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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第11章 学園大戦編

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百〇六ノ舞「9年分の稽古」


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その晩はアリスと一緒に布団に入った。

以前の学園交流の際にも同じような状況になったことはあるが、あれはアリスが一方的に潜り込んできていただけなので、互いの意思で一緒に寝るのは初めてだ。


先ほどの会話が会話なだけにかなり意識してしまう。

元々美人で、スタイルも整っており女子にも羨ましがられるレベル。

そして風呂上りのシャンプーや石鹸のいい香りがする、自分を愛してくれている女の子。

そんな子が隣で寝ていると思うとドキドキしない方が無理だ。

しない男はこの世では少数派だと思う。


寝返りをうってアリスの顔を見ると、目がバッチリと合った。

暗がりであまりちゃんとは見えないが、緊張していそうな空気はなんとなく分かった。

2人して緊張で寝れないなんて、なんでこうしたのだか。

そう思うと思わず吹き出していた。

アリスもくすくすと笑い、結局朝まで2人で話して過ごすのだった。



なんだかんだでお互いに一睡もできずに翌朝。

元気いっぱいのトニーに朝の鍛錬をしようと誘われたが、俺もアリスもそれを拒否。

しょんぼりとケモ耳を垂らして外に出て、1人でシャドーで殴り込みをしていた。

なんだか申し訳ないとは思うが、睡魔には勝てん。


プラグニスさんたちと共に朝食をいただき、アリス達はマジックギルドへ行くとのことで俺もアビステインに戻ることにした。

出発の際、唯一見送りに来てくれたプラグニスさんに「アリスのことを頼む」と頭を下げられた。

筆頭宮廷魔術師がたった1人の学生に頭を下げるなど、他の人に見られたら何て言われるか分からない。

特にこのブライデンではなおさらだ。

頭をあげさせ昨晩アリスに話したことを告げると、満足そうな顔をしていた。


「君と一緒ならアリスも笑顔で居られると信じてるよ。」


そう言い残し仕事に向かうプラグニスさん。

この期待は裏切れないな。

姿が見えなくなるまで見送り、ブライデンの外へと向かった。



-----


雷神モードで一気に寮の前の一本道まで来ると、シャルロットが入口で鍛錬をしている姿が見えた。

せっかくだし、ちょっかい出しておこう。


「『戦乙女(ヒルダ)』」


ギィィィン─


だいぶ遠くから、しかも雷神モードで狙ったのにも関わらず俺の到着に合わせて自身の前に盾を展開。

そしてそれを躱して後ろから斬りかかったところを、見ずに右肩の上から背中に剣を下ろして俺の斬撃を防いだ。


「おお、マジか。」

「マジか、じゃないわよ。いきなり斬りかかってくるなんてどういうつもり?」

「シャルルがどれくらいレベルアップしてるのか気になって、ついな。」

「今のは完全に先読みよ。雷の動きについていける気はしないわ。」


とはいえ雷神モードのスピードは馬車で3日かかる距離を数秒で移動するほどだ。

いくら先読みをしたとはいえ、人間の動く速度で止められるわけがない。

おそらくシャルロットは姉さんと闘うことで、直感を恐ろしく磨かれているのだろう。

『神速の剣姫』の連撃も、直感が働かないと守れないしな。

今回の学園大戦では活躍に期待するとしよう。

ひとまずはもう準備しないと遅刻の時間だ。

急いで支度するとしよう。まあ、行っても寝るだけだが。



-----


そこからの時間はいつも通り研鑽に時間を費やした。

とはいえ、今回は俺たちだけが闘えばいいというわけではない。

アスカ先輩やサクが主体になって、学園の生徒たちをいくつかのグループに分けた。

そのグループが1つの軍となり、大戦中は共に行動することとなる。


2年生の選抜メンバーは他の生徒からの人気も高く、総大将に任命されたアスカ先輩を含めサク以外の4人は大きなグループとなった。

1年生と2年生を同じグループに入れることで、互いに互いをフォローする形がとれつつある。

サクは単独で行動する方が全体のためになると判断され、学園で唯一の単独行動。

姉さんに任せた助っ人2人の動向は気になるが、ひとまず今は作戦には組み込まないでおこう。


問題は1年の選抜メンバーだ。

シャルロット、アカネ、俺の3人は入学早々クラスで啖呵を切ったこともあり、その溝は相変わらず深いまま。

そしてアビステイン兄妹には王子・王女へコネを作ろうと企む生徒しか集まらず、5人全員がグループを持てずにいた。


そこで考えたのが、1年の選抜メンバー+アリスの6人で2チームを作るというもの。

3人1組となり、基本的には遊撃を担当。

サクとの連携も取れやすいメンバーなだけに、下手に隊を率いるよりはこちらの方が合っていそうだ。

指揮をとりやすい俺とショウヤ、守備も攻撃もこなせるアカネとシャルロット、神話級魔法使いのイオとアリスをそれぞれ分け、ショウヤ・アカネ・イオチーム、俺・シャルロット・アリスチームでいくことにした。


出発までの間、基本的にグループでの連携をメインにして行動。

アリスは現地集合とはいえ、マジックギルドの鍛錬で何度も対戦やコンビを組んでいる。

そしてシャルロットも初見のレイさんと完璧に合わせていたし、アリスとも大丈夫だろう。

なので今は2人での鍛錬に時間を費やしていた。



俺たちのコンビで真っ先に思い出したのが、団体戦の準決勝。

攻めるに攻めきれず、最終的にはシャルロットの最大火力である『炎舞─飛翔竜剣』で強引に敵との距離を詰めることになってしまった闘いだ。

あの文字通りのフレンドリーファイアは今回の大戦では使い物にならない。

それを何とかして、最後の切り札として使い物にできないだろうか。

何度もイオにやけどを治療してもらいながら試行錯誤を重ねるも、未だに完成に至っていない。


まずはシャルロットが炎の温度調整をできるようになること。

そして俺はただ突っ込むだけでなく、その先で必ず相手を倒せるだけの技を身に付けなければならない。

大戦まで残り2週間。

移動や地形調査に1週間ほど時間を取ることを考えると、あまりにも時間が足りな過ぎる。

ひとまず各自考えて修行しておくとのことで、一旦落ち着いた。


そして1週間後。

いよいよ決戦の地、セントラルポートに向けて学園全員が出発。

馬車の大行列は、いかにもこれから戦に出るのだと見て分かるほどだ。

1年の選抜メンバーで馬車に乗り込み、毎度のことながら乗り物に弱いシャルロットへのフォローでイオが疲れ果てていた。


出発から3日後。

クノッサスを通り過ぎ、その先にある山を越え、戦場となる平野を1日ほど北上。

ついにセントラルポートへ到着した。



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大陸のほぼ中央に位置し、この大陸最大の港町。

アビステインもかなり大きな港町ではあるが、それすらも小さく見えてしまうほどの大きさだ。

アビスリンドの生徒全員が同じ宿屋に宿泊する手はずとなっており、宿屋の1つをとってもこの街の大きさがうかがえる。

大陸の最北に位置している巨大なノースブルム帝国の1つ下にあるので、この時期はもうすでに冬真っ只中といった気候だ。

そんな気候が故に魚の成長も良く、セントラルポートの魚はかなり良い値で取引されているらしい。


大陸の一番南にあるアビステインと比べるとかなりの温度差を感じる。

ショウヤとイオにはきついだろうな。

馬車で散々迷惑をかけていたサラマンダーは体温が高いのか、一番薄着でピンピンしているが。

迷惑料としてイオを温めて続けてあげてほしいものだ。


今回は3人部屋に宿泊ということで、1年選抜メンバーはチームごとに泊まることにした。

アリスは学校もあるので2日前に到着するように向かう、と先に手紙をもらっている。

なので2日間はシャルロットと2人ということだ。

アリスが来るまでにどう動くかの選択肢をたくさん考えておくとしよう。



-----3週間前、ミドリ視点


「お前が自分から帰ってくるとは、槍でも降るんじゃないかの。」


「ああ、月末にはセントラルポートで降ると思うぞ。

それとわりいんだけどよ、それまで稽古つけてくれねえか。」


「お前みたいなバカでも雇ってくれた学園はどうした?

今はユウリもおるじゃろて。」


「ああ、辞めてきた。」


「剣を取れクソガキ。弟のために生きると決めたお前を信じたワシがバカだった。」


「いや、これもユウのためなんだ。」


偉大な祖父を前に、誰と接する時も変わらずの態度で話す。

しかし今回は自分の力だけじゃ絶対に足りない。

それが分かっているからこそ、帰りたくもない実家にわざわざ帰ってきたんだ。


人生で初めて、人の前で正座。

そしておでこを道場の床に叩きつけ、手は頭よりも前に置いた。


「学園を辞めたのはユウを助けるためです。

アマハラの剣に誓う。

そして、アタシだけの力じゃ足りないことも分かってる。

だから・・・頼む、力を貸してくれ・・・ださい、じいさん。」


サムライもまた、天上天下唯我独尊である自分の孫が誰かに頭を下げるのを初めて見ていた。

子どもの頃から喧嘩っ早く、ただの1度の敗北も知らない女がだ。

己の剣に誓い、弟を助けたいと言う。

そして若くして出て行った実家にわざわざ帰ってきて、手を貸してほしいと。


「・・・9年分の稽古が溜まっていたな。

3週間で完済させるが、良いんだな?」


「ああ、恩に着る。

アタシがそれを完済したら、成長したユウを直に見てやってくれねえか。」


「ハッ、そういうことは終わってから言え、クソガキ。」


サムライの顔がニヤリとくだける。


年甲斐にもなく大喜びしやがって。

サムライなんて呼ばれてても、なんだかんだで孫が大好きなジジイだな。

感謝しろよ、ユウ。

お前のじいさんは、心からお前のことを愛しているみたいだぞ。


そして、アタシのこともな。


「ありがとうな、じいさん。」



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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