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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第7章 個人戦後編

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七十一ノ舞「そしてそれは対戦相手も同じで」


「『分身の術』!」

「『大地の盾(アース・シールド)』」


思っていたよりも静かな立ち上がりだ。

そんな感想を抱いた瞬間、アリスが分身と共に動いた。


「氷よ、舞い上がれ!『雪結晶の万華鏡(クリスタル・パレード)』!」


サクをも翻弄した多方向からの氷属性中級魔法の乱舞。

確かに見ている分には美しい技なのだが、イオからしたら『大寒波』を打たれているようなものだろう。


「『ブラスト・ファイア』!」


イオの杖から、イオの3倍はあろう大きさの火の玉が現れ、雪結晶を徐々に溶かしていく。

杖を振り下ろすと、火の玉はアリスに向かって飛び出した。

しかし溶け切らなかった雪結晶がイオに次々と命中し、音を立てて全ての『大地の盾』が消滅した。


「猛き水の流れよ!『ウォーターフォール』!!」


飛んでくる火の玉に向け、名の通り滝を連想させる量の水が飛ぶ。

最上級魔法を完全に消火し、そのままの勢いでイオに向かう滝。

しかしイオはその程度ではひるまず、以前アリスを仕留めた大技を放った。


「『大寒波』」

「炎の渦よ!『ファイア・ボルテックス』!!」


壇上が氷漬けになり、アリスの分身が全て氷に捕らえられて霧散する中。

炎を纏いながら、凍った滝の上に着地するアリス。

それを見ながら、ふうと一息つくイオ。



「何が起きているんだ、この攻防はー!?

アリス選手の『分身の術』とイオ選手の『大地の盾』で静かに始まったと思えば一転!

分身を駆使したアリス選手の『雪結晶の万華鏡(クリスタル・パレード)』に対し、イオ選手は炎属性最上級魔法の『ブラスト・ファイア』で応戦!

しかし溶かしきれずに3回のダメージが入ったのか、3枚あった『大地の盾』は全て消滅!


炎属性最上級魔法に対してアリス選手は水属性の上級魔法で消火!

イオ選手がその水を利用して『大寒波』を発動!

アリス選手はそれを読んでいたかのように、分身を足場に高く跳躍して『大寒波』の影響が少ない上空に逃れ、分身が氷漬けにされ全て消滅するもオリジナルは『炎の渦ファイア・ボルテックス』を身にまとい無傷!

凍り付いたフィールドの上に立つ2人に、大闘技場からは大きな歓声があがっております!!」


無詠唱と短縮詠唱による強力な技の打ち合い。

ここまでは互角と言っていい攻防だがアリスは分身の術で、イオは最上級魔法の連発で互いにいきなり大きく魔力を使っている。

長期戦なんてする気はないと言わんばかりの大技の連打に、実況の言う通り大歓声があがっている。



「次から次へと、即座に相性の悪い魔法をぶつけてくるなんて良い性格してますね。」

「無詠唱で最上級魔法をポンポン使われるこっちの身にもなってほしいわ。」


言いあいながらも、2人ともとても楽しそうな顔をしている。

互いに全力を出し合って魔法を打ち合える相手なんて、他に居ないだろうからな。

次のアカネと俺も、それは同じだ。


ふとアカネを見ると、ちょうど俺を見てきたようで目があった。

真剣な目をしつつも、互いにフッと笑ってしまった。



「『分身の術』!」

アリスが6人に分身した。

神話級魔法の準備のため、それぞれが別の呪文の詠唱を始めた。


「炎の渦よ!ファイア・ボルテックス!」

「氷の風よ!オーロラ・ウィンド!」

「雷の一閃!電撃(エレクトリック)!」

「光の龍よ!ライトニング・ドラゴン!」

「深淵の闇よ!暗黒世界 アブソリュート・ダーク


分身が発動したそれぞれの上級魔法を、オリジナルが紡いでゆく。

しかしイオもそれをただ待っているわけではない。

杖を高々と掲げ、詠唱を開始した。


光氷属性(ホーリーアイシクル)・・・接続(コネクト)。」


「天界に昇りし、神聖なる光の加護よ!

その力は闇を照らし、魔を祓い、恵みを(もたら)す!

我が祈り届くことが叶うのならば、その神聖なる輝きを賜らむ(たまわらん)ことを願おう!

光よ!輝きよ!この地全ての闇を祓いたまえ!!」


アリスはそれぞれの上級魔法5つを紡ぎ。

イオは最上級魔法を2つ組み合わせる。


魔力の使用量で言えばイオの方が大きいだろう。

だがアリスは5つの魔法を寸分の狂いなく嚙み合わせなければならない。

それはとんでもなく集中力、体力を要する作業だ。


炎闇属性(ファイアーダークネス)・・・接続(コネクト)

雷属性(ライトニング)・・・接続。」


「天空を支配する神々の王、唯一神よ!

我が双蛇双翼の杖(ケリュケイオン)にて甦らん!

世界を破壊する力、矮小な寄り手に見せつけたまえ!

雷霆の輝きを以て、全知全能の威を見せよ!!」


「両混成魔術、制御開始・・・完了。

全制御行程完了!全属性(オールマジック)・・・接続(コネクト)!!」


2人の神話級魔法が完成した。

5メートルはあろう光輝く竜。

そして大量の雷を纏った巨大な槍。



神話級魔法同士の激突。

この先の人生で見る機会があるのだろうか。

普通の生活を送る人たちではおそらく一生見ることのない激突が、俺たちの前で繰り広げられようとしていた。

先ほどまで大歓声に沸いていた大闘技場は、緊張のせいか静まりかえっていた。


互いに互いを認めあう、2人の天才魔法使い。

その手に持たれた杖が、同時に振り下ろされた。


「『雷霆纏いし光の槍ジュピターズ・スピアー』!!」

「『全知全能の咆哮(ブレス・オブ・ゼウス)』!!」


光輝く竜の口から赤黒い球体が電気を纏い、イオに向かって飛んでゆく。

その攻撃に向けて放たれた巨大な槍が球体に触れる瞬間。


「『雷撃(サンダー・ボルト)』!!」


トニーの時と同じく、槍を回転させる雷撃が放たれた。

回転が加わった槍は球体に触れた瞬間威力に押されたものの、球体を霧散させ光輝く竜へと向かう。

そこでアリスが咄嗟に竜を前に飛ばす。

回転しながら飛んでくる槍に対し、一直線に竜を飛び込ませた。


竜の口から体内に取り込み、威力を相殺させにいった。

しかしその程度で槍は止まらない。

大きな破壊音を立てながら一瞬で竜の半分以上を貫く。


だが竜自体も混合魔法だ。

全て貫かれる寸前、完全に威力を相殺。


光属性と雷属性によるまばゆい光を残し、互いの神話級魔法は消滅した。


凄まじい相打ちに、先ほどまで静まり返っていた大闘技場は熱気を取り戻したかのように大歓声に揺れた。


神話級の威力、発想、機転、その全てが完全に互角。

序盤から飛ばし、最大威力の魔法を放った影響で目に見えて疲労が見えたのはイオだ。

左手を膝につき肩で息をしている。


一方のアリスは肩で息はしていても、体勢を崩してはいなかった。

俺やシャルロットとの鍛錬についてきただけのことはある。

おそらく、この時のための努力だろう。



イオが負けじと身体を起こして杖を逆手に持ち、剣のように構えた。

今までに見たことのない構えだ。

いや、1度だけある。入学したての先輩との交流戦の時だ。

ということはついにアレを出すつもりなのか。


「現世に漂う英雄の御霊よ。

我が肉体を依り代に蘇り給え!

来なさい!八艘飛びの豪傑、牛若丸!!」


イオの長いローツインテールを大きく揺らすほどの突風。

風が止みイオが目を開くと、普段の目つきとは全く違っていた。


それを見たアリスが大きく目を見開く。

自身が使用することのできない魔法、降霊術。

先ほどまで闘っていたライバルとは全く違うオーラに、思わず後ずさっていた。



-----シャルロット視点


昨日の特訓で牛若丸に『大輪の狐百合グロリオーサ・シールド』を破られた。

もちろん1撃というわけではなかったけど。

アタシの反撃はほとんど飛んでかわされた。


ただ、イオの身体であれだけの動きをするのだ。

間違いなく今は全身筋肉痛に襲われているだろう。

それでいてもなお降霊術を使用した。


本当に負けず嫌いなんだから。

たぶん、アビスリンドで一番の。


イオの体力はもうそんなに残っていないでしょうね。

残った力は全て、これからの攻防に使うつもりなのか。


イオの努力する姿勢と、こういう覚悟は見習わないと。

負けていられるものですか。



-----アリス視点


これはちょっとヤバいかも。

てっきり魔法戦で決着がつくと思っていた。

だからこそ神話級魔法まで使ったのに、ここに来て降霊術を使っての剣技。

体力も限界でしょうに。


でも、そこまでしたくなる気持ちは分かる。

だってわたしも、貴女というライバルに勝ちたいからここまで努力を重ねてきたのだから─!


昨日は発動まで時間をかけすぎたけど。

今のこの凍り付いた壇上は好都合。

だいぶ手順を短縮できるわね。


「炎の渦よ!ファイア・ボルテックス!」


分身を使って地表の氷を溶かしてゆく。

氷が溶け水になり、やがて水蒸気となる。

そして気温が低いところに発生した水蒸気は上昇気流となって・・・!


()を前にして戯れとはな。」


イオの姿、声でその口調は違和感しかないわね。

そんなことを思った時には既に剣が振りぬかれ、わたしは思い切り壇上を囲う壁まで吹き飛ばされていた。



----通常視点


「アリス・ポーラン1ダウン!!

場外カウント、10!」


「直前までの魔法戦とは打って変わって、剣戟一閃!!

先にダウンを奪ったのはイオン選手だー!!」


ここに来てようやくの初ダウン。

なんとか立ちあがるも、フラフラと歩きながら壇上へと戻るアリス。

モロに入ったけど、大丈夫だろうか。


「試合再開!」


「嫁入り前の身体に随分ね。」

「戦場に立つ以上は女子供だろうと容赦せんわ。」


ごもっとも。

牛若丸とは話が合いそうだ。

しかしそんな話をしながらもアリスは分身を使い、無詠唱で氷属性魔法と火属性魔法を使っていた。

火属性魔法は上空から地面に向けて。

氷属性を地面から打ち上げる形で。


「まだ戯れを続けるとは、肝の据わったおなごよな。」


言いながら分身を一瞬で全て消し去り、なおかつアリスにも1撃与えた。

あまりにも速すぎる。

速度で言えば姉さんに匹敵するのではないかと思うくらいだ。


しかしイオの身体でそんなことをしては、身体が悲鳴をあげるだろう。

アリスが壇上に倒れるのと同時に、イオも膝をついた。


「両者ダウン!

アリス・ポーラン2ダウン、イオン・フォン・アビステイン1ダウン!

試合再開!」


即座に両者立ち上がり、試合が再開された。

イオの身体はとっくに限界を超えている。

おそらく、まともに動けるのは次の攻防が最後だろう。


対するアリスも膝に手をついて苦しそうな表情だ。

しかし口元だけはニヤリとしていた。


「行くわよ!!雷の一閃!『電撃(エレクトリック)』!」

「その程度、飛び躱してくれるわ!!」


アリスの杖から電撃が放たれる。

しかしその杖の先は牛若丸ではなく、上空を向いていた。



水蒸気が上昇気流となり上空へとあがり、それが温められると再び水分となる。

そして氷魔法によって空気中に強引に氷の粒を作り出す。

その粒がぶつかることによって、電荷がたまる。


()()

アリスはこれを全て魔法で作り出したのだ。

雷雲に向けて雷属性魔法を打ち込む。

それさえもアリスの制御下にある。


つまり、完全にアリスがコントロールできる()()の完成だ。


神話級雷属性魔法レジェンダリー・ライトニング 雷神の裁きジャッジメント・ボルテックス!!」


壇上に容赦なく降り注ぐ雷。

牛若丸は雷が落ちてくる寸前に跳躍して躱していた。

その勢いのままアリスへと向かう。


「万物両断!!」


アリスが後ろに大きく飛んだ。

それに対応し、さらに1歩踏み込む牛若丸。

さすがに速度では圧倒的に牛若丸だ。

イオの杖の先がアリスに向けて振り始められた瞬間。


アリスは不敵に微笑んだ。

バリバリと大きな音を立ててイオを貫通する雷。



黒い煙を上げて前のめりに倒れるイオ。

アリスは肩で息をしながら見下ろし、拳を強く握りながら高く掲げた。


「雷より速く動ける人間なんていないのよ。

それは昨日、確信をもったわ。」


「イオン・フォン・アビステイン、試合続行不可能!!

勝者、アリス・ポーラン!!」


「やっ・・・たあああああああああ!!!」


掲げた拳を引いた全力のガッツポーズと、大きな叫び。

大闘技場の大歓声にも負けず、勝者の声は高々と響き渡った。



魔法の才能では優劣をつけられないライバル。

1度は苦汁をなめさせられた相手への、待ち望んでいたリベンジの機会。


出来る努力は全てしてきた。

そして遂に、念願のリベンジを果たした。

嬉しさはアリスにしか分からないだろう。


「神話級魔法炸裂ー!!!

この2人を見ていると神話級魔法が簡単に思えてしまうかもしれませんので補足しておきます!

神話級魔法は絶大な魔力の使用、そして針に糸を通し続けるほどの魔力制御力、魔法同士の相性やそれが及ぼす結果などの知識。

言えばキリがないですが、これら全てが必要であり、この大陸でも使用できる者は10人程度でしょう。

学生のうちに完成させたという前例がなかった以上、この両名の魔法の才能は後世に語り継がれること必至です!

そんな天才2人が同学年に生まれたのは、間違いなく奇跡!!

激戦を制したアリス選手、そして敗れはしたものの激闘を繰り広げてくれたイオン選手。

学生の域を超えた奇跡の闘いを繰り広げた両名に、最大限の賛辞をお送りしたいと思います!!」



実況解説だけでなく大闘技場全体が盛大な拍手、そして大歓声に揺れる。

俺も拍手をしているとアリスと目が合うと、満面の笑みでブイサインをされた。

拳を握り突き出してやると、今度はニヤリとした顔で杖を向けてきた。


ジャンケンは勝ったんだけどな。

次は貴方と言わんばかりに向けてくるなよ。


俺も正直、今回ばかりは絶対勝ち上がるとは言い切れない相手なのだから。



目を瞑り深呼吸。

深層の扉をこじ開けて『高天原(たかあまのはら)』に入り、目を開ける。


イオが担架で運ばれていくのを横目に、即座に壇上にあがっていた。

そしてそれは対戦相手も同じで─



「これから15分の休憩ののち、準決勝第二試合を・・・えっ?

はい、えっ、今からですか?分かりました。

えー、それでは熱気が収まらないうちに第二試合を開始したいと思います!!」


今までで一番集中しているのではないかと思えるほど鋭い目つきのアカネ。

緊張しいだったとは思えないほどの落ち着きだ。

抜き放った剣を持つ手は、武者震いで少し震えているけどな。

これは心してかかろう。



「それでは個人戦準決勝第二試合!

ユウリ・アマハラ対アカネ・オオヒラ、試合開始!!」



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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