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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第5章 個人戦前編

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五十二ノ舞「膝くらいには追いつけた」


闘技場を出てサクを待っていると、先にアリスが外に出てきた。

俺を見つけると嬉しそうな笑顔で駆け寄ってきた。

「旦那様、無事に勝ったわよ。

ちゃんと観ててくれたかしら?」

「観てたぞ。魔法名は分からなかったけど。」


言葉の通り、見たことのない魔法を使っていた。

炎属性のような聖属性のようなといった具合で、一撃で決まってしまったということもありきちんと見れなかったのだ。


だが、綺麗な魔法だとは思った。

『白夜結界』もそうだがアリスの魔法はなんというか、美しいのだ。

アカネは教科書通りの魔法だし、シャルロットは炎の動物だらけ、イオは美しさよりは対人に特化した性能だ。

3人は見ていると凄いなーと思うのに対して、アリスの魔法は綺麗という感想が出てくる。

それでいて全属性上級までの全ての魔法を短縮詠唱で発動しているのだから、やはりアリスも天才なのだろう。

言うと怒りそうだから言わないけど。


「それにしても、サクラさんと闘うことになる日が来るとは思ってなかったわ。」

俺がサクに分身を教わった時にアリスも一緒に練習し、俺の魔力制御をしてくれたりと、一応面識はある。

サクもアリスの魔法の才能は知っているだろうし、アリスもサクの『桜花乱舞』を目の前で見ている。

技の数が多い分、アリスの方が若干有利かもしれないな。


「サクは強いぞ。俺も何度か負けてるしな。」

「あら、そうなの?それは初めて知ったわ。」

「最近は全然勝てなくなっちゃいましたけどねー。」

後ろから急にサクの声がして驚いてしまった。

こんなに近くに居て気配を察知できないとは。

俺が未熟なのか、サクが凄いのか、サクの影が薄いのか。

「ユウリ様、失礼なこと考えてませんか?」

バレてーら。


「3回戦はよろしくね、アリスさん。

胸を借りるつもりで行かせて貰うよ。」

「それはこちらのセリフよ。

全力で挑ませてもらうわね。」


2人とも油断は全くなく、本当に相手が格上だと思っているようだ。

既に5日後が楽しみだ。

「旦那様、明日は頑張ってね。トニーと応援に来るわ。」

アリスはそう言い宿へと戻って行った。

見えなくなるまで見送り、サクと共に帰路につく。

普段見えないところに居るからか、やはりこうして並んで歩くのは新鮮だ。


シャルロットとアカネは試合形式で鍛錬するとのことで、イオが審判兼回復役で着いて行った。

なので今はサクと2人だけだ。

姉さんは病院以来見ていないが、シャルロットがこっちに居るということはまだ居るのだろう。

ルーナ隊長に迷惑かけてなければいいけど。

いや、既にかけてるだろうな。



すぐに宿に戻ってもやることがないので、少しクノッサスを歩くことにしよう。

お昼前で小腹も空いた。

サクと一緒に食事なんて珍しいので、こういう機会は有意義に使おう。

何が食べたいか聞いてみると、野菜がいいとのリクエストだ。

肉や魚は匂いがつくから、滅多に食べないらしい。

確かに姿は見えないのにジューシーな匂いがしたら大変だしな。

サクの聞き込みによりサラダが美味しいお店の情報を即座にゲットし、店へと向かった。

シノビの情報収集能力の高さハンパねぇ。


女性客で賑わう店内で少々入りづらかったが、店内装飾の落ち着いた雰囲気はとても好みだ。

美味しいコーヒーでも出してくれたら、1杯で3時間はいけるね。

迷惑だからやらないけど。

サラダのメニューも豊富で、どれを頼んだらいいか全く分からん。

ドレッシングも選べるのか。

好みの組み合わせを見つけるのが大変そうだ。

とりあえず今回はごまドレッシングにハズレは無いので、それで食べることにしよう。

サクはレモンドレッシングを注文している。

確かに運動後には良いかもな。


これだけ女性客に人気のあるお店なだけあり、味は申し分なかった。

量が若干物足りないが、帰り道で何か適当に買えばいいだろう。

量の割には少々高い印象があったので会計時に聞いてみたところ、その日に卸されたものしか使用しない拘りがあるそうだ。

どうりで野菜の美味しさを感じるわけだ。

それならこの値段にも納得できる。

サクも払おうとしていたのだが、勝利祝いということで押し切った。

こういう時のための貯金だしな。

帰り道で皆で食べる用にクッキーを購入し、宿に戻った。

サクが満足そうで何よりだ。



しばらくして、サクが寝落ちしてしまった。

試合に勝って安心して気が緩んだところに飯だもんな。

眠くなる要素増し増しだ。

アカネ達は何時頃戻ってくるのだろうか。

サクを見ていたら俺も眠くなってきたので、ベッドを借りて寝るとしよう。

目を瞑り明日の試合のイメトレをしていたら、すぐに意識がなくなった。


「たっだいまー!・・・あれ?」

アカネの大声に、2人とも飛び起きた。

寝起きドッキリされる側ってこんな気分なんだな。

マジで心臓に悪い。

「ユウくん、わたしのベッド使ってたんだね。

久しぶりに一緒の布団で寝ぐえっ!」

「はーい、汗だくなんだから先に水浴びしましょうねー。」

イオがアカネの服を後ろから引っ張り、アカネを引きずって行った。

こういう時のイオって強いよな。

なんというか周りのメンバーの行動や言動が幼いから、しっかりしているイオはお母さん的なポジションだ。

幼いのは基本的にアカネだが。


シャルロットがアカネの発言を聞いて以降、ソワソワしていた。

一緒の布団で寝ていたのなんて、10年以上前の話だ。

道場に入れて貰えなかった3年間、裏山で過ごしていた時が最後なはずだ。

アカネは今でもそういう発言を平気でしてくるから怖いんだよな。

考えて喋ってないだろうから、仕方ないけど。

自分の身体の成長は他人よりも凄いのだと、いい加減自覚してほしいものだ。



-----


翌日、早くにシャルロットが起こしに来てくれた。

静かに宿を出て、いつも通り決闘地区まで走りホットドッグを2人で食べる。

試合の日の密かなルーティンだな。


「今日は病み上がりなんだから無理しちゃだめよ?」

食べ終わる頃、シャルロットに釘を刺された。

それでも身体を動かしたい気持ちは分かるから起こしに来てくれたのだろう。

今日と次の試合に勝てば、いよいよ前回優勝者との闘いとなる。

準優勝のナナシーですらあそこまで苦戦したのだ。

そこまでは技も体力も温存しておきたいところだ。

だが今日は木刀を握るのも久しぶりなので感覚を取り戻したい。

せっかくシャルロットが来てくれたのだし、甘えるとしよう。


軽く打ち合うだけのつもりだったのだが、随分と長い時間が経っている気がする。

シャルロットは姉さんにしごかれているおかげか、間違いなく強くなっている。

そして何より体力と集中力が上がっているのだ。

充分動けたし目と手で合図して中断すると、いつの間にか周りにかなりの数のギャラリーが居て拍手を送られた。

観戦のために早めにきた観客が俺たちを見つけて、ずっと見ていたらしい。

そんなことにも気付かない程にシャルロットに意識を集中させられていたのか。

周りから今日も頑張れよと沢山の声援を頂き、むず痒くなる。

シャルロットと目が合い、2人でお辞儀をして答えてその場を後にした。


パフォーマンスをするつもりはなかったのだがな。

無意識でそうなってしまうあたり、アビスリンドへの注目の度合いも伺えるというものだ。


第1試合で前回優勝者が出てくるので、今日はこのまま観戦だ。

ルクス相手に、一体どんな闘いをしてくれるのだろうか。

幻術という厄介なユニークスキルを前にどのように闘うのか、勉強させてもらうとしよう。


シャルロットも興味津々のようで、表情は出していないもののどことなくソワソワしていた。



-----シャルロット視点


病み上がりで本気ではなかったとはいえ、まさかアタシがユウと互角に打ち合えるとは。

昨日アカネと10本勝負をして3勝7敗だったから、あまり変わっていないのかと思っていた。

ようやく2人の足元、いや膝くらいには追いつけたかもしれない。

そこで満足するつもりはないけど。


この後ユウはこのまま試合を観戦するみたい。

アタシも一緒に観ていこう。


あれ、でも他に人が居なくて2人っきりよね。

つまりこれは観戦デートということになるのでは。

汗かいてるし、シャツには猫が寝っ転がってるだらしない格好だし、どうしようどうしよう・・・



シャルロットは全く別の意味でソワソワしていた。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願い致します!

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