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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第5章 個人戦前編

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四十三ノ舞「組み合わせ抽選」


翌朝、早くに目が覚めてしまった。

ベッドではなくソファーで寝ようとしたからか、夜遅くまで寝れなかったから今日試合がなくて良かった。

新人戦初戦の時も早くに目が覚めてシャルロットと走ったっけ。

まだ1ヶ月半しか経っていないのに、随分前に感じる。

それだけ充実した日々を送れていることに感謝だな。


ソファーから身体を起こして部屋を見渡すと、まだ全員が眠っていた。

今回はこの3人と同じ部屋で男子は俺だけというハーレム状態だ。

正直、肩身が狭い。

スタイル抜群の幼なじみ、守ってあげたくなる系の王女様、年上美人の専属シノビと文字にすれば最高な環境なのは理解している。


だがそんな彼女たちと3つしかベッドがない部屋に泊まっているのだ。

周りからの目は、それはもう形容しがたいくらいの酷さだ。

実費で1人部屋に泊まると言ったのにイオがそれを許さず、では誰かと2人でと言うと3人全員が許さなかった。

しぶしぶこの形になったのだが、宿の主人からは羨ましそうに見られ、看板娘からは蔑むような目を向けられ。

正直ここに居たくなかったくらいなのだが、ソファーで寝ることを譲れないのであれば1人部屋を取ると言い張り、このような形に落ち着いた。

まあそれもサクが雑魚寝すると言い始めたので、ベッドを使わせるためではあるのだが。

そんなこんなであまり眠れず、身体の疲れが抜けていないのだ。


今日は午前中に抽選があり、午後はフリーだ。

と言ってもアリスに連れ回されるだろうけど。

新人戦の時はショウヤが居てくれたお陰で、こんな想いをしなくて済んだのか。

ショウヤには何か手土産でも買って帰るとしよう。

一先ず誰も起こさないように抜け出し、外に出た。


「ユウリ様は朝早いのですねー。」

宿から外に出て扉を閉めた瞬間、後ろからサクに声をかけられ心臓が跳ねた。

間違いなく俺が部屋から出た時寝てたよな。

そして俺は部屋から一直線にここに来たのだ。

なのになぜ俺より先に外にいるのか。

うちのシノビの目を盗むのは無理かもしれない。

一先ず挨拶を交わし、何故先に外に居るのかと聞いてみた。

「それはシノビの秘密です。」

禁則事項です、みたいに言うなよ気になるじゃん。

まあ言いたくないなら無理には聞かないけども。


とりあえず軽く身体を動かすつもりだったので、サクと一緒に走ることにした。

宿から大通りに抜け、冒険者ギルド総本部の前を通り過ぎた。

入口周りの改装工事を行っているようだったが、何かあったのだろうか。

まるで刀で斬られたような跡が、外された扉の周りについていた。

どっかの野蛮な連中が暴れたのかもしれないな。

まったく迷惑な輩が居たものだ。



そのまま冒険者ギルドのある広場を駆け抜け、西側の決闘地区まで走ってきた。

以前シャルロットと共に食べたホットドッグを頼むと、店主と思しきおっちゃんに声をかけられた。

「アンタ前も来てくれたけど、アビスリンドの『雷光』だろ?

アンタの姉さんと王国騎士団の隊長さんも、学生時代よく買いにきてくれたもんだよ。

それ以来の有名選手のお客さんだ、嬉しいねぇ。」

俺の名前は新人戦で有名になってしまったらしい。

嬉しいような恥ずかしいような、だな。

王国騎士団の隊長さんってのは、恐らくルーナ隊長だろう。

まさか姉弟揃って買いに来ていたとは思わなかった。

しかしそうか。

姉さんも9年前から3年間、ここにずっと来ていたんだよな。

そう考えると、少しだけ追いつけた気がして嬉しくなった。


相変わらず本当に美味しい。

後で雑貨屋のおっちゃんにも挨拶に行くとして、今後このお店も贔屓にさせてもらうとしよう。

姉さんが来ていたというのも、何かの縁だしな。

サクの舌にも合ったようで、皆で食べる分も追加で購入していた。

姉さんと俺の話題が出てから上機嫌になっているのも、追加購入を後押ししたのかもしれない。

帰りはホットドッグが崩れないように、ゆっくりと歩いて帰った。


部屋に入った途端、まだ寝ていたアカネがホットドッグの匂いに釣られて飛び起きた。

相変わらずの食いしん坊っぷりだ。



-----


午前10時。

大闘技場には、多くの観客と個人戦に参加する全選手が集まっていた。

見知った顔も居れば、知らないはずなのにこちらにガン飛ばしている連中も居る。

まあノースリンドブルムの人達なんだけども。

相変わらずガラ悪くて近づきたくないな。


個人戦ということで学園同士で並んだりはせず、1箇所に纏まっていればどこに居てもいいようだ。

それをいい事に先程からトニーとアリスに付き纏われているのだが。

俺と闘うのは自分が先だと言い合っているが、それを決めるための抽選なのだ。

コイツらはそれを理解しているのだろうか。

そんなツッコミを心の中で入れていると、どこからともなくルーナ隊長の声が響いてきた。

あの人の声は綺麗に通るから、顔を見なくてもすぐに分かる。


「それでは只今より、個人戦組み合わせ抽選を行います。

司会進行はクノッサス王国騎士団2番隊隊長、ルーナ・フォルス・アイギスが務めさせて頂きます。

基本的に同じ学園の選手とは早いうちに当たらないように、マジックアイテムによりランダムで決定されますのでご安心ください。

また、総勢48人でのトーナメント戦なので試合数の違いも発生致します。

予めご了承ください。」


他よりも1試合少ないブロックがある。

各ブロック4名ずつ、計16人が1試合少なく済むのか。

体力的に有利になりそうだ。

どこに入ろうとも目指すは頂点だから、あんまり関係ないけどな。

「それでは、ノースリンドブルムの出場選手から抽選に入らせて頂きます。」

まあ最終的には全部が埋まるわけだから、呼ばれるのが最後でも別にいいか。

同じ学園で初戦から潰し合うことはないようだし、気長に待つとしよう。


「続いて、ルクス・アーク・フェギナ選手。・・・25番。」

ルクスも代表に選ばれてたのか。

確かに幻術のユニークスキルは強力だしな。

出来ることなら二度と当たりたくはない。

「続きまして、ウエストテイン学園。」

学園名がコールされた瞬間、観客から大きな歓声があがった。


「ウエストテイン学園の選手が、昨年2年にして個人戦を制しているのよ。

もちろん今年も代表に選ばれているわ。」

アリスは俺の心を読めるのだろうか。

疑問に思ったことを、すぐさま教えてくれた。

ディフェンディングチャンピオンが居るのか。

その人がどこに入るか気になるといったところだろう。

「リー・セイ選手。・・・26番。」

観客と選手から、同時に歓声があがった。

初戦からいきなりディフェンディングチャンピオンと対戦とは。

哀れルクス、ついてるね。


「続いて、マジックギルド学院。」

後ろでアリス達がピタリと動きを止めた。

無縁そうに見えても、やはり呼ばれる時は緊張するみたいだ。

「トニー・フレデリック選手。・・・4番。

続いてアリス・ポーラン選手。・・・16番。」

それぞれ12人ずつを各ブロックとするならば、トニーはAブロック、アリスはBブロックだ。

ブロックが違えば準決勝までは当たらない。

これまでの抽選を見るに、各ブロックに各学園1人ずつ選ばれるようだ。

その中で誰と当たるかはランダムで決定、ってところかな。

なるほど、それでルーナ隊長は3年連続準決勝で姉さんと闘う羽目になったのか。

逆のブロックに入れれば決勝戦に上がるだけの実力はあっただろうに。


「続きまして、アビスリンド学園。」

またも観客から大歓声があがった。

新人戦優勝というのは、思っているよりも効果があるようだ。

他の皆が変に緊張しなければいいけど。

「アカネ・オオヒラ選手。・・・48番。

サクラ・イガ選手。・・・13番。

イオン・フォン・アビステイン選手・・・9番。」


イオがAブロックのトニーとは反対側。

サクがBブロックで、2回戦でアリスと闘いうる位置だ。

アカネはDブロック、準決勝でディフェンディングチャンピオン戦かな。

となると消去法で俺はCブロックで、アカネの前に当たることになる。


「ユウリ・アマハラ選手。・・・35番。」

闘技場が揺れるほどのザワつきをみせた。

俺も一躍有名選手になれたということかな。

初戦はマジックギルドの3年生と対戦のようだ。

名前は確か、ナナシー・ヘンドリクスだ。

ザワつく観客の中から「今年のCブロックやべぇ!」と声があがった。

アリス達とは決勝まで当たらないか。

「旦那様、凄いクジ運ね・・・流石だわ。」

アリスが苦笑いをしながら組み合わせを見ている。

まあ確かにディフェンディングチャンピオンの居るグループに割り当てられるとは、ルーナ隊長のことは笑えなくなった。


しかし続くアリスの言葉に、俺は言葉を失った。


「マジックギルド3年の学生議会長、ナナシー・ヘンドリクス。

卒業後はクノッサス王国宮廷魔術師に内定している、昨年の個人戦準優勝選手よ。」



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します!

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