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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第2章 新人戦編

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十七ノ舞「追いかけて、並んで」


-----ショウヤ視点



「大熱戦の興奮が止まぬ中ではありますが、中堅戦が始まります!

アビスリンド学園、ショウヤ・フォン・アビステイン選手!

初戦でも中堅にて勝利を収めています!

対するマジックギルドは、マリーナ・ポーラン選手。

先鋒のアリス選手の双子の妹です。」


マリーナと呼ばれた少女は、確かにアリスとそっくりな整った顔をしていた。

髪型と髪の色が違うので見分けがつくが、そこも同じだと全く見分けがつかない程だ。

銀髪ロングがアリスで、茶髪のショートがマリーナか。

立場上人の名前と顔を覚えることが癖になっているので、特徴を頭に入れつつ壇上へと向かった。


ふと陣営に目をやると、ユウリがシャルロットの肩に寄りかかり眠っていた。

シャルロットは顔を赤らめながら緊張した面持ちで固まっている。


彼らは本当に強い。

王宮で受けた剣術指南が遊戯であったと思える程に、彼らのしてきた努力は彼らの今の実力を作っているのだろう。

自分は彼らと共に歩むだけの実力を持っているのだろうか。


少なくとも先程のユウリの到達した領域には、一生かかっても到達できない。

おそらくそれは、生まれ持った才能の差だ。

では自分には何ができる?

魔法の才能はなく、剣術の才能もある方ではない。

ただ一つの才があるとすればこの目、『魔力干渉』のみ。

魔法使い相手にはこの上なく相性のいいものだが、ユウリのような剣士相手に通用しないことは大会前のタッグ戦で証明されている。


アビステインの王子として生まれ、不自由な生活ではなかった。

しかし学園に入学した一生徒として考えると、自分よりも優れた生徒への劣等感を感じずには居られなかった。

自分は弱い。

だが今はこの優れた仲間達を()()()()()()で終わらせないためにも、勝たなくてはならない。


本来であれば自分の剣士としての実力で闘い、勝ちたいという気持ちもある。

だがそれは自分のワガママで、もしそれで負けてしまいチームも敗北となってしまえば、僕は自分のことを一生許せないだろう。

だから僕個人のプライドなど必要ない。

優れた将は個人の感情よりも、チームの勝利を優先するものだ。



ふぅー、と長めの息を吐き対戦相手を見据える。

どこからどう見ても魔法使いタイプで、帯剣もしていない。

ならばこの目で封じるのみ。


「試合開始!」


審判のジークロードの合図と共にマリーナが短縮詠唱を開始した。

ダッシュで距離を詰めつつ、マリーナの魔力を霧散させる。

マリーナはたまらず距離を取ろうとバックステップで下がるも、距離を離させまいと全力で向かう僕との距離は縮まるばかりだ。


短縮詠唱と魔力干渉を互いに何度か繰り返したところで、マリーナが完全に僕の間合いに入った。

ここぞとばかりに踏み込み、逆手に持った両手剣をマリーナの胴の寸前でピタリと止めた。


「魔法を使えない以上、どう足掻いても君の負けだ。

出来れば傷を付けたくないから、棄権してくれると助かるよ。」


決して目を離さず魔法を使わせずに、余計な血も流したくない。

この行為を甘いと思う人も居るだろうが、これが僕が取れる最良の選択だ。


「アタシはどんな手を使ってでも勝たなくちゃいけないの・・・!

なめんじゃないわよ!!」


マリーナは杖を逆手に持ち杖の柄の部分を引き抜き、斬りかかってきた。

魔法使いで暗器使いとは恐れ入る。

だが、普段からユウリとシャルロットの剣を見ている僕からすれば、遅すぎる。

左からの斬撃を屈んで避け、カウンターを放った。


「『回転水車(ウォーターホイール)』!」


文字通り水車のように回る、ジャンプしながらの回転斬り。

カウンターの手応え、アリだ。

右膝を着きながら着地し、対戦相手を伺う。

制服の中から大量の暗器と思われる武器を散乱させながら、マリーナは宙をまい、ドサリと音を立ててダウンした。


しかしいくつ武器を仕込んでいるのだ。

目に見えるだけでも軽く10種類は超えている。

それを最初から全て使われていたら、どうなっていたか分からない。

決して目を離さず、10カウントを聞いていた。


「恵まれたアンタには、常に姉と比較され続けるアタシの気持ちなんて、わからないでしょうね。」


カウントが半分を超えた時、マリーナが倒れたままの体勢で零した。

自分は長男だから、上と比べられることは確かにない。


しかしイオは別だ。

マリーナとイオの境遇は少し似ているかもしれない。

それでもイオは兄である自分を慕ってくれている。

イオという素晴らしい妹が居ることは恵まれていると言えよう。

それ以外では、生活に不自由がなかった事を除けば、特に恵まれているとは思ったことは無い。

剣、勉学、魔法、全てにおいて僕は1位ではないのだから。


「王子だからと変な期待をされることが辛いことだってもちろんあるし、正直に言うと劣等感もある。

僕はこの5人の中では1番弱いからね。

ただ、この素晴らしい仲間たちを相応しい結果に導いてあげたい。

誰かの評価なんて関係なく、それが僕自身のやりたいことだ。」


それを聞いたマリーナは「ハッ」と鼻で笑い、何も言わなくなった。

そのまま10カウントが過ぎ去り、試合が終わった。


「マリーナ・ポーラン10カウントダウン!

勝者アビスリンド、ショウヤ・フォン・アビステイン!」


「中堅戦決着ー!

アビスリンドが、優勝候補筆頭のマジックギルド相手に2勝1分けと大きくリードするという、全く予想だにしなかった展開となっております!!

今大会のダークホースは初戦に続き、この準決勝でも大物食いを果たすのかー?!」



やはり、周りにはそのように見えているのか。

僕から言わせれば、当然だ。

このメンバーで優勝するのだから。

そこに導くのが自分の役目だし、共にその道を歩んで行きたい。

どれだけ遠くの背中を追いかけているとしても、ね。




-----シャルロット視点



幼い頃から、割となんでも出来る方だった。

勉強をすればすぐに覚え、実家に伝わる炎属性魔法剣(サラマンドラ)も7歳になる頃には習得してしまった。

そんなアタシが、一人の剣士に憧れた。

サムライと呼ばれていた彼の技は次々と敵を倒し、その剣はただひたすらに美しかった。


今まで我流の剣術で我武者羅に剣を振ってきたが、サムライの剣を見てからは真似をするようになった。

構え、防御、奥義に至るまで全てだ。

弟子入りするという選択肢が本来ならあるはずだが、サムライの道場は家からあまりにも遠く、まだ幼かったアタシが親元を離れるのは許されなかった。


そのまま月日が流れ、サムライの孫である『神速の剣姫』が学長を務める学園が出来たことを知った。

迷わずそこに進学を決めた。


自分の才能なら、全て1位で首席だと信じていた。

魔法は7歳の時には周りの大人よりも出来ていたし、剣術はサムライを模倣しているのだ。

負けるなどと微塵も思っていなかった。


しかし剣術ではサムライの孫と弟子に負け、魔法は王女だけならまだしも剣術でも負けたサムライの弟子にすら負けた。

自分がどれだけ狭い世界の中で天狗になっていたかを思い知らされた。


逆立ちをしても剣術でユウには勝てないし、魔術でイオには勝てない。

残されたのは学力テスト満点と魔術・剣術3位で取れてしまった、名ばかりの首席という重荷。

もちろん全ての平均値では高い方なのは今でも自覚している。

それでもイオ、ユウ、そして人に物を教えるのが上手なアカネ、皆をまとめるのが上手なショウヤ。

皆と比べると、自分には何もないのだと否が応でも思ってしまう。


だからこそ、勝たなくては。

全ての試合に勝つことでようやく、胸を張ってこのメンバーと並んで歩いて行ける気がするから。

アタシが求めているのは、道を示してもらうことでもなく、後を追いかけるのでもなく、共に並んで歩ける仲間なのだから。



そう思っていたのだけど・・・

信頼されているのか無関心なのか分からないけど、なんで異性の肩に寄りかかって熟睡できるのコイツ?!

後者だったらたぶん泣いちゃうから、信頼されているのだと思おう。

考えたらちょっと恥ずかしくなってきた。


今はこんなに無防備な寝顔だけど、さっきの試合でユウが見せた技は凄かった。

我ながら語彙力皆無な感想だが、そうとしか言い様がない。

アカネは見えているけど反応出来ないと思う、と言っていた。

アタシには全く見えていなかったのだから、アカネの動体視力もまた規格外だ。


あの強さの領域に達するには、あとどれくらいの汗を流せばいいのだろう。

きっと誰も知らないところで、血のにじむような努力を重ねてきたのだ。

まだ共に並んで歩けるだけの実力は自分にはない。

でも、背中を守れるくらいにはすぐにでもなりたい。

これは、欲張りなのかな。



そんなことを考えていたらショウヤの試合が終わっていた。

全く見ていなかったとは申し訳なさすぎて言えないけど、実況のおかげで勝ったのいうことは分かった。

戻ってきたショウヤと笑顔で拳を合わせ、自分の番だと立ち上がろうとして肩にユウが乗っかっているのを思い出した。


すかさずイオが間に割って入り、膝枕をしてユウの頭を撫でていた。

その手があったか!!と電撃が走ったが、壇上へ向かわなくては。

自分の機転の利かなさに涙目になりつつ、対戦相手と向き合った。


ユウと同じくらいの身長で、水色の短い髪の男だ。

青い長めのローブを着ているものの、アタシの剣と同程度の長剣を右の腰に携え、左には小さな杖も携えている。

二刀流かしらね。

剣術と魔法、どちらも使う自分と同じようなタイプだろうか。

どちらにしても、短縮詠唱には要注意ね。


「それでは、試合開始!」


アタシも、サラマンドラしか使えないわけじゃない。

大会前、アカネに魔術制御を教わった甲斐があり、魔法の選択肢が大幅に広がった。

今まではこうしたいというイメージはあったが、魔法の制御が上手くできずにいた。

それをアカネに相談したところ、実家の鍛冶屋に連れていかれて剣をうたされた。

しかも窯を使わずに。


自分の炎だけで剣を作れと無茶振りをされ、案の定何度も失敗をした。

でも自慢ではないけど、割と要領は良い方だと思う。

剣をうちはじめて3日目には、なんとか形になってきた。

コツを掴んでからはあっという間だった。

4日目の終わりごろには、もちろん駄作ではあるけど剣ができあがった。

7日目には1回だけだけど、アカネと同じレベルの剣を作ることができた。


次の日から元々自分の中にあった魔法のイメージを形にしていく特訓を始めた。

剣を作る際、魔力が強すぎてもダメ、弱すぎてもダメというタイミングがそれぞれあったのだけど、魔法にもそれがあると説明された。

アタシは感覚派なので同じことを人に教えるのは無理だ。

アカネの説明は、そんなアタシに合わせて丁寧なものだった。


そしてその特訓は()()()答えに辿り着く。

相手の水属性魔法を避けつつ、魔法を発動した。


「燃え盛れ、咲き誇る狐百合(レーヴァテイン)!」


サラマンドラよりも炎を纏い、

サラマンドラよりも温度を高く。

魔力は倍近く使うけど、技は同じことができるように調整した、言わば上位互換だ。


中心の剣はもちろん、その周囲から4本の炎の柱が剣を包むように立ち上る。

まるで炎の華が咲いているように。



アカネと知り合っていなければ、到底到達できなかった。

興味本位で迷わず進学を決めたものの、今ではここに来て本当に良かったと思っている。

まだ入学して間もないにも関わらず、こんなにも成長させてもらえた。

この調子で成長を続けていけば卒業する頃には、ユウの隣で闘えるくらいになれるかな。


おっと、試合中だったわね。

初戦で闘ったアンジェリーナの方がよっぽど強かったわ。

貴方の水じゃあ、アタシの炎は消せない!


炎舞(えんぶ)飛翔竜剣(ドラゴンライズ)!!」


レーヴァテインを上段から振り下ろし、サラマンドラの時の倍以上の大きさの竜が対戦相手の左腕を捉え、杖を一瞬で燃えカスにした。

威力を多少抑えたとはいえ、左腕はもちろん大火傷だ。



「そこまで!!

これ以上の続行は審判権限で、危険と判断する!

勝者アビスリンド、シャルロット・マリア・ヴァルローレン!!

よって3勝1分けで、アビスリンドの勝利!」



剣を鞘にしまい、髪飾りに思わず触れていた。

前のお気に入りは、サラマンドラにすら耐えることができなかった。

それよりも高火力のレーヴァテインに耐えられるか不安だったのだ。

だがそこはマジックアイテム様様と言うべきか、きっちりと原型をとどめていた。


せっかくユウに買ってもらったのに、すぐに壊したとなれば申し訳ない。

なにより初めてのプレゼントだから、本当に大切にしたいの。



勝ったことで一歩皆に近付けたと感じたことと、髪飾りが無事だったことに笑顔になりつつ、陣営へと戻った。

ショウヤが、「グロリオサ」と笑顔で迎えてくれた。

小洒落た人だなあ。


レーヴァテインの形の元となった花の名前だ。

グロリオサ。

ラテン語で「見事な」という意味の炎の形に似ている花。


形で気付いたのか、狐百合で気付いたのかは分からないけど。

見事な勝利だった、と言ってくれているのだろう。


なんでこの花を選んだのか、とアカネが聞いてきた。

「お母さんが大好きな花だからよ」と思わず答えてしまったけど。



グロリオサ。

花言葉は、栄光、華麗、勇敢、燃える情熱。



アタシにピッタリでしょ?

なんてね。




拙い作品ですが、よろしければ最後まで見てやってください。

よろしくお願い致します。

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