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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第2章 新人戦編

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十八ノ舞「月明かりに照らされて」


 帰り道、目を覚ますとシャルロットにおぶられていた。

皆の笑顔を見るに、勝ったのだろう。

起きたことを伝えおろしてもらうと、シャルロットが残念そうな顔をしていた。

アカネの口が3になっていたので、副将までに決着がついたのだと察した。

やはりショーヤもシャルルも頼りになる。

いつか、この皆でパーティを組んで冒険とかしてみたいものだ。

そう考えてしまうあたり、親父の血をきっちりと継いでいる。


日が落ち始めていたので、随分と長いこと寝ていたようだ。

俺たちの試合が昼からだったから、時間的にもう一つの準決勝の試合を見ていたのだろうか。

対戦相手も分からない状態だが、まあ誰が相手でも勝ちゃいいんだ。

高天原(たかあまのはら)』を使って勝ちきれなかった俺が言うと、説得力ないけどな!

ひとまず観戦の結果は後で聞くとしよう。


どのみち明日1日は休養に充てられる。

身体を休めつつ、決勝戦に備えるとしよう。

使うかどうかは分からないが、中3日ということは最大強化も解禁だしな。

明日は剣を振らないで筋肉を休めよう。



-----



 宿の部屋に戻りベッドに座って木刀の手入れをしていると、イオが隣に座ってきた。

木刀を覗き込みながら、「あんなに無茶な闘い方をするのに、よく壊れませんね。」と感心していた。

俺が使える2つの魔法のうちの1つ、武器強化のおかげだろう。

と言っても、俺が手に持つと勝手に発動するように、母さんが昔プログラミングしてくれたのだ。

俺の魔力じゃないと反応しないので、他の人が使うとただの木刀だ。

俺が持つと、真剣とも打ち合える強度の名剣になる。

もっともパッシブスキルなせいで、魔法を使っているという感覚はあまりないのだが。

魔力は間違いなく減っているから、一応使えると言っている。


そう説明するとシャルロットがイオの逆側から不思議そうに覗き込んできた。

まるで、「アンタのお母さんって何者?」と言わんばかりに眉間に皺を寄せている。

結界を作ったり、ヒーラーの役割をしたりする万能サポーターだったはずだ。

魔法に関しては俺も詳しくはないので説明できないし、なんかすげえってくらいにしか覚えてないな。

あ、たしか聖属性は上級だったはずだ。

最後に会った時、最上級であれば俺や姉さんを助けてあげれるのに、と泣きそうになっていたから覚えている。

あれからもう5年も経つのか。



ルクスの幻術のおかげで、実は今この街に居ることは知っている。

再現度はほぼ100パーセントだったからな。

俺の願望も多少なりとも含まれていただろうが、あれも実際に有り得た未来だと思っている。


隠れて新人戦を見ているのかもしれないな。

姉さんと昔ひと悶着あり、顔を合わせるのが気まずいから姿を見せないのだろう。

まあ姉さんが怒ったのは俺のことを想ってくれているからこそであって、冒険者として家に居ない両親には、その言葉は深く刺さったのかな。

と勝手に解釈しているから良いのだけど。


それは置いといて、魔法については2人の方が詳しいのだ。

イオもシャルロットも分からないのであれば、俺が分かるわけもない。

なのでそういうものなのだと説明すると、2人とも納得したようなしてないような顔をしていた。

その後は他愛のない話をしながら過ごした。



学園に入学してから間もないが、かなり充実した日々を送っている。

共に過ごすのが楽しいと思える友ができ、好敵手(ライバル)と呼べる存在もできた。

これでまだ4月25日とは思えないほどだ。

決勝戦を明後日に控え・・・あれ、何か忘れている気がする。



4月26日・・・アカネの誕生日じゃねえか!

ウトウトしていたシャルロットに、イオに頼んでフリーズひょあああ(いつもの)を見た後、事情を説明。

イオが上手くショウヤを呼び出し、明日やる事が即座に決まった。


アカネの誕生日を祝う、サプライズパーティだ。



-----



 翌朝、シャルロットと共にランニングをしてくると抜け出した。

アカネも付いてきそうな気配だったが、隠れて姉さんにウィンクをしたところデートと勘違いされて、明日万全で挑むために今日は我慢しろとアカネに言い聞かせていた。

いや、今日は勘違いでも構うまい。


ショーヤとイオは大神殿を見に行くと言って外に出る手筈となっている。

イオが聖女であるため、もっともらしい理由だ。

クノッサス北部にあるため本来であれば入ることは出来ないらしいのだが、そこは王子と王女という身分があれば大丈夫なのだそうだ。


昨晩のうちにサクに頼んで、夜のテーブルの予約と、昼間はアカネの話し相手になってもらうようにと頼んである。

こちらも事情を説明したところ、快く請け負ってくれた。

後は姉さんがボロを出さないように祈るだけだ。



イオ達と合流した時には既に、2人はプレゼントを購入していた。

何にするか迷った挙句、アクセサリーが無難だろうと結論を出したのだそうだ。

しかし困ったことにアカネは装飾品等は身につけないのだ。

ということで小物入れも必要ないときた。


普段アカネが身につけているのは、刀くらいか。

それなら刀関連で何か探そう。

そう思いシャルロットと共に、髪飾りを買ったお店に来た。

オヤジさんに髪飾りの時のお礼を伝え、刀に合うアクセサリーを見せてもらった。

このあたりでは、そういった装飾には鞘につける鈴や、リボンあたりが妥当らしい。

シャルロットはリボンにするそうだ。

そうすると、鈴も付けたらごちゃごちゃしそうだから辞めておこう。


となると、柄の部分か。

あ、グリップ用のテープとかいいな。これにしよう。

思ってたよりも安いから自分用にも買っていこう。

シャルロットの髪飾りといい、オヤジさんには世話になってるからな。

これからもこの街に来ることがあるだろうし、贔屓にさせてもらおう。

ということで、プレゼント購入完了。

あとは料理か。



料理を実際にするのはイオが適任だろう。

再びイオ達と合流して話し合いの結果、そう決まった。

イオは宿に戻り厨房を少し借りれるか交渉に。

残った3人で食材の買い出しだ。


鶏肉と野菜を大量に購入し、小さめのホールケーキも用意した。

これだけあれば充分だろう。

もし厨房を借りれなかったら、外でバーベキュースタイルで食べられるように持ち運べる程度におさめた。

主賓が食いしん坊なだけに、足りるかどうかは不明だけどな。



-----



心配していた厨房もなんとか借りれたようで、イオが料理を始めた。

その間は俺とシャルロットでアカネを足止めする係だ。

サクは上手いことやってくれていたようだ。

後で存分に労ってあげよう。


シャルロットが準決勝で、『咲き誇る狐百合(レーヴァテイン)』という魔法を使ったことを話してくれた。

魔術制御をアカネに教われたからだとお礼を言っていた。

だが2人の会話から、もう一つ新しい魔法があることが分かった。

レーヴァテインとは文字通り剣に関しての魔法だろう。

俺としてはもう一つの方が気になる。


それをシャルロットに聞いてみたところ、「アンタと闘う時のとっておきよ!」とニヒヒと笑いながらはぐらかされた。

早くも6月から行われる個人戦の楽しみが増えた。

トニーとの決着と、シャルロットの奥の手。

それまでに捌式(はちしき)以降を完成させないとだな。


しばらくそんな雑談をしていると、ショーヤが部屋に入ってきた。

そろそろ夕飯でも食べよう、という誘いにアカネが乗っかった。

作戦通りだ。

皆で階下の食事処に向かった。



-----



普段のこの時間帯なら賑わっているはずの飯屋が、今日は誰一人として客が居なかった。

ど真ん中の大きなテーブルに全員で腰掛けると、急に明かりが消えた。

アカネが「ひっ」と悲鳴をあげ、隣に座った俺を掴んできた。

昔から暗いのもダメだったな、と思い出していると、聞き覚えのあるクールな声が響いた。


「本日はお集まり頂きまして、誠にありがとうございます。

また、この様な催しにお誘い頂き、重ねてお礼申し上げます。

呼ばれた立場で開始の宣言をさせられるのはいかがなものかと思うところはございますが、クノッサス王国騎士団2番隊隊長ルーナ・フォルス・アイギスの名のもとに、宴の席を開始させていただきます!!」


その宣言と共に明かりが付き、いつの間にか現れた周りの大勢の客から歓声があがった。

待って、俺もこんなの聞いてないんだけど!?

というか客も店もノリ良すぎだろ!

「ルーナ!ルーナ!」とかいつの間にかルーナコール起こってるし。


「ようしお前ら、今日は全部アタシの奢りだー!!

めいいっぱい騒いで、ウチのアカネの誕生日を祝ってくれー!!」


姉さんの『響き渡る声(マイク)』での宣言に、宿が揺れんばかりの大歓声に包まれた。

気付いていないように見せながら、店にいた客を巻き込み、ルーナ隊長を特別ゲストに呼び、全額負担するから楽しめと言う姉さん。

相変わらずカッコイイことをする。

この人のカリスマ性は、本当に憧れるな。

隣でハトが豆鉄砲をくらったような顔をしていたアカネだが、徐々に事態を飲み込めてきたようで、顔がだんだん赤くなってきた。

みんな、お前のために騒いでるんだぞ。


ショーヤとイオが次々と料理を運んできた。

蒸し鶏のサラダ、チキンステーキ、野菜たっぷりのスープ、これでもかと量のあるパンの山。

そして最後にアカネの目の前にケーキが置かれた。


小さめのケーキだからロウソクは少ないが、アカネは揺れる火を涙目になりつつ嬉しそうな顔で眺めていた。

シャルロットが「ハッピーバースデートゥーユー」と歌い出すと、お店全体での大合唱が始まった。

さぞかし近所迷惑だっただろうが、今日は許して欲しい。

大切な仲間の誕生日なのだから。


大合唱が終わりアカネがロウソクの火を吹き消すと、盛大な拍手が鳴り響いた。

涙を堪えられずに流しながらも満面の笑みで「みんな、ありがとう!」と言うアカネにドキッとしつつ。

その後は1人ずつ順番にプレゼントを渡し、大騒ぎとも言える賑わいで夜がふけていった。



-----



「こんなに賑やかな誕生日は初めてだよ。」

宴も終わり、イオが疲れて、姉さんが酔いつぶれて寝てしまった頃にアカネが呟いた。

今まではうちの道場のむさ苦しい連中から、「おめでとうございます」と声を掛けられる程度だったからな。


「ユウくんも、ありがとうね。

皆に誕生日なの教えたのユウくんでしょ?」


それはそうなんだが、忘れかけてたことは言わないでおこう。

アカネの嬉しそうな、楽しそうな笑顔が見れただけで、今日の宴は大成功だったのだ。

ルーナ隊長とも色々話せたしな。


「そういえば、ルーナさんとは何を話していたの?」


「姉さんの昔のことを聞いて、よく似ているという話をされたり、だからこそ危ういとも言われたな。」


知っているとは思うがアイツは剣姫とかいう可愛い器じゃなく、文字通りイーストテインの女番長として君臨していた、と話された時は思わず水を吹き出し、向かいに座っていたシャルロットをびしょ濡れにしてしまった。

容易に想像できる絵だが、実際に話を聞くまで知らなかったのだ。


ちなみにシャルロットの服が濡れた際、服が透けて赤い下着が見えてしまっていたので、咄嗟に「シャルルのように情熱的な色だね」とサムズアップで言ったら、本気のグーで殴られたことは言うまでもない。

そのせいで左頬が腫れているのだ。

「いや、それは自業自得だと思うよ。」

そんな冷たい目をするなアカネ。


「わたしね、本当にこの学園に来て良かったと思ってるの。

最初はミドリさんも居るし、ユウくんも行くならついて行かなきゃだなって思ってたんだけどね。

今は大切な友達が沢山できて、こんな素敵な誕生日を祝ってもらえて、今年の誕生日はずっと忘れられそうにないよ。

・・・明日、絶対勝とうね、ユウくん。」


その満面の笑顔は、月明かりに照らされて、いつもよりも輝いて見えた。

思わず見とれてしまった。


「だそうだぞ、()()()()()()()()!」


恥ずかしさをごまかすためにこっそり覗いている野次馬に声をかけると、シャルロットの「うげっ!」って声と、ショーヤの「だからやめようと言ったのに・・・」という呟きが聞こえた。

アカネも気配で気付いていたようで、「バレバレだし・・・」と呆れていた。


イオは疲れて寝てしまっているのが残念だが、4人で月を見上げながら他愛のない話で盛り上がった。

明日は必ず勝って、優勝すると誓って。

雲ひとつない澄み切った夜空に、その話し声は夜遅くまで響き渡った。



-----



「さあ、待ちに待った新人戦決勝戦!!

準決勝でライバルのウエストテインを接戦の末破り、12年振りの決勝進出を果たした西の古豪ウエストブルム騎士育成学校!

対するは優勝候補を次々と撃破して勝ち上がってきた、今大会ダークホースのアビスリンド学園!

両校の勇姿を一目見ようと、この大闘技場も超満員の観客が今か今かと開始を待ちわびています!!

決勝戦の実況という大役を仰せつかったのはわたくし、クノッサス大神殿守護騎士団1番隊隊長、エリーゼ・アッシュフォード。

そして解説はクノッサス大聖堂第一守護部隊隊長、アンデルセン・スカイウォーカーさんです。

まさか19年前の決勝戦の対戦相手と、この席に座るとは思いませんでした!

今日はよろしくお願い致します!」


「あの時の我々のように、全力を尽くして闘ってほしいですね。

まあ、その頃彼らはまだ産まれていないでしょうけど。」


「そして決勝戦の審判を務めるのはもちろんこの人!!

16年前伝説の一戦を繰り広げた、歴戦の戦士!!

クノッサス王国騎士団総隊長、アーデルハイド・ジーン・ブリッツ様です!!」


大闘技場が大歓声に揺れた。

アーデルハイドさんの人気も素晴らしいが、その佇まいの隙のなさに鳥肌がたった。

準決勝の審判のジークロードさんよりも筋肉質というわけではないが、一目見て無駄な筋肉が一切ないということが分かる。

そして身に付けている防具、武器がそれぞれ国家に伝わる伝説の武具なのだろう。

オーラからして、そこいらの剣とは比べ物にならない。

全身の装備で一体いくらになることやら。

圧倒的強者の風格。いつか剣を交えてみたいものだ。



「王国騎士団総隊長の名において、公平なジャッジを約束しよう!

それではこれより、新人戦決勝戦を始める!!

先鋒の選手は前へ!!」


4人それぞれと1人ずつタッチを交わして壇上へ上がるその姿は、いつもの緊張した面持ち、そして初戦の時の気負った表情とはまるで別人の顔だった。

自信に満ち溢れた笑顔のアカネは相手より先に位置に付き、剣を抜いた。


「アビスリンド学園、先鋒はアカネ・オオヒラ選手!!

初戦では相手のユニークスキルによって敗北したものの、この隙のない構えは本当に素晴らしいですね!!

対するウエストブルムは、アライブ・ビート選手!!

ここまで二戦二勝の負け無しで勝ち上がってきており、チームとしての期待も大きいでしょう!!」


騎士育成校ということもあり、見事な甲冑だ。

日に照らされて銀色に輝くそれはまだ真新しいものの、これまでの激戦の傷がいくつかついていた。


「アライブ・ビート。

騎士だからと言って、ここは戦場。女だからと容赦はしない。」

「アカネ・オオヒラ。

手加減無用よ。互いに全力を尽くしましょう。」


「それでは先鋒戦、試合開始ー!!」


準決勝とは違い、万全の体制で迎えた決勝戦。

必ず勝つぞ。この5人で。



拙い作品ですが、よろしければ最後まで見てやってください。

よろしくお願い致します。

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