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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第10章 疫病編

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百〇ニノ舞「意外と情熱的な人なんですね」


-----サクラ視点


咄嗟に追いかけてしまったものの、5階での失態が脳裏をよぎる。

油断なんて微塵もしていない。

それでも死角からの攻撃に反応が遅れ手痛い一撃をくらい、アリスさんに迷惑をかけてしまった。

自分を本気で排除しようとしてくる相手に、自分の力が通用するのか嫌でも不安になる。

そんな感情に感づいたのか、追いかけていた敵が脚を止めた。

いかにも「よくそんなビビりながらついてこれたな」とでも言いたげな顔をしている。

ええ、怖いですよ。

死ぬことも怖ければ、ここで何もせず仲間に置いて行かれるのも怖い。

また居場所がなくなってしまうのではないかと、いつも怖がってばかりですとも。


それでもユウリ様が、皆が。

居て良い理由をくれたんです。

臆病で、怖がりで、実力も大したことのない、こんな私を。

その人たちと共に歩んでいくには、ここで怯んでなんていられない。


投げナイフを両手に構え、敵と対峙する。

必ずこの人はここで食い止めます。


「ヒヒッ、急に良い顔になったじゃねぇか。」

「顔だけは良いってよく実家で言われましたね。」

「いやそういうこと言ってんじゃねえのよ?」


敵は腰に剣をぶらさげているものの、まだ抜刀していない。

それなのにまったく隙が見えない。

不思議な相手だ。

でもどんな相手だろうと、私は私のできることをやるしかないですよね。


「『分身の術』!」


6人に分身して敵を半円状に囲む。

それを横目に見渡した相手がついに抜刀した。

使い古されたその剣は年季が入っているものの、いくつもの修羅場をくぐってきたであろう自信に満ちている。

1本の芯とでも言うべきでしょうか。

決して銘刀というわけではない、けれどもどんな銘刀とも打ち合える。

そんな強さに溢れていた。

剣を構える前からそうだったけど、剣を構えてもやはり隙がない。

こういう相手にかく乱は有効なのかどうか。

今後の闘いのための参考になるかもしれませんね。


「『桜隠れ』」

「うおっ!?」


相手の意識から分身を含めた私を消す。

見失っているうちに準備を整え、間髪入れずに斬りかかる。


「『桜花乱舞』!!」


桜が舞う中で、さらに桜を増やしながらの多方向同時攻撃。

今までは目に見えるところからの攻撃だったけど、今回は完全に視覚を奪ってからの攻撃だ。

倒しきれずとも、それなりのダメージは入るはず。


「『炎天』」


相手が剣を両手に持ち、スイングをするようにその場で1回転。

すると地面から天井に向けて炎の柱があがり、攻撃を仕掛けていた分身と舞っている桜を燃やし尽くした。

まさか1つのダメージもなく、全てを破られるとは思ってもいなかった。

あの技がある限り飛び道具はおろか、接近することもままならない。


早々にイオさんを頼ったのは失敗でしたね。

ここに居るメンバーだと、遠距離で有効な攻撃ができるイオさんかアリスさん、魔力を無効にできるショウヤさん、そして相手より早く動けるユウリ様。

それくらいしか勝ち目がなさそうな相手です。


でも今はその誰も頼ることができない。

見たところショウヤさんはまだ動けるでしょうけど、今の位置からだと皆さんの闘いが派手過ぎて私の場所まで来れる余裕はないと思う。


「よそ見とはずいぶん余裕だな?」


ドスッ─


「ぐっ・・・!」


私の左肩を剣で貫き、にやりと口元を吊り上げる相手。

悲鳴をあげそうな痛み、そして先ほどの炎属性魔法による熱がまだ剣に残っていて、燃えるような熱さが傷から伝わってくる。

今にでも泣き出しそうな辛さ。

でも、泣いたところで何も変わらない。

いや、変われない。


ガシッ─


動く右手で相手の剣を握る手を思いっきり掴んだ。


「なに・・・!?」

「これで・・・さっきの技は使えませんね?『分身の術』・・・ッ!!」


相手が剣を抜こうと剣を引っ張る。

傷口が抉られる痛みに悲鳴をあげかけた。


それでもアカネさんの辛さを思えば。

アスカに貫かれた時と比べたら。

こんなもの、なんてことない。


「『桜花乱舞』!!」

「ぐああああああああ!!」


ボンッ─


攻撃が当たった瞬間、変わり身の術で距離を取る。

今度こそ完璧に攻撃が当たり、敵はドサリと倒れた。


「まあ、こちらも限界でしたけど、ね・・・」


大量の血が流れる左肩を抑えながら壁に寄りかかる。

皆さんの助けに行きたいのに、ここでリタイアのようです。


あとは頼みます、ユウリ様─



-----シャルロット視点


さっきから何度も攻撃しては距離を取って、というのを繰り返すレイさん。

なんというか、もっと派手に攻撃するものだと思っていた。

アタシの盾魔法を使うのも魔力はタダじゃない。

これを繰り返されるだけだと無駄に消費するだけになってしまう。

というのはレイさんも分かっているはずだ。

一体何を考えているというのか。


先手のアレク以外では初めて出会った、6年前の師匠たちを知る人。

2人の天才を苦しめた剣が、こんなものであるはずがない。

まるで実戦経験を思い出しながら闘うかのような闘い方だ。

ということはそろそろ準備完了するかしらね。


「うん、もう良いかな。ありがとう、えーっと。」

「シャルロット・マリア・ヴァルローレンです。」

「了解。次で決めよう、ヴァルローレン。」

「はい!いつでもいけます。」

「よし、着いてこい!」


言うなりユウの『速度強化』時と同じくらいのスピードで突進していくレイさん。

さすがに移動までそんなスピードは持ち合わせていない。

その姿をきっちりと目で追いながら駆ける。


先に男へと斬りかかるレイさん。

男は先ほどと同じように防御にかかるも、『複製』で防御を崩す。

これは先ほどから何度もやっていて、いい加減見飽きてきたところだ。

残りの『複製』で男が躱す先を潰す。

ドン、と盾の壁にぶつかり驚く男をよそに、さらに速度をあげて突進するレイさん。


「ナイス、ヴァルローレン。『螺旋の剣(スパイラル・エッジ)』」


ショウヤの回転斬りよりも範囲が広く、そして速い。

その姿はまるで黒いコマ。

ショウヤとは違い、高く飛び落ちながら斬りかかる。

『複製』で逃げ場を失っていた男はその回転斬りをもろに受け、きりもみしながら吹き飛んで行った。

着地の瞬間、その速度そのままに女に突進する。


女の目の前にかがんで滑り込み、両手を自身の身体の右側に構えた。

それを見て足元の敵に上段から斬りかかる女。


「『戦乙女(ヒルダ)』」


ビタッ─


振り下ろしていた剣を盾に当たらないように動きを止める。

直後ハッとした表情をするも、もう遅い。


「『平行の剣(パラレル・エッジ)』」


漢字の二を描くような横二文字斬り。

それぞれが直撃し、10メートルは離れていたであろう保管庫の扉まで吹き飛ばして叩きつけた。


「すご・・・なんてパワーしてるのよ?」

「あれが6年前のNO.4(第四位)『漆黒怒涛のヴェント』。今で言うならトニー君のパワーを持ったユウリ君が二刀流してるようなもんだな。」

「改めて彼女を完封する師匠たちが化け物なんだと思い知らされたわ。」

「一応言っておくが、それ本人に向けて言う言葉じゃないからな。」

「ハッ、まあ化け物なんて言われ慣れてるけどな。あとたぶん、お前ももうできるぞ。」


ポン、と剣の鞘でアタシの頭を小突くルーナ師匠。

その隣でニヤリ顔で仁王立ちするミドリ師匠。


2人の顔はどこか嬉しそうで、まるで久しぶりに帰ってきた友に「おかえり」と言っているような優しい目をしていた。



-----アスカ視点


「お前が私に勝てるわけがないだろう。剣を教えたのは誰だと思ってる。」


父様の模倣は完璧で、何度も攻撃を防がれては吹き飛ばされを繰り返している。

どれも致命傷は避けているものの、突かれた箇所は服が破れたり血が流れたり。

特に最初に受けた、右の眉上の傷は本当に危なかった。

血が流れ過ぎて右目を瞑っていないといけないほどだ。

左頬はまあ放っておいても問題はなさそうだが、片目というのは視野が極端に狭くなり距離感もつかみづらい。

そのおかげで何度も反撃をくらう始末。

両手足はまだ動く。

じわじわといたぶるような攻撃だ。

しかしそれも数が多ければダメージとなって蓄積する。

肩で息をしていて、正直立っていられる時間もそう長くは残されていないだろうな。


「これ以上・・・父様を侮辱するな。」

「親に向かってその口の利き方はなんだ。そんな育て方はした覚えはないぞ!」

「貴方に育てられた覚えもない。それに僕は父様のしいたレールの上を歩くだけの人形じゃない!!」


力を振りしぼり、レイピアを構える。

狙うは利き腕の右肩。

レイピアは、相手をいたぶる道具ではない。


「疾きこと雷の如く!!」


縮地法による一点集中の刺突は油断している相手の右肩を穿った。

悲鳴をあげる父様の顔をしていた男はたまらず距離を取ると、レイピアを左に持ち替えた。


「残念だが俺は左利きだ。しかし親を相手にしながらよくここまで闘えるなお前。」

「苦しんでいる仲間のため、と思っていたんだけどな。どうやらそれ以上の感情が沸いているらしい。」

「若い、若すぎる!!その想いを伝えられないまま死にゆけ!!」


「『大海』」


ギィィィン─


男の突進に合わせて目の前に青色の盾が出現し、レイピアの突きを阻んだ。

声を方を振り返ると、学園長そっくりなニヤリ顔で左手をこちらに翳すシャルロット君の姿があった。


「アスカ先輩、たぶんその気持ちの先は前途多難よ。それでもその想いは貫くの?」

「あいにくレイピア使いなものでね。貫くのは得意なんだよ。」

「それなら全力で応援するわ。」


「アァ・・・?お前相手ならこっちの方が良いよなァ?」


『神速の剣姫』に変わり、シャルロット君に向かっていく男。

シャルロット君はそれを見て溜息をつき、剣を下から上に払った。


「アンタごとき師匠と比べるまでもないわ。想いも覚悟もない剣なんて、軽いし遅すぎる。」


レイピアを一刀両断し、『複製』の盾の群れでどんどんこちらに追いやってきた。

まるでアタシの相手じゃないと言わんばかりに。


「で、アスカ先輩はアカネのどこに惚れたの?詳しく聞きたいわね。」


戦闘中だと言うのにまるで無邪気な子どものような笑顔で話すシャルロット君。

こういう強さもあるんだな。

愚直に剣を振るだけでは到達できない場所へ、君もあがったということか。


「いつでも楽しそうに闘う姿。

想いのこもった真っすぐな剣。

感情がすぐに出てしまうところや、仲間想いなところかな。」


きちんと踏ん張れずにどんどん盾に追いやられる男にレイピアを構える。

それを聞いたシャルロット君は満足そうにうなずいた。


「その想い、確かに聞いたわ。アカネを泣かせたら承知しないですよ。」

「泣かせるものか!あの子には笑顔しか似合わないよ。『零距離─剛力突』!!」


後ろからの強力な突きで吹き飛び、盾の群れに叩きつけられる男。

こんな若造に、と最後に残して意識を失った。

ふう、と座り込む僕の目の前にシャルロット君が笑顔で立つ。


「アスカ先輩ってもっとお堅い人かと思ってたわ。意外と情熱的な人なんですね。」


その言葉に思わず目をそらして左頬をかく。


「あっ」

「痛ってえええええええええ!!!!」


レイピアでつけられた傷を思い切り触ってしまい、激痛が走ったのだった。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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