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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第5章 個人戦前編

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五十一ノ舞「私の生き甲斐なのだから」


Aブロックの試合が終わり、イオとシャルロットと共に帰路につく。

先程イオが使った魔法について、シャルロットがあれこれ聞いていた。

「そうですね。

雷霆纏いし光の槍ジュピターズ・スピアー』を作る過程で出来たというか、槍より矢の方が連発できますから最初は矢の方が神話級にしたくはありました。

ただ神話級と呼ぶには威力が低すぎたので、より威力を追求した結果完成したのが槍の方です。」

やっぱりそうか。

しかし威力はともかく、対人戦での厄介さは大差ないと思う。

俺は速度強化で雷を纏っているから多少の耐性はあると思いたい。

神話級には全くの耐性を示さなかったから不安だが。


シャルロットは相性最悪だろうな。

纏った炎で爆発しかねん。

同じことを思ったようで、「氷だけでも怖いのに・・・」と嫌そうな顔をしている。

本来氷属性とは相性良いはずなんだけどな。

イオへの苦手感情を持っているようだ。

強さを考えると、得意な人が居るかは怪しいけど。



一度病院に戻り簡単な検査を受けた結果、退院して大丈夫とのことだった。

明日は過度な運動は禁止されたが。

2回戦は、調整なしにぶっつけ本番になりそうだ。


宿に戻ると、サクが緊張で固まっていた。

シャルロットが気さくに話しかけているが、いつもの感じには程遠い。

確かにシノビは人前に出ることはないだろうからな。

話を聞いていると、どうやら理由は学園が注目されていることにあるようだ。

その中でも一番弱い自分が評価を下げてしまうのでは、とまで思ってしまうらしい。

「一番怖いのは、私が負けることでユウリ様の評価を下げてしまうのではないかと・・・」

なんだそんなことか。

そんなものは個人的にはどうでもいい。

他人の評価のために闘っているわけではないからな。


だが人のために闘うシノビは、そうも言っていられないのか。

下手な言葉は逆効果だろうが何も言わないわけにはいくまい。

イオとシャルロットが「何か言ってあげなさいよ」みたいな目で見てきてるし。


「初めての人前での大舞台なんだから、緊張して当たり前だ。

それでもやっぱり負けたら後悔したり、凄い悔しいんだよな。

俺のために闘ってくれるのは嬉しいし頼もしいと思うけど、今回は個人戦だからサクの納得できる闘いをしてほしいよ。

例え負けてしまったとしても堂々と胸を張ってここに、そして学園に戻れるようなね。」


自信がなさそうに俯きながら返事をするサク。

思わず頭を撫でていた。

()()()()守ってもらうつもりか?」

サクはその言葉にハッとした表情で顔をあげた。


互いを互いに守れるような主従に。

それは主従になった時の約束。

俺とサクとの関係で、最も忘れてはいけない言葉だ。



-----サクラ視点


主の言葉に気付かされるなんて、シノビ失格だ。

こんなにも優しい笑顔で言ってくれた主に対して向ける顔ではないと思うけど、思わずニヤリとしてしまう。

自分の選択は間違えていなかったと改めて思う。


もう二度と迷うものか。

どんなに醜くても、泥臭くても構わない。

私は私のやり方で、この大好きな人を守るのだ。

「個人的にはそれも捨てがたいですが・・・」

今の私は主と、その姉とソックリなニヤリとした顔をしているだろう。

この姉弟を守ることこそ、私のシノビとしての仕事で、私の生き甲斐なのだから。


主の目の前で左膝をつけて姿勢を正す。

「命に変えても、ユウリ様の御背中は必ず守ります。

なので私の背中はお願い致しますね?」

ユウリ様は私の言葉に笑い「任せろ」と言ってくれた。

普通の主従とは絶対に違うだろうけど。

私たちの関係はこれが正解なんだ。


背中の主を信じ、私は前だけ向いていれば良い。

震えも止まり、迷いもなくなった。

あとは進むだけだ。


ガルルルと威嚇するような音を出しているシャルロットさん。

なにも隣まで取る気はありませんよ。


シャルロットさんとアカネさんが隣で一緒に闘い。

アリスさんとイオさんは楽しく、そして支えて。

私がその環境を守る。


そんな生活も、少しだけ楽しそうじゃないですかね?



-----


「大会6日目の本日はBブロック2回戦の模様をお送りします!

第1試合開始前から、多くの観客が押し寄せる大闘技場!

それもそのはず、第1試合は注目のアビスリンド学園唯一の2年生、サクラ・イガ選手の初陣です!

Cブロック1回戦で前回準優勝のナナシー・ヘンドリクス選手を下した、ユウリ・アマハラ選手専属のシノビだそうです!」


昨日見た感じでは大丈夫そうだったけど、この歓声で緊張がぶり返したりしないか心配だ。

先に対戦相手が姿を現し、続いて審判が出てきた。

しかし肝心のサクは一向に姿を現さない。

実況も心配になってきたようでアナウンスを流すと、観客がざわつき始めた。


「せっかく考えたのに台無しだ・・・」

サクの声が大闘技場に響き渡ると、大きな風が吹き木の葉が大量に舞った。

木の葉の中から、ザッと音を立てて壇上に姿を現したサクの顔は真っ赤だ。

シノビであることを活かしたサプライズ登場シーンが失敗して恥ずかしいのだろう。

俺は絶対に普通に出よう。


「これは大変失礼致しました!!

我々副隊長クラスですら気配を察知できないとは、流石シノビです!

他の術にも大いに期待しましょう!

セントラルポート学園2年、ユキナ・サンプトリア選手。

アビスリンド学園2年、サクラ・イガ選手。

まもなく試合開始です!」


フォローなのか煽っているのか分からないな。

しかし毎度の事ながら、本当に気配を消すのが上手い。

高天原の時に使えないだろうか。

今度やり方を聞いてみるとしよう。


「それでは、試合開始!」


開始早々ダッシュを仕掛け距離を詰めるサクに対し、バックステップで距離をとる対戦相手。

完全に開幕速攻を読まれた形だが、シノビとの闘いは距離をとってはダメだ。

むしろ剣士タイプなら自分の間合いでしかけ続ける方が、サクは辛いというのに。

まあ普通シノビとの戦闘経験なんてないだろうし、どうしていいか分からないか。


クナイを投げてガードさせている間に先程よりも早く駆け出した。

視線誘導(ミスディレクション)と緩急を使って姿を消す、サクの得意な戦法の1つだ。

俺も何度かアレで負けたことがある。

「風斬」

案の定サクの姿を見失った相手に対し、死角から最高速度で斬りつけた。

ダウンが宣告されるも、相手も立ち上がり壇上に戻る。

死角からの攻撃をもらっておいて立つとは、なかなかタフだな。

足は引き摺ってるから結構なダメージだろうに。

再開後、容赦なく分身を作り出して多方向から攻めていくサク。

剣1本ではなすすべもなく2ダウン目。

最後は『桜花乱舞』で3ダウンとなり、危なげなくサクの勝利となった。


ふう、と安心したように一息つくサクに拍手を送っていると目が合った。

手を振ると、恥ずかしそうに右腕を伸ばしてきた。

アカネが「いえーい」と言いながら腕を伸ばし、それに続いて皆でガッツポーズように腕を掲げた。


これは個人戦だ。

それでも仲間との絆は変わらないからな。

それがたぶん、俺たちアビスリンド学園の強さの秘訣だ。



そして続く第2試合。

アリスが魔法一撃で相手をノックアウトした。

この瞬間、3回戦の組み合わせが決定した。

サク対アリス。

正直、どっちを応援していいか分からない。

サクもアリスも、どちらにも応援する理由があるだけに困りものだ。

楽しみなのは間違いないのだが。



今はそれよりも明日の自分のことか。

病み上がりな上に、3日以上剣に触れていないから心配だ。

イオとサクが快勝しているだけに、俺も続きたい。


どんな相手でも、気を抜かずに行こう。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願い致します!

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