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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第4章 代表選抜編

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三十七ノ舞「天国と地獄」


「さて、代表選抜戦もいよいよ後半の第6戦!

ここからは生徒の前で闘って頂くことになりました。

朝からこの修練場に、多くの学生が訪れています!

実況は私、放送部2年のハルカ・アーシュ・レインでお送りします!」


響き渡る声(マイク)で拡張された声が修練場、そして校内に響いていた。

選手控え室としてあてがわれた教室では、多くの生徒が緊張の面持ちで空気が張り詰めていた。

そんな中、赤い髪にいつもの蝶を止めて机に突っ伏して爆睡している奴も居るが。

出番が遅い時間なのに今から緊張しているよりは良いと思うが、緊張感が無さすぎるのもどうかと思う。

まあ俺も緊張とは無縁だから人のことは言えないけどな。

毎日姉さんの相手をしていたら、そりゃ寝たくもなるか。


「本日も見応えのある対戦カードが目白押しです!

その中でも、共に1敗で後がないアビステイン兄妹対決は特に見逃せません!

そして本日トリを飾るのは新人戦最優秀選手のシャルロット選手!

対戦相手は2年選抜メンバーの・・・」



昨晩イオと一緒に皿洗いをしている時に、イオの端末が鳴った。

あとは洗っておくと声をかけて1人で洗っていると、イオが端末を見て短い悲鳴をあげたのだ。

何事かと思い端末を覗くと、ショウヤが対戦相手に指定されていた。

運命の悪戯と言うべきか。

どちらかが第6戦目にして、代表選抜から脱落となることを意味している。

共に新人戦を勝ち抜いた仲間として寂しい気持ちはある。

だが、それは最初から分かっていたことだ。

どのみち5人全員で出れるわけではない。

今回は当たらなかったとはいえ、俺も次でアカネやシャルロットと対戦することも大いに有り得るのだから。

イオが涙目になって飛び込んできたので、頭を撫でて「大丈夫だ」と声をかける。

子どもをあやす様になってしまっているが、それが落ち着くのだそうだ。



俺の出番は昼過ぎで、対戦相手は2年選抜メンバーのチャン・ソンミンという人らしい。

確かアカネに手も足も出なかった人だ。

シャルロットの相手は、イオに吹っ飛ばされたチャラ男だ。

まあどちらも勝ち上がるだろう。

アカネは2試合目なので既に会場に移動しているが、こちらも2年生が相手だそうだ。

サクやアスカ先輩は教室に居るので、こちらも負けることはないだろう。

サクが目に見えるところに居るのは珍しい。

手を振ると笑顔で手を振り返してくれた。

アスカ先輩は窓の外を見て黄昏ている。

おのれイケメン、絵になるなクソう。

この2人も、明日当たることになってもおかしくないのだ。

12人のうち、7人が選抜メンバーだ。

今日で2人潰し合うとしても、6人のうち5人は残る。

明日はほぼ間違いなく選抜メンバーとの対戦と思っておいた方がいいだろうな。


それよりもまずは今日の試合か。

軽く走って汗を流しておくとしよう。

教室を出ると当然のように着いてきたサクと一緒に、学園の外周を走る。

普段のランニングのスピードなのだが、流石シノビ。

スピードと体力には自信があるのか、普通に並走された。

アカネ以外で並走できたのはサクが初めてだ。


外周を走っていたので、先程の実況は聞こえていた。

アカネは難なく勝利を収めたようだ。

これで代表に王手をかけた一番乗りということになる。

午前中の最終試合にイオ対ショウヤがあり昼休憩を挟んで俺が午後一番、その後サク達の試合がありトリがシャルロットだ。

ところどころに選抜メンバーの試合が入っている。

見てる側を退屈させないような順番にしてあるのだろうか。

姉さんのことだから、大いに有り得るな。


ウォーミングアップをある程度で終え、修練場へと移動した。

この試合だけは、どうしてもこの目で観たいからな。


「さあ、いよいよ午前中最後の試合です!

イオン・フォン・アビステイン対ショウヤ・フォン・アビステイン!!

王子対王女の一戦が間もなく始まろうとしています!

修練場には、ほぼ全校生徒が集まっていますね!」


実況の言う通り1年選抜メンバーはもちろん、他の生徒で埋め尽くされた修練場は、さながら新人戦決勝戦のような熱気を帯びていた。

先にショウヤが壇上に現れた。

いつものクールな表情だが、時折背中を気にする仕草が見て取れた。

新人戦決勝の二の舞は避けたいのだろう。


続いてイオが壇上にあがったのだが、その姿に会場中がザワついた。

杖を持っておらず、代わりに剣を持っていた。

確かにショウヤ相手に魔法は意味無いが、剣で闘うつもりなのか。

降霊術も恐らく魔力を使用するだろうから使えないだろうし、純粋な剣術勝負になりそうだが大丈夫だろうか。



「時間制限は15分。3回目のダウンで敗北とする。

くれぐれも無茶はしないように。

それでは試合開始!!」


姉さんの合図でショウヤが飛び出した。

イオは剣を構えたままその場から動かない。

じっと相手を観察するアカネのようだ。

イオは新人戦決勝のように剣術が出来ないというわけではないのだが、体格のおかげでパワー勝負となるとどうしても負けてしまう。

ショウヤは重い攻撃というよりはスピードを重視した軽い攻撃を連打するタイプなので、致命打は受けにくいという判断かもしれない。


案の定いくつかの両手剣による攻撃を剣で受けるものの、数回被弾し制服に傷がついていた。

しかしどれも決定打になるものではない。

だが手数の多さは明らかにショウヤが勝る。

攻撃を仕掛ける度に、徐々にイオが攻撃を被弾する回数が増えてきた。


しかし、うちの王女様はその程度では挫けないのだ。

小さい身体を駆使し、ショウヤの足元へと潜り込んだ。

回復(ヒール)

その瞬間無詠唱の回復魔法が発動し、被弾して受けた傷を一瞬で癒した。

ショウヤ相手にだ。

魔力干渉は目で見ていないと発動出来ない。

そこで自ら死角に飛び込む寸前に発動の準備をし、飛び込みながら魔力を使い発動した。

しかもそこから攻勢に移り、お世辞にも綺麗とは言い難い剣戟でショウヤに斬りかかる。


ショウヤも負けじと応戦し全ての攻撃を捌く。

そしてイオが大振りに剣を構えた瞬間をショウヤは見逃さなかった。

カウンターを放とうと、身体を捻る。

いや、()()()()()()()


「兄さん、ごめんなさい。」

イオは小さく零した。

剣を放し、ショウヤが身体を捻った逆側に潜り込み、本当に申し訳なさそうにしながら兄の身体に右手を添えた。

電撃(エレクトリック)

身体を捻ってしまったが故にできた死角からの電撃。

誰よりも長くショウヤと共に居て、誰よりもショウヤを見てきたイオだからこそ突ける隙だろう。

ショウヤは全身を麻痺させる程の電撃に、両手剣を落とし、その場に倒れ込んだ。


「勝者、イオン・フォン・アビステイン!」


修練場は大歓声に揺れた。

あくまでも自分は魔法使いなのだ。

そう言わんばかりに意地を押し通したな。

俺も負けていられない。

ショウヤに回復魔法をかけるイオを見届け、その場を後にした。



-----


「決まったー!!

シャルロット選手、一度も攻撃を受けることなく完勝です!

これで全勝は6人!

明日、この中から3名の代表が決定されます!!」

アカネ、俺、サク、アスカ先輩に続きシャルロットも完勝。

明日行われる試合は誰と当たってもハードな闘いになりそうだ。



夜、アカネを皮切りにシャルロットとサクが部屋に来ていた。

対戦相手が誰になるかを、ワイワイ話したいそうだ。

アカネは1人で居ると緊張して吐きそうになるらしい。

アカネとサクは俺とは当たりたくないと笑いあっている。

そういうのは俺の居ないところで言って欲しいのだが、まあいいか。

「アタシは闘いたいけど。」

シャルロットとは何だかんだで試合形式の対戦は一度もしたことがない。

俺としては当たりたくないのが本音だ。

しばらくそれぞれが話している中、対戦相手決定の通知音に緊張が走った。


「アタシのよね・・・?」

シャルロットが不安そうに声をあげると、続いてアカネ、サク、俺と次々と通知音が響く。

皆でせーので見ることに。

「ぎゃー!」

アカネの悲鳴と、シャルロットの露骨に嫌そうな顔がほぼ同時。

「マジですか・・・」

サクの落ち込んだ顔と、それを覗き見るイオ。

かくいう俺は選抜メンバーとは当たらなかった。

唯一の一般生徒であるクラスメイトと対戦することになった。


アカネの端末を覗き見ると、

「対戦相手が決定しました。

日時:5月20日午前11時より

対戦相手:シャルロット・マリア・ヴァルローレン」

の表示がされていた。

この前シャルロットもアカネから一本取っているし、どちらが勝つか本当に読めない。

そしてサクの相手はアスカ先輩ということになる。

何度も手合わせをしているが、あまりいい思い出はないらしい。


どちらも見応えのありそうな組み合わせで楽しみだ。

勝てば代表決定、負ければイオを含めた1敗同士の闘いに入ることになる。

まさに天国と地獄。


命運分かつ勝負の時が、刻一刻と迫っていた。



拙い作品ですが、最後まで見て頂けると嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。

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