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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第7章 個人戦後編

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六十六ノ舞「守ってもらうだけなんて」


「続いては第2試合、Bブロックを勝ち上がってきた2人による闘いです!

マジックギルド学院1年、アリス・ポーラン選手。

ノースリンドブルム学園2年、ヘノッヘ・ノーモ・ヘッジ選手。

『魔術師キラー』の異名を持つヘノッヘ選手に対し、伝説級魔法をも披露した『全能のアリス』がどう立ち回るのか!

目が離せない一戦です!」


「ヘノッヘ選手の公式戦データを先ほど確認したのだが、この2年間での対魔術師の対戦成績5戦5勝は素晴らしい。

その全てで魔術師相手に1度の傷を追うことなく勝利しただけあり、今回も自信満々の表情だな。」



ショウヤよりも魔術師キラーな人が居るとは思わなかった。

ユニークスキルは世界に1つしかないので、『魔力干渉』ではないだろう。

一体どんな能力で数々の魔法を撃ち落しているのか、見ものだな。


イオの勝利を目の前で見たことで、アリスも俄然やる気になっている。

『全能』としてのプライドか、はたまたイオに負けず劣らずの負けず嫌いなのか。

普段通りのクールな表情に見えて、闘志はむき出しだ。

もちろん勝ってほしい気持ちはあるが、無茶だけはしないでほしいところだ。


「それでは第2試合。

アリス・ポーラン対ヘノッヘ・ノーモ・ヘッジ、試合開始!!」


誘導導線インダクション・コンダクター

「分身の術!」


普段通り、ボンと音を立ててアリスの分身が6人現れた。

俺自身も使用できるから分かるのだが、同時に6方向に魔力を放出するのは並大抵の操作ではできない。

俺は4方向が限界だ。


対してヘノッヘも何かを発動するも、見た目には特に変化は見えない。

新人戦のアカネの相手のように、受け身で発動するタイプのスキルだろうか。

なんにしてもここまで勝ち上がってきた強者なだけに、油断は禁物だ。


「分身の術!」

アリスがさらに6人の分身を出した。

壇上に13人のアリスという、なんとも不思議な光景だ。

その光景の中でも不思議なのは、分身が4人ずつに分かれて3か所に配置されていること。

そしてオリジナルが中央に立って相手と対峙し、まるで扇の形になっている。

前衛と後衛のような配置に、離れている俺でも威圧感すら感じる程だ。



ヘノッヘがオリジナルのアリスに向けて一歩目を踏み出した。

その瞬間、短縮詠唱の『風の刃』で応戦するアリス。

同時に左側の分身グループ。以降左からグループA~Cとしよう。

グループAの3人が同時に短縮詠唱を開始した。


「聖なる光よ!回復魔法(ヒール)!」

「癒しの光よ!治癒能力上昇(リジェネレート)!」

「癒しの波動よ!再生能力上昇(リバイブル)!」


「聖属性初級、中級、上級魔法・・・接続(コネクト)

伝説級聖属性魔法レジェンダリー・ホーリーマジック完全回復(リザレクション)!!」


直後、ヘノッヘが振り下ろした剣をバックステップで回避した。



今起きたことを順を追って説明していこう。


まずオリジナルの放った『風の刃』。

ヘノッヘが左手の人差し指を自身の右に振ったことで、そっくりそのままの軌道を辿りヘノッヘを避けていった。


次にグループAによる完全回復。

これは後でサクから聞くことになるのだが、6人分身は恐ろしく魔力を使用する。

それを連発したことにより、オリジナルの魔力回復をさせておきたかったのだろう。


リシリア先輩から相手の情報を聞いていたであろうアリスは、『風の刃』を囮にして誘導させた。

それによって誘導により霧散されずに回復魔法が発動できた。


魔力までも回復する『完全回復』を受けたオリジナルは、『風の刃』をそらしてそのまま突っ込んで来たヘノッヘの斬撃を難なく避けた。

これが今の攻防だ。



何より恐ろしいのは、どれだけダメージを負おうとも気絶や魔力切れを起こさない限りは分身は消えない。

3グループにより魔力までも全回復する『完全回復』も含めた支援を受けれるだけでなく、自身も含めて最大4か所から放たれる攻撃魔法。


これを突破するには一撃でオリジナルを仕留めるか、12人の分身を一度に処理するか。

どちらにしてもこの配置が完成した以上、この試合の主導権は完全にアリスの手の中だ。



ユニークスキルというのは確かに強力だ。

世界で自分しか持っていない特殊能力であり、使い方や鍛え方次第では圧倒的な実力を手にすることができる。

しかしやはりどんな強い能力にも、欠点というものは存在する。


ルカリ・ネス・チップの『砲兵』。

自身の魔力を銃弾として放てるユニークスキルだ。

確かに強力ではあるが1度に6発しか装填できず、6発撃った後は装填するまでは撃つことはできない。


そしてショウヤの『魔力干渉』。

相手の魔力を霧散させたり逆流させたりと、とんでもない能力。

しかしサムライのような魔力を使用しない強者には、まったく意味がない。


1つ1つの能力は強力で、力のない人にとっては欲しい能力なのだろう。

それさえあればノースリンドブルム学園のようなところに目をかけられたりと、実際に優遇されている面もあるのだから。


ヘノッヘの能力もまた強力なのだろう。

向かってきた魔法の軌道、そしておそらく剣の軌道すらも意のままに変えることができそうだ。

しかし操れる軌道は1つだけ。

やってみないと分からないが例えば俺の参式のような同時斬撃や、同時に放たれる複数の魔法に対しては対処できるのか。



そんな疑問をアリスも感じたのだろう。

3つのグループが同時に詠唱を開始。

それぞれが違う魔法だ。


グループAが炎、風、闇の中級魔法を。

グループBは氷、光、雷の上級魔法。

グループCは水、風、土の上級魔法だ。


オリジナルは他の魔法が霧散されないように、短縮詠唱で中級魔法を連発して囮になっている。

それぞれのグループの残った1人が3つの魔法を接続し、最上級魔法に匹敵するであろう魔法を練り上げた。


しかし対戦相手のヘノッヘも、ノースリンドブルムで代表になるほどの選手だ。

オリジナルから放たれる中級魔法を回避しつつも、練り上げた魔法が放たれる前に1つを上空へ飛ばした。

放たれた直後にさらにもう1つを、アリスのオリジナルへ向けて軌道を変えた。


アリスもこの発想はなかったようで、2人同時に最上級魔法を被弾する形となった。

両者ダウンが宣告されるも、なんとか立ち上がり試合再開。


ダメージが残るヘノッヘに対し、オリジナルが囮となりながら3か所からの『完全回復』。

中級魔法を捌きながら1つの軌道を上空へ、1つの軌道を自分へと変更。

互いに『完全回復』の恩恵を受けた。


アリスの攻勢かと思いきや、ヘノッヘの機転により振り出しに戻る。

この攻防に、大闘技場は大歓声に沸いていた。



イオと闘った際も魔法を受けていたし、魔術師だからといって魔法耐性があるというわけでもない。

相手を回復させるリスクがあっても、自身のダメージも大きかったのだろう。


ちなみに隣で観戦しているイオはというと、アリスの2つ目の伝説級魔法に開いた口が塞がらないようだ。

伝説級魔法を生み出すのに、イオがどれだけ苦労したかがうかがえる表情だった。



-----アリス視点


撃ち落されるだけだと思っていたのに、まさかわたしに向けてくるとは思ってもみなかったわね。

去年の新人戦で闘って敗れたリシリア先輩から、同時に軌道修正はできないだろうと聞いていたのに。

指1本でここまで対応されるなんてね。


それでも負けるわけにはいかない。


リベンジしたい相手が、目の前でわたしと闘う舞台に立ったのだもの。

勝って、そこに立たなくてはリベンジは果たせない。


そしてもう1つ。


将来の旦那様が、こんなに近くで応援してくれている。

それだけでわたしは、いくらでも頑張れる。

どれだけ苦しくても立ち上がれる。


愛する人に信じてもらえてる。


これ以上の負けられない理由なんて、わたしの中には存在しない。



今まで3つに分けていたグループを、それぞれバラバラに。

「分身の術。」

さらに4人の分身を追加。



ふとユウリくんを見ると、やろうとしていることに気が付き心配そうな顔をしていた。


いっつも心配してくれて、優しくて、そしてかっこよくて。

仲間を大事に思って守るけど、自分は無茶をして。


そんな貴方を隣で守って、支えてあげたい。

そうでないと優しい貴方は、きっとまた無茶をしてしまうから。


ユウリくんは家の身分のことを言っていたけれど。

わたしこそ、実力という身分が釣り合わないと誰にも思われたくない。

毎回守ってもらうだけなんて、絶対に嫌だもの。


貴方の隣に相応しくあるために。


わたしは前に進み続けるんだ。



-----通常視点


アリスが囮になっている中。

分身たちが、一斉にあらゆる属性の剣を作っては浮かせ、作っては浮かせ。

1人あたり5本は作ったのではないかと思うほど大量の剣がアリスの頭上に浮かぶ。

以前学園交流に来た際、イオと大量の剣を作って闘っていたのを思い出した。

それと同程度の量の剣が、今は宙を舞っている。

まるで、「指1本で捌ききれるならやってみなさい」と言わんばかりだ。


それが一斉にヘノッヘに対して振りかかった。

ヘノッヘはバックステップで距離を取りつつ、1本の剣のコントロールを奪った。

それをまるですべての剣に当てるのではないかという勢いでぶつけてゆく。

これにより、一気に半数以上が消滅させられた。


しかし、それすらも囮なのだ。


剣を放った瞬間、その後ろでは5人のアリスが短縮詠唱を開始し、オリジナルがそれを紡いでいた。


だがそのコントロールを奪うと、未だ30はあろう剣が自分に降り注ぐ。

かといって剣を撃ち落していると、伝説級魔法が飛んでくる。


完全に詰みだ。


神話級(レジェンダリー)全属性(オールマジック) 全知全能の咆哮(ブレス・オブ・ゼウス)!!」


ヘノッヘは咄嗟に伝説級魔法を上空へと打ち上げるも、無数の剣が降り注ぎ壇上へ沈んだ。


「ヘノッヘ・ノーモ・ヘッジ、戦闘続行不可能!

勝者、アリス・ポーラン!!」


「『完全回復』。」

そう唱え、切り刻まれていたヘノッヘを治療した。

ボンと音を立てて消える分身をよそに、その場から杖をこちらに向けてきた。

正しくは、イオにだ。


次はあなたの番、とでも言いたげな表情だ。

イオも負けじと杖をアリスに向ける。


それを見たアリスはニヤリと笑うと、控えスペースへと戻っていった。



「2つの伝説級魔法、そして無数の最上級に匹敵する魔法を駆使したアリス選手!

『魔術師キラー』をもろともせず、準決勝進出です!!

これによりAブロックを勝ち抜いた、イオン選手との対戦が決まりました!

今大会屈指、いや全学生の中でも最高の魔術師対決に、大闘技場も今から大盛り上がりです!!」



アリスの最後の技。

ヘノッヘが捨て身の覚悟で、剣を何本かアリスに降らせたら。

アリスは無事でいただろうか。

完全回復のために分身を増やしたのだろうけど、当たり所が悪かったら。


たらればを考えても仕方ないとは分かってはいる。

それでもやはり、危険な道を歩んでほしくないと思ってしまう。


これは俺のわがままなんだろうけどな。


そんな思いに自嘲気味に鼻で笑ってしまった。



「さあいよいよ大注目の一戦、Cブロックの第3試合!!

前回優勝のウエストテイン学園3年、リー・セイ選手。

対するはアビスリンド学園1年、ユウリ・アマハラ選手。

今大会の激戦区となったCブロックを勝ち抜いてきた2人による大一番!!

まもなく試合開始です!」



アナウンスに立ち上がり、アカネとイオとハイタッチを交わして壇上へ向かう。


向かい側から上がってくるリーの後ろから、アリスとトニーも拳をあげてくれている。

観客席からはシャルロットとサクの声援がハッキリと聞こえた。



アリスがやられてから、短いようで長かった。

そこから追っていた犯人の最後の1人が、ようやく逃げ場をなくして目の前に立っている。


決着を付けよう、リー・セイ。



必ず俺の手で、この事件の幕を閉じてやる。




拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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