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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第4章 代表選抜編

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三十九ノ舞「2人目の勝者」


アカネが選抜メンバー一番乗りを果たした。

世界随一の銘刀(おおかねひら)による圧倒的な力の斬撃での勝利は、観ている側そしてこれから闘う者に少なからず緊張を与えていた。

次に闘う予定のサクも例外ではない。

あの闘いの次なんて俺も御免だ。


「サク、緊張してるか?」

しているのは見て分かるのだが、切り出しとしてはこんなものだろう。

自分の語彙力の無さは折り紙千羽鶴付きだからな。

サクが全力で闘うことが出来るのであれば、それに越したことはない。

そのためなら鳴くまで待とうではなく、鳴かせてみせようになるとしよう。


「心臓が口から出てきそうです・・・」

蛙か何かだろうか。

あまりにもグロテスクなのでやめて欲しいものだ。

というか出てくるのは喉からじゃなかったっけ。


「緊張ってのは出来ないことをやろうとするからするんだ。

練習は試合のように、試合は練習のようにってな。

普段やっていること、出来ていることだけをやればいいんだよ。

どんなに頑張ってもサクはサクだ。

急に姉さんより強くなることなんて有り得ないだろ?」


そう言ってニヤリと笑ってしまった。

まるで姉さんみたいじゃないか。

サクも同じことを思ったようで「本当にソックリな姉弟ですね」と笑っていた。

しかしその白く細い手は、小さく震えている。

おそらくかなり冷たくなっているだろう。


普段の鍛錬をする際や、試合前は必ず行うルーティンでもあれば気持ちも違いそうなのだが、これと言って無さそうだ。

ならば別の緊張で上書きするのはどうだろうか。

ちょっと試してみるか。

「サクは好きな人居るの?」

「居まぅうえぇ?!」

なんか面白い反応が返ってきた。

顔を真っ赤にさせて「今のナシ!」と必死に手を振っている。

「そうか、居るのか。

主として会っておきたいから、今度連れて来なさいね。」

「ちょーっとそれは物理的に不可能というか・・・いや・・・いけるか・・・?」

最後の方は声が小さすぎて聞こえなかったが、物理法則的な問題とは。

漫画の中の人とかそういうパターンなのだろうか。

俺の嫁ならぬ私の旦那といった感じかな。

「ユウリ様は意地悪です・・・」

顔を真っ赤にして、ぷうと頬を膨らませるサク。

いつの間にかサクの手の震えは止まっていた。


ウチのシノビは本当に可愛いなあ。



-----サクラ視点


「さて、続いての試合は2年選抜メンバー同士の注目の一戦!

サクラ・イガ選手対アスカ・ルギウス選手!

共に2年生を代表する実力者同士、何度も手合わせをしていますがアスカ選手の方が少々勝ち越していますね。」


アスカは騎士団長の息子ということもあり、実戦経験が豊富だ。

緊張とは無縁といった表情でこちらを見ている。

かくいう私も、先程よりは緊張していない。

ユウリ様が気を使ってくれたお陰だろう。

・・・会話の内容はとっても意地悪だったけど。

とりあえずアスカの『四肢封印』には注意だ。

レイピアによる強烈な刺突で、文字通り四肢の自由を奪う技。

それに強くなっているのは、何も私やユウリ様たちだけではないはず。

きっと、アスカもまだここまで見せていない技もあるだろう。


今までの対戦成績で言うと勝率は3割から4割と言ったところだ。

それでもこの1回さえ勝てれば、これからの直接対決は99回負けても構わない。

それくらいの気持ちで行こう。



「試合時間は15分、3ダウンで敗北とする。」

学園長の開始の合図を待っていると、アスカと目が合った。

フッと微笑む彼に、思わずこちらもニヤリと笑っていた。

こういう部分、姉弟に感化されてしまっている。

互いに手の内はほとんど知っている相手だ。

それでも必ず勝って、周りを見返したい・・・!


「それでは、試合開始!!」


私もアスカも、強化魔法を使うわけではない。

レイピアは剣と違い、多数への対処は難しい。

それならばまずは・・・「忍法─分身の術」

ボンッと音を立てて3人の分身を作りだした。

横に広がりながら一気に距離を詰め、次々と攻撃を仕掛ける。

しかし何度も手合わせをしているだけあり、アスカは軽々とその連続攻撃を躱し反撃によって分身を全て消し去った。

この軽々とした身のこなしに毎回やられるのだ。

少しは錯乱されなさいっての。


「もう君の忍術は見切っている。

今更同じことを繰り返されても、勝ち目はないよ。」

相変わらずクールにズバズバ物を言う人だ。

だからこそ裏表が無く、信頼出来るのだけど。

「今日だけは絶対に勝つよ。

今までと同じとは思わないでよね!」

思わず言葉を返し、再び分身を作り出した。

今度は7人作り出し、2人で攻撃を仕掛けた。

アスカは難なくその分身を消し去るも、それは囮。

「忍法─桜花乱舞!」

直後、残る5人が多方向からの同時斬撃が完璧にアスカを捉えた。


きりもみしながらアスカが場外へ飛んで行き、1ダウンとなった。

まずは先制パンチだ。

ただ、アスカの強さは慣れの早さにもある。

二度と『桜花乱舞』は通用しないだろう。

それでもいい。今勝たなければ意味がないのだから。

次に闘う時までに新技を作れば良いのだと言い聞かせ、壇上に戻ってくるアスカを見据える。

完璧に捉えただけはあり、胴に多くの切り傷がついていた。


「アスカ・ルギウス1ダウン。試合再開!」

幸いまだ分身は消えていない。

このまま攻めの手を緩めるつもりはない。

分身と共に一気に距離を詰め仕掛けた瞬間、アスカは5人もの私の中からオリジナルの私に向けて迷うことなく物凄いスピードで距離を詰めてきた。

ヤバいと思った時には既にレイピアが左肩に触れていた。

「零距離─加速突(かそくとつ)

ボンッと音と共に突かれた私の姿が丸太に変わる。

ギリギリ骨に届く前に変わり身の術が間に合ったものの、あまりの激痛で膝をついてしまった。

当然ダウンにカウントされる。

しかし、なぜオリジナルが分かったのか。

自分でも分からない癖でもあるのだろうか。

癖が強い、なんてことはないはずなんだけどな。

彼の言う「見切った」という言葉が脳裏をよぎる。

分身すら見切るというのは、シノビの私であっても難しいというのに。

何にしても見切られたことよりも、一瞬で並ばれたことの方がショックだけど。


「互いに1ダウン。試合再開!」

左腕がなんとか動くことを確認して、構える。

かなりの熱を帯びているが動くのなら問題は無い。

魔力の消費が多いからあまり得意な方ではないけど、やるしかないか。

熱を帯びている左肩に鞭を打ち印を結ぶ。

イメージするのは風の刃。

「風遁術─三段烈風斬(さんだんれっぷうざん)!!」

印を結び終え両手の掌をアスカに向けて魔力を放出すると、3つの風の刃がアスカに襲いかかった。

魔法名で言うと風の刃(ウインドカッター)を3連発しているようなものだ。

それよりも威力が高く、どちらかと言うとユウリの参式に近い。

体力の代わりに魔力を使うけど。

それを放つと同時に、隠れるように駆け出した。


アスカはユウリの参式を既に見たことがある。

私相手に使ったことがあるからだ。

しかし剣や忍術を持ってしても対処の難しい技を、初めて使われてレイピアで完璧に捌けるとは思っていない。

いつもの身のこなしで1つを避け、1つをレイピアで受け流した。

しかし案の定3つ目の刃をレイピアで受け止め、動きが止まった。

その瞬間を見逃さず、分身を1人作り出す。


「シノビ流連続体術─」

アスカの足元に滑り込み、こちらもあまり得意な方ではない体術での連続攻撃。

旋風払脚(コロバセ)!」

後ろから脚を払われたアスカはバランスを崩し、後ろ向きに倒れかける。

上昇気流(ウチアゲ)!」

分身と共に思いっきり背中を蹴りあげ宙に浮かせ、その背後から分身がアスカの両腕を抑えた。

急速落下(タタキツケ)!」

分身もろとも地面に叩きつけるように、アスカの腹に全力のかかと落とし。

ガハッと苦しそうな息を上げながら、アスカは地面にドチャと鈍い音を立てて倒れた。

分身に掴まれて受け身を取れずに叩きつけられたアスカは呼吸を苦しそうにしていたものの、ヨロヨロと立ち上がった。


「アスカ・ルギウス2ダウン。試合再開!」

ふらついて呼吸が浅いうちに、一気に決めよう。

ボンッと煙をあげて2人の分身が登場。

これで残りの魔力はほとんどなくなった。

分身と同時に一気に距離を詰めると、またもやアスカがオリジナルに向けてレイピアを向けてきた。

「零距離─剛力突(ごうりきとつ)

先程よりはスピードはないが、明らかに威力が高そうな刺突だ。


レイピアの先端が触れるか触れないかの瞬間に変わり身の術を発動し、背後に回った。

気配を察知したのか、完璧に目で捉えられていた。

「零距離─加速突!」

またも左肩を狙った刺突。

完全に捉えたのを確認し、次はどこだといった表情で振り向くアスカ。

そこに背後から、左肩から大量の血を流し苦痛に顔を歪めながら最後の一撃を放つ。

風斬(かざきり)

風を斬るかの如く腕を振るう、居合の一閃。

右手一本での攻撃で威力不足は否定できないが、背中からの斬撃をまともに受けたアスカは前のめりに倒れた。


「そこまで!!アスカ・ルギウス3ダウン!!

勝者サクラ・イガ!!」


魔力切れで大の字に倒れ、全く動かない左腕をそのままに。

右腕を高く突き上げた。


「代表選抜決定戦2人目の勝者は2年、サクラ・イガ選手ー!!」

歓声の上がる修練場に大の字に倒れながら笑顔でガッツポーズをしていた。

アスカは立ち上がり、私の右腕を掴んで立ち上がらせてくれたけど、正直立っていられない。

右腕を肩に回して壇上から下ろす姿に、大きな拍手が送られた。


これじゃ、どっちが勝ったのやら。


・・・やったよ、勝ったよ、ユウリ様・・・


心地よい疲労感に意識が薄れていき、主のことを考え笑顔になりながら私は眠りについた。



拙い作品ですが、最後まで見て頂けると嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。

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