物を躱し。

多くの生徒が苦戦した後方への1回転の空中旋回もお手の物。

その全ての動きの際に、箒を握った両手に力を込めているのが分かる。

動きたい方向に柄の先端部分を誘導してあげればいいということですね。


そうこうしているうちに最終コーナーも曲がり、最後の直線。

私の姿を確認した瞬間、「前へ」という合図を送ってきた。

もう進め、ということですね。


マラソンのようなタスキやバトンはなく、手で相手にタッチすれば問題なし。

追い越し際にタッチしようということでしょう。



重心を低くして、放出した魔力を箒に吸収させた瞬間。

アリスの手が私の背中に触れた。

力を込め続けたアリスの温かい手が触れた感触はあった。

それでも次の瞬間には自分が切っている空気によって身体中が冷たくなっていく感覚に襲われた。


自分ではどのくらいスピードが出ているのか全く分かりませんが、周りの景色に気を配れるほどの余裕はありませんね。

とにかく道を踏み外さないように注意しながら、可能な限り最速で!


アリスとは違って障害物はなく、カーブ以外は直進でいいのは助かります。

確かこの右カーブを曲がって少し進んだところに、後方に向けて1回転しなくてはならない箇所があるはずだ。

ハンドル、もとい箒の柄を右にきると案の定、少し先にアトラクションが見えた。

先にアリスに行ってもらったのは正解だった。

ある程度の心の準備ができたから。


意を決して上に向けて柄をあげると、道の通りにぐるんと旋回した。

なるほど、これは面白い。

最初に箒で飛ぼうとした人の気持ちも、こんな感じだったのでしょうか。


今まで知らなかったことが出来るようになる喜び。

それが魔法の楽しさであり、奥深いところ。

こんな気持ちは久しぶりです。


ワクワクした気持ちのまま最後のカーブも曲がり切り、一気にゴールまで駆け抜けた。



魔力の供給を止め、その場に停止。

意外と疲れますねこれ。

全力で魔力を放出し続けたうえで吸収させ、なおかつ魔力の放出の方向を変えなくては曲がれない。

なるほど、他の魔法に役立つ部分ばかりで素晴らしい授業です。


息を上げながらそんな事を考えていると、アリスが勢いよく飛び込んできた。


「ちょっ、あぶな・・・!」

「やったわ、イオ!ツーマンセルフライの新記録のタイムよ!」


危うく箒から落ちるところでした。

一応地面から10メートル以上は上空に居るので、落ちたらひとたまりもない。

記録が映し出される魔道具を見ると電子表示がされていた。


「アリス・ポーラン 27秒29

イオン・フォン・アビステイン 30秒42」


障害物があったうえで3秒以上も差をつけられているのですか。

新記録と言われても、これだけ見せられるとアリスが凄いだけな気がします。

そう思っていると、画面が切り替わり記録の表示がされた。


「1位 57秒71 2位 57秒89」


1位の隣にNEW!と追加で表示が出る。

確かに新記録のようですが。


「わたしも自己ベストを更新できたし、イオも32秒の壁を初めてのフライトで突破するなんて凄いことよ!」


32秒の壁とは。

あ、でも確かに今日参加した生徒の中で32秒を切っている人は他に居なかったです。

それだけ大きな差ということなのでしょうか。


「なんにしても、今日は組んでくれて礼を言うわ。

ありがとう。」


同性の私でもドキッとしてしまうような、アリスの嬉しそうな笑顔。

貴女を倒すための修行のつもりで来たのに、調子狂うなあ・・・。



地面に降りると、授業に参加していた生徒から質問攻めにあいました。

飛行のコツやら、普段の魔法の鍛錬の方法などなど。


全部アリスの方が優れているのですけどね。

それでも、悪い気はしなかった。



ここに来てから楽しみながらも、着々と自身の力となっていることを実感できている。

この調子で残りの1か月と少々。


皆さんに置いて行かれるつもりは、ありませんからね。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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