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五ノ舞「専属のシノビ」


 模擬戦が終了し、先輩選抜メンバーと共に学園長室に集まった。

会食でもして親交を深めろと姉さんからのお達しだ。

それぞれが思い思いに、闘いの感想や互いの技などの話をしている。

俺はというと、後から合流したサクラ先輩に頭を下げられていた。

「私を貴方の専属のシノビにしてください!!」

開口一番これである。

もちろん周りの皆の談笑が止まり、静寂が訪れたのは言うまでもない。


「えーと、色々言いたいことはあるんだけど、まず何でですか?」

人の頼みを理由も聞かずに断るってのは気が引ける。

まずは説明プリーズ。


「イガ家は、国王の護衛として仕えているんだ。」

うん、それはさっき闘う前に聞いたな。

「私には3人の兄が居て、その兄たちが皆揃って国王の護衛の任に就いているから、私は必要ないと言われてしまってね。」

まあ確かにシノビだらけになってもなって気持ちは分からなくはない。


「だから自分がこの人だ!と思える人に仕えようって決めてたんだ。」

「それがなんで俺に・・・?」

「さっきの闘いで全力を出してくれたのもそうだけど・・・自分の身を削る技を使いたいと思える強者だった、って私を認めてくれたからかな。」


「ユウはホント言うことカッケーよな!」

おい、どっから沸いてきたんだこの幼女。

「ですです!強くてカッコいい主とかもう最高じゃないですか!」

あ、この2人一緒にしちゃいけないやつだ。


「サクラお前見る目あるな!ユウは危なっかしい奴だから、よろしく頼むよ。」

「なんで姉さんが勝手に決めるんだ。俺の意思は尊重されないのか。」

「え、だってユウ断る気ないじゃん。」

・・・・・・なんでバレた。

「顔見りゃ分かる。こちとらお前の生まれたときから見てるんだぞ。姉さんなめんな。」

貴方をなめたがるのは真正のロリコうわちょっと待ってこんなところで抜刀しないで謝るから。


「自分から言っておいてなんだけど・・・本当にいいの?」

「良いですよ、断る理由も特にないですし。」


その言葉を聞いた途端、サクラ先輩は片膝立ちで右の拳を地面に付け、頭を下げた。

「只今よりこのサクラ・イガ、ユウリ・アマハラ様を主とし、この身を賭してお守り通すことを約束致します。」

シノビなりの儀式なんだろうか。堅苦しいのは苦手だが、嫌な気分はしなかった。

こうして俺専属の美人シノビができたのであった。


「なに終わらせようとしてんのよ。」

なんだよ良い感じで締めて流そうとしたんだから邪魔すんなよツンデレ赤ポニー。

「そんな軽いノリで人の人生預かってんじゃないわよ!」

「おぉいヴァルローレン。ユウのフォローをしておくが、こいつは全然軽い気持ちなんかじゃねぇよ。

むしろこのバカは、サクラは俺が守るくらいの気持ちで居るぞ。」

だから心を読むなよバカ姉さん。


「魔法もロクに使えないくせにどうやって守るってのよ!」

あれ、そういうこと言っちゃう?ちょっとアカネ、こっちおいで。

「ん?なになに?」

ちょっと膝で立って、・・・って言って、俺がこう答えたら・・・

「よく分かんないけど了解!」


「サムライ、ナギ。貴方はどうして()()()使()()()()()()そんなに強いの?」

アカネの精いっぱいのロリボイス。

ちょっと笑いそうになったけどこの後の展開の方が面白そうだから堪えよう。


「ちょっ!!」

一瞬で顔を真っ赤にして暴れだすシャルロット。

しかし姉さんが『神威』で後ろから飛び乗って羽交い絞めにした。

さすが姉さん分かってる。


「本当に大切で、心から守りたい人、守りたいもののために闘っているだけだよ。

君には、守りたい人は居るかな?」


「やーめーてー!!!」

すまんなシャルロット。先に煽ったのはお前だ。

煽って良いのは煽られる覚悟のある奴だけだ。


「うーん・・・お母さん!!」


「うーぉわー!!!!!」

もう言葉にならない叫びをあげたシャルロットから炎が舞い上がった。

姉さんいつの間にか放してるし。

あ、でもちゃんと疾風一閃(でんこうせっか)で消火してくれた。

火事になるところだった。ナイス判断。


「なんでアンタがそれを知ってるのよ!!」

涙目で怒り散らすツンデレ赤ポニー。

なんでってお前、あの人の孫だし、あの時あの場に居たし。

ちなみにアカネも居たけど、たぶん覚えてないだろうな。


「まあ俺が言いたいのは魔法だけが強さじゃないし、人を守る剣の強さもとうの昔に知ってるはずだ。

さっきのお前の試合の最初の構え、あれはアマハラ流の構えだろ。

その剣に憧れたお前に、分からないとは言わせない。

やりとりまでちゃんと思い出した今、さっきと同じ言葉が言えるか?」

諦めろシャルロット。この口論にお前の勝ち目は1ミクロンもない。


「~~~!!!」

ピシャンッ!

言葉にならないうめき声をあげたと思えば、今度は両手で自分の頬を思いっきり叩いた。

そんなことすると顔に手のあとつくぞ。あ、やっぱり。

「悪かったわよ。アンタの好きにすればいいわ。」

両頬に赤いモミジをつけたツンデレ赤ポニーは、ようやく引き下がった。


とまあ置いてけぼりになってはいたが・・・

「これからよろしくお願いします、先輩。互いに互いを守れるような主従になりましょう。」

「はい、ユウリ様。・・・でも先輩呼びはこの際やめにしましょう!」

じゃあなんと呼べば?

「サク、とでも呼んでくれたら嬉しいかな。」

「了解、サク。これからよろしくな。」



「あっ、魔法で思い出した。」

うわアカネなんだよビックリさせるなよ。


「ショーヤのユニーク属性のこと!」

そういやそんなこと言ってたな。

室内の視線が一斉にショーヤに注がれた。


「未だに僕自身、理解が追いついていないのだが・・・?」

大丈夫、俺もだ。というか姉さんとアカネ・・・あとアスカ先輩以外ここに居る全員だと思うぞ。


「気づいておられなかったのですか?!てっきり知ってて使われてるものだと思っておりました。」

「気づいていたなら言ってくださいよアスカ・・・。」

「申し訳ありません・・・。」

こういうやりとりを聞くと、やっぱりショーヤって身分の高い人なんだなとつくづく思う。いや一国の王子なのだからそりゃそうなのだけど。

普段気さくに話してくれるから、つい忘れそうになる。



「これはもう魔法の根本から説明するしかないですね。イオちゃん、フォローお願いします!」

アカネがやる気満々に言い、イオは眼鏡をスッと指2本で直すのであった。

その眼鏡、視力は関係ないって知ってるし、丸いからあんまりカッコつかないぞ、イオ。可愛いけど。


「まず魔法は大きく分けて4つに分けられます。」

アカネが説明を始めると、イオがすらすらとホワイトボードに描き始めた。

とても綺麗な字で見やすい。


・属性魔法

文字通り各属性の魔法。

火、水、風、地、聖、闇の6つ

それぞれに炎や氷、雷等の派生も存在する


・召喚魔法

精霊召喚や従魔召喚など


・補助魔法

回復魔法や身体強化、武器強化など


・特殊魔法

ユニーク属性、忍術など


書き終えるのを待ち、アカネが全員を見渡した。

「上の3つはある程度は分かるかな?」

「ある程度は分かるが、俺の場合はどうなるんだ?」

「ユーリさんの場合は、雷属性の補助魔法に該当しますね。

ちなみに雷属性は風属性の派生です。」

なるほど、確かに回復魔法も聖属性だもんな。

「ちなみにシャルロットさんの炎属性魔法剣(サラマンドラ)も、補助魔法です。」

「その通りよ。さすがね、イオ。」

相変わらず上から目線なのな、お前。


「それじゃ最後の特殊魔法についてね。」

そう、そこがいまいち入ってこない。

そもそもユニーク属性なんて初めて聞く単語だ。


「それは後で説明するとして、上の3つに該当しないものがここに分類されるのよ。

例えば忍術や降霊術、超能力(テレキネシス)なんかもこれね。」

超能力者とか聞くとテンションあがるのは男の子だから仕方ないよね。


「そして最後にユニーク属性。これは文字通り世界にたった1人しか持ってない固有能力よ。

詳しい数字は分からないけど、世界で100人くらいしか所持していないと言われているわね。」

まさに選ばれし者ってか。

王子でイケメンで長身でユニークスキル持ち。物語の主人公かよ。


「それでさっきの実験で、ショーヤのユニーク魔法はおそらく魔法解除(レジスト)

文字通り魔法を打ち消す能力ね。それも、()()だけで。」

「僕も皆と同じで魔力の流れは見えるから、その流れをせき止めたりしてるだけだよ。」

ちょっと待て。魔力の流れなんか見えたことがないんだが。


「魔力の流れなんて見えるの?!」

そりゃアカネも驚くよね。

「あれ・・・?皆は見えていないのかい?てっきり皆にも見えているものかと思っていたのだけど・・・」

「レジストなんかではなく、魔力干渉だな。」

珍しく静かな姉さんが口を挟んだ。


「アビステイン・・・兄の方な。」

イオも反応したので咄嗟に言い直す姉さん。

あるよね、病院とかで呼ばれたと思ったら実は別の人でした、とかいう恥ずかしいやつ。


「魔力を逆に流させることは可能か?」

「出来ると思います。」

驚きと恐怖で悲鳴をあげる先輩達と女性3人。

どういうことだ。誰か説明プリーズ。


「ユウ、逆流した魔力はどこに行くと思う?」

どこって魔法は体内から外に出るんだから、体内に戻るってことか?

「そうだ。行き場を失くした魔力は術者の身体に跳ね返る。つまり・・・」

姉さんの目は真剣そのものだ。これはまさか・・・


「出る力と戻る力がぶつかり、体内で爆発を起こす。まぁ一言で言うと、吹っ飛ぶだろうな。」

どこがとか聞かないようにしておこう、うん。


「よってアビステイン兄。」

ショーヤの顔は恐怖で青ざめていた。

「今後特別な条件がない限り、魔力の逆流させるための魔力干渉を禁止する。」


剣を持っている時以外で姉さんの本気の真剣の顔は、初めて見た。



拙い作品ですが、よろしければ最後まで見てやってください。

よろしくお願い致します!

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