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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第4章 代表選抜編

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三十五ノ舞「ひさかたの光のどけき春の日に」


-----サクラ視点


代々アビステイン王家にシノビとして遣えているイガ家。

その4人兄妹の末っ子として産まれた私には、家で継がれている王家での仕事はなかった。

3人の優秀な兄が既に仕えており、私の出る幕はない。

10歳になる頃、そのことに気付いてしまった。

私は何のために産まれ、今まで努力をしてきたのだろう。

そんな考えに心が折れていた。


何年か自暴自棄な生活をして過ごしていたある日、母に頼まれた買い出しのために街に出ていた。

そこで『神速の剣姫』と呼ばれる女性が居ることを知り、シノビの情報収集能力を駆使して人となりを調べた。

一言で言うと、化け物だ。

しかしそんな人に仕えることが出来れば、家の中で惨めで窮屈な想いをしなくて済むのではないか。

家に心の居場所がなかった私にとってその閃きは、長いトンネルから抜け出せたような感覚だった。


しかし『神速の剣姫』は片腕を失ってしまったと噂が流れていた。

化け物じみた強さを誇る人に傷を負わせたのは一体何者なのか。

後々本人から聞くことになるのだが、まさか弟を守るために腕を犠牲にしたとは思ってもいなかった。

続けて情報収集をすること数ヶ月、ようやく表舞台に出てくるという情報を掴んだ。

どうやら新設の学園の学園長に就任するらしい。


一瞬たりとも迷わなかった。

その学園に通い、仕えさせてくれと直談判するだけだ。

無事に入学できたものの、騎士育成校の中でシノビという枠はあまりにも異質だった。

影で笑われ、同じ選抜メンバー以外の生徒からは後ろ指をさされるのだ。

それでも、自分の居場所を作るためにここに来た。

居心地の悪さなど、何年も前から実家で嫌というほど味わっている。

そんなことよりも未来を得ることの方が大事だ。


そう決意し、入学式後に初めて『神速の剣姫』と対面が叶った。

驚くことに名乗る前からシノビだとバレていた。

説明する手間が省けたのでその場で貴女に仕えさせてほしいと伝えたのだが、「嫌だよ、めんどくさい」と一刀両断。

普通の人なら怒る場面だろうけど、この言葉を聞いた瞬間に大笑いをしてしまった。

人が頭を下げているのに露骨に嫌な顔を隠そうともせず、挙句面倒臭いまで言うのだ。

大物しか許されないその態度に、嬉しくなっていた。

聞いていた通りの性格、間違いなく本物だ。


2ヶ月間毎日同じやり取りを繰り返し、忘れもしないあの日。

遂に『神速の剣姫』が折れたのだ。


「アタシに専属なんてのは必要ない。

その代わりやる気があるのなら、この学園の生徒の生活を陰ながら守れ。」


その言葉で私がどれだけ救われたか。

あの人らしい投げやりな言い方だと、アスカには笑われたけど。

本人が長を務める学園を、そしてその宝である生徒を守れ。

これが、私に出された初めての任務だった。

半年ほどそんな生活を続け、遂にシノビとしての実力を認めてもらえた日には嬉しすぎて涙が止まらなかったくらいだ。

そしてその時に、弟くんが後輩として入学しようとしていると教えてくれた。

専属として仕えたいのであれば、闘って判断しろと。


そして翌年の入学式。

木刀を腰に下げた少年が弟だとすぐに分かった。

目元が姉とそっくりだった。

悪目立ちするようなパフォーマンスで選抜メンバー入りした彼と、手合わせをしてみたい。

今の生活も悪いとは思わないけど、シノビとしてやはり決まった主が居る方が良いのだ。

家族を見て、それは幼いうちに理解していた。


模擬戦で実際闘い、実力は充分分かった。

そしてその将来性は計り知れない。

彼は優しく、そしてカッコイイ剣技を持っている。

最初は『神速の剣姫』に仕えるためにこの学園に来たけど、こんな宝石の原石のような人に出会えた。

当初の目的とは違うものの、この人に付き従いたいと思える人にだ。

そしてユウリ様専属のシノビになった。


そんなユウリ様だが、数日見ないと理解が追いつかないほどの成長をする。

もしくは元々爪を隠している。

強くなることにとても貪欲で、分身の術を教えてほしいと言われた時は驚いた。

姉のような傍若無人さは欠片もなく、そんな彼との関係は主従というより学友に近い。

それでも間違いなく将来必ず『神速の剣姫』をも越える器であると信じている。

だから付き従うのだ。



日課となっている複数の分身による校内巡回をしていたのだが、修練場の近くを通りかかった際に異常な量の魔力を感じてすぐに駆け付けた。

駆け付けた先にはユウリ様対イオさんの選抜戦が行われていた。

そして光の矢がユウリ様に向かい、それを一刀両断した。


如何に専属のシノビといえど、見てはいけないものを見てしまった気がする。

イオさんの放った魔法は、間違いなく神話級クラスの魔法だ。

そちらも驚きではあるが、神話級魔法を斬れる剣士がこの世界に何人いるというのか。

今のユウリ様の実力は、入学式直後の模擬戦で私と闘った時とはまるで別人。

共に一歩ずつ歩んでいると思っていたら、新幹線で先に行かれた気分だ。

もっともこの世界に電車など存在しないが、それほどまでに置いていかれている。



共に互いを守れるようにと誓ったのだ。

実力では置いていかれていても、同じ場所に立っていたい。

そんな気持ちで、対戦相手を見据えた。


「それでは第4戦を始める。

試合時間は15分、3回目のダウンで敗北とする。

それでは試合開始!」


開始早々突進してくる相手の足元に、数本クナイを投げつけ足を止めさせた。

その隙に分身の術で分身を4人作り即座に配置。

主の考えたその技は、忍術を得意とする私にとっては非常に使い勝手がいい。

そして何より、私の名前をどこかで入れるために星型の配置にしてくれたことが嬉しかった。

だからアレンジして使わせてもらおう。


「忍法─桜花乱舞!」


分身を含め、移動する前に桜の花びらが舞うようにアレンジした。

木ノ葉隠れと同じ要領で桜に目線を誘導した私なりの捌式だ。

ユウリ様のような物凄いスピードは出せないけれど、より美しい技になったと思う。


「勝者、サクラ・イガ!」


これで4連勝だ。

ユウリ様はこのままいけば選抜メンバーに選ばれるだろう。

主が頑張っているのに、私が手を抜く訳にもいかない。

イオさん、ショウヤさんが1敗した今、1年選抜メンバーの残り3人とアスカあたりと4つの椅子を取り合う闘いだ。

必ず勝ち取って、私を、そして主を笑う周りを見返してやるのだ。


それが叶った時、自分の選択が間違えていなかったと証明できるから。


ユウリ様の自分のことのように喜ぶ姿を思い浮かべながら、今日も私は学園を陰ながら守る。


それがあの姉弟のために出来る、私なりの恩返しだ。



拙い作品ですが、最後まで見て頂けると嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。

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