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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第6章 事件編

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六十一ノ舞「生きることを諦めないから」


-----シャルロット視点


連射砲(ショットガン)!」

ルカリの手のひらから、6発の魔力弾がこちらに向かって飛んできた。

走りながら全てを避けるも、避けながらに距離を詰めるのはなかなかに難しい。

速装填(クイック・ロード)

その隙に再度装填を済ませられた。


なるほど、昨年ベスト4は伊達じゃないわね。

準決勝でマジックギルドの・・・名前なんだっけ。

ユウのせいで、褐色ロリとしか出て来ない。・・・まあいいか。


褐色ロリに負けたらしいけど、召喚獣使いなら壁になりつつ殴れるし相性は良さそうよね。

それでも互角の闘いだったらしいし、近接戦闘の心得もあるのかしらね。


そして遠距離においてはアリスやイオと同程度の厄介さだ。

逃げまどって体力が尽きる前に、如何に距離を詰めるか。

加えて、剣の間合いでの勝負に持ち込めるかどうかが勝負の鍵ね。


予選でイオと闘えてよかった。

その経験がなければ、完全にぶっつけ本番になっていた。

どれだけの実力があっても遠距離戦闘(ロングレンジ)でイオより強いなんてことは、まずないだろう。

でもユウに任された以上、負けられない。

道を踏み外した外道が、努力し続ける天才よりも強いとは思えないけど。

イオと闘った時と同様の集中力は持ち続けないとね。

一息つき、ルカリに意識を集中させる。



不可視の早撃ち(クイック・ショット)


一挙手一投足すら見逃すつもりはなかった。

しかし反応できたのは顔を少し左にずらせた程度だった。

気が付いた時、ルカリの放った弾はアタシの右頬を掠め、大きな傷を作っていた。


「~~~!!」

あまりの痛みに、声にならない叫びを漏らしていた。

毎日神速の剣姫の速さを見ているアタシがまともに反応すらできなかったのだ。

だがそのおかげで顔を横に動かせた。

動かせていなければ鼻かこめかみあたりに銃弾を受けていただろう。

九死に一生を得た気分だ。



人として異常な速度のそれは、たった1つのユニークスキルを究めたものの終着。

サムライが長い年月をかけて到達した最終奥義と同格とも呼べるそれを、こんな非公式な戦闘であっさり使用してきた。

しかも今の一撃、間違いなくアタシを殺すつもりで。

もとより無傷で勝てるとは思ってはいなかったが、こんなにも早く追いつめられるとも思ってはいなかった。


敵の装填はまだ残っており、その上先ほどの技の突破口は一切見えていない。

左手で右頬から流れる血を拭う。

もしかしたらアタシはここで─

そんな考えが頭に過るほどの実力差。

いや、実際には実力差はそこまで大きくない。


相手を倒すという覚悟の差だ。

人を殺す覚悟など、普通の学生が持っていていいわけがない。

だが目の前の男は学生にしてそれを持ち合わせている。


完全に参ったわ。

少しは強くなったと思っていたんだけどな。

実際にはそれは鳥かごの中の世界のことでしかなく、外の世界にはアタシの想像もつかない強さや覚悟の人が居るのだ。

神速の剣姫に弟子入りすることで、大空へと羽ばたけていた気になっていたわね。


「ユウや師匠から見たら、アタシの努力はさぞかし滑稽だったでしょうね。」


思わず言葉を漏らすアタシに、ルカリが再び先ほどの技を繰り出す。


ああ、アタシはやっぱりここで死ぬのか─

もう防御や回避するのも馬鹿らしい。

ユウにきちんと気持ちを伝えておけば良かったなあ。


そう思い剣を下ろし俯くアタシの左頬に、速度強化のスピードを乗せた渾身の拳が撃ち込まれた。

その分身はアタシを殴った直後、ルカリの弾を頭に受け白い煙をあげながら消滅した。


大の字に倒れたアタシは一瞬、何が起きたのか理解ができなかった。

ユウが助けてくれたのかと思ったけど。

アタシを殴った瞬間のユウは、そんな顔じゃなかった。


怒り、そして悲しんでいるような表情だった。


「シャルル、大丈夫!?」

そこに肩で息をしながら到着したアカネ。

アタシを庇うようにルカリとの間に入り、剣を構えた。



ああ、何をしているんだろう、アタシ。

大好きな人を失望させて。

大好きな親友に心配をかけて。

師匠は寝る時間を削ってまで毎日鍛えてくれているというのに、命を投げ出して。



誰よりも強くなると誓ったくせに。


いつまでも隣に居ると言ったくせに。


勝手に諦めて、死のうとして(にげて)んじゃないわよ!!


「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


気がつけば弱気を払うために思い切り声の限り叫んでいた。

アカネもルカリもびくりと身体を跳ねさせ、こちらに視線を送っていた。


ここまで自分に腹が立つのは初めてだ。

仰向けの体勢から飛び起き、アカネの横に立つ。


「ごめん、アカネ。()()()()。」


アカネの顔が驚いた顔から、いつもの凛々しい顔つきに変わった。


「よぉっしやるよ、シャルル!!

装備付与(ハイエンチャント)世界随一の銘刀(おおかねひら)』」


不可視の早撃ち(クイック・ショット)


先ほどアタシが諦めさせられた技。

それに対しアカネは居合い抜きで剣を一振り。

直後、アタシたちの背後の地面が()()()抉れた。


「その技、名前変えた方が良いですよ。」


アカネの挑発する言葉に、額をぴくつかせるルカリ。

残る3発の装填を全て『不可視の早撃ち』でアカネに飛ばした。


キキキンッ―


アタシの親友は、本当にとんでもない目を持っている。

銃弾を全て見切って斬るなんてね。

そんな感心をしつつも、再装填の隙を与えないように駆けていた。


アタシはまだ、その強さに並べていない。

それでも生きることを諦めない限りは、そこに並べる可能性はいくらでもあるのだ。

そんな簡単なことに1人で気付けなかったアタシは、やっぱり大馬鹿者だ。



もう二度と、弱気になんてならないから。


もう二度と、生きることを諦めないから!!


炎舞緋剣(えんぶひけん)満開の姫緋扇(ラペイロージア)!!』


師匠の『神速の剣姫』の連続攻撃を見て、真似をして作った技。

息をつかせる暇もない程の連続刺突。

それに加えて突いた瞬間にレーヴァテインが小さな爆発を起こす。

まるで小さな花が沢山咲いているように。


「我は(なんじ)

悠久の時を経て、我、汝と共に歩み進む者也。

目指すは高み、天より高く。

導べに従う御霊よ、新たな伊吹となりて顕現せよ!!

(おわり)の秘剣―六道修羅・十一面観音じゅういちめんかんのん!!」


アタシのラペイロージアをいくつか受け、バックステップで距離を取ろうと離れるルクスに対し、アカネの突撃が襲いかかった。


おそらくあれは、アカネの最後の必殺技。

六道と言っているあたり、あと5つあるのではないかと思うけど。

その太刀筋を目で追おうとして、途中で諦めた。


神速の剣姫程ではないにしても、速すぎる。

脳の認識が追い付かないという点では、神速の剣姫と同じだ。

みるみるうちに斬られていくルクス。


アカネが剣を止めてルクスが地に伏し、確認すると11もの傷が刻まれていた。


「シャルルのさっきの技も()()()なんだ。お揃いだね!」


剣を鞘に納めつつ、笑顔でこちらに向き直るアカネ。

緋剣と秘剣では意味が全く違うでしょうに。


その姿を見て安心したのか、死の恐怖が今さら来たのか。

立っていられなくなり、その場にへたりこんでしまった。


「ちょっ、大丈夫シャルル?!」

駆け寄り、そっと手を差し伸べてくれるアカネ。

こんなにも優しくて大好きな親友と、もう二度と会えないところだった。

そう思うと、無意識に涙が頬をつたっていた。


「ごめんねアカネ。

アタシ、強くなるから。もっと・・・もっと!!」



緋色とは、(あかね)で染めた色。

その名を持つ姫緋扇、ラペイロージア。

花言葉は、歓喜・青春の喜び・楽しい思い出。


アタシの初めての親友である、アカネを想いながら作った技。


しかしその技の初陣は悔しく、楽しくない思い出となった。


だけど生きている。

これからも使い続けるであろうその技。

その花言葉を、本当の意味で全うできるように。


悔しさに涙を流し、アカネの制服を濡らしながら。


アタシは二度と生きることを諦めない。


アカネのために、ユウのために。

そして自分のために。


そう誓うわ。


アタシが泣き止み落ち着いた頃、空は茜色に染まり始めていた。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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