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剣の舞~サムライと呼ばれた祖父に鍛えられ、いざ騎士育成学校に入学したら剣術一位だったのでこのまま世界最強剣士を目指すけど、ラスボスはたぶん実の姉~  作者: あっきー
第10章 疫病編

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九十七ノ舞「最後の仲間を助けに行こうか」


-----シャルロット視点


とはいえ、アタシもショウヤも近接タイプなだけに砂の中に居る相手をするのは骨が折れる。

言っても仕方ないけど、イオがやられたのがでかい。

・・・いや、そこまでノースリンドブルムが考えていると思うべきか。

団体戦最強な学園だけはある。

どの順番で戦力を削ったら有利に動けるかを、各自できちんと答えを出しているのだ。

分かってはいたけど、ここまで手ごわいとはね。


ショウヤの武器から立ち上る強風で、陽炎は使えない。

そしてアタシが展開している『咲き誇る狐百合(レーヴァテイン)』の広範囲攻撃は、味方にも被害を及ぼす可能性がある。

ユウなら上手いこと避けてくれそうだけど。

意外とショウヤとの相性って悪いのね。


でも今はそんなこと言ってられない。

何が何でもクリスタルを護って、この相手を撃破しなきゃならないのだから。


「ところで、さっきユウリを吹き飛ばした技だけど。」


ショウヤがアタシに背を向けたまま話し始めた。

まるで目の前に話し相手が居るかのようなノリで。


()()の美しさには遠く及ばない。

欺けるとでも思ったのか?」


確かにさっきの雪の竜。

新人戦でアンジェと闘った時よりも荒々しいというか。

言われてみれば、きめ細やかな感じがなかった気はする。

あの時はもっと繊細な魔法を使っていた印象だ。


「なーんでバレたんかねえ?」

「だから止めておきましょうと言ったのに。」


今まで姿を隠していた2人が、砂の中から現れた。

這い上がり方がどこぞのホラー映画のようで恐いわね。

1人は新人戦の後で加わった2年生の魔銃使い、リード・ヘップマン。

弾倉や発射口はなく、銃の先端に縦の線が入っているだけのメタリックな銃を持っている。

魔力を込めることでそれを飛ばすということだろう。

マジックアイテムにも色々あるのね。


そしてもう1人。

新人戦ではイオと闘うはずだった相手、ケイオス・デカルガ。

見た感じあまり強そうに見えないのよね。

それでもさっきのアンジェに扮した魔法は、間違いなくコイツのせいだ。

見た技をコピーするのか、相手に変身するのかまでは分からないけど。


「まあいいや、目的の王女様は撃破できたことだしな。

あとはゆっくりクリスタルを破壊するうおっ!?」


リードが喋り終わる前に、ショウヤがものすごい速さで斬りかかった。

それを反射神経だけで躱すなんて、相手もなかなかの手練れだ。


「それ以上口を開くな。ただでさえ理性を保つのに精一杯なんだ。」

「ハッ、妹がやられたくらいで何キレてやがる!」


突っ込むショウヤに対して、魔法銃が向けられる。

思わず盾を展開しようとしたところで、ショウヤの左手に制された。

言葉にされなくても、手だし無用と言われたことは分かった。

それならアタシのできることは、ケイオスの邪魔が入らないようにするだけだ。


リードの魔銃が弾丸を発射する瞬間を、ショウヤは見逃さない。

銃の中に蓄積されるように魔力の流れを止めた。

行き場を失くした魔力がぶつかり、とても硬そうな素材で出来ている銃の形がボンッと音と共に膨れ上がる。

リードの驚く表情、声と共に爆発を起こした。


爆発の衝撃で利き手をやられ耐え切れず後ずさるリードに対し、突進するショウヤ。

そこにケイオスが割り込もうとする動きを見せた。

ここで割り込ませてしまったら、アタシの存在意義はない。

今度こそ、大切な仲間を護る!!


「『青銅櫓(アイアース)』!!」

「『流れゆく双剣フルーソ・ピストレーゼ!!』

「『剣の舞 陸式・改 閃光─雷鷹(ライオウ)』!!」


ショウヤとリードを包むように大きな櫓を展開。

それに驚き脚を止めたケイオスに、ユウの突撃が直撃。

櫓の中ではショウヤの斬撃が決まったみたいだ。


「リード・ヘップマン、ケイオス・デカルガ、戦闘不能!」


『青銅櫓』を解除すると、肩で息をしているショウヤが膝に手をついていた。

ユウの顔を見るなりバツの悪そうな顔をしてそっぽを向いてしまった。

まるで見られたくないと言っているようで、少し可愛い一面が見れたな。


「いやあわりい、咄嗟にガードしたんだが思ってたより飛ばされてたわ。」

「無事で何よりよ。この後はどうする?」

「僕はちょっと動けなそうだ。2人で攻撃頼めるかい?」


その言葉に思わず嬉しくなってしまった。

ようやく・・・ようやくだ。


ユウと肩を並べて闘える日が来たのだ。

もちろん実力では劣っているのは分かっている。

それでも、どれだけこの日、この時を待ちわびたか。


ユウがニヤリとした顔で手のひらを向けてきた。

それに思いっきりタッチを交わしたアタシも、絶対ににやけているだろう。


「授業以来の久しぶりのタッグだな。」

()()()()、ユウ。全開で行くわよ!」


その言葉に不思議そうな顔をしたユウだけど、アタシからしたらこの言葉が最適なのだ。

あれ以降、ここまで待たせてしまった。

実力はまだ全然追いつけていないけど、立場だけは並ぶことがようやくできた。

言葉の通り全力の全開で行くわ。



-----通常視点


シャルロットと共に歩みを進めることしばらく。

かなりの暑さに加えて足場の悪さもあり、かなりの体力を消耗してきた。

この試合のあとには殴り込みが待っているというのに。


汗をぬぐいながらさらに歩くこと数分。

ようやく敵陣のクリスタルの前に到着した。

そこで待ち構えるは『氷の女王』を含めた3人。

少しだけ入れ違いを危惧していたが、大丈夫そうだ。


「残念、ショーヤじゃないのね。」

「悪かったな、俺で。」

「いえ、私じゃなくてフィンクスがね。」

「うるせえよイザベラ。」


あいつは確か自分の傷を相手に与える『写し鏡』のユニークスキル持ちだったな。

夏休みにショウヤにやられたというのは聞いている。

そのリベンジに燃えていたといったところだろう。

今回はその機会は訪れなそうだが。


先ほど自陣のクリスタル前での戦闘の時から『速度強化』を使用し続けているものの、普段の速度と比べたら5割減といったところだな。

それほどまでに砂に脚をとられる。

この状態でどこまで闘えることやら。


「ユウさ、また1人で闘おうとしてない?」

「まさか。それはもうめちゃくちゃ信頼してるぞ。」

「そ、そう。それならいいのよ。」


自分で言っておいてめちゃくちゃ顔を真っ赤にしてるし。

若干大袈裟に言ったとはいえ、シャルロットの協力なしでは勝ちはないな。

タッグを組むのはまだ2回目だが、普段から互いの動きは見ているはずだ。

手合わせもそれなりにしているしな。

それだけに互いの動きを読み、それぞれがカバーをしていくのが闘い方になるだろう。

どこまで阿吽の呼吸で居られるか。

それが勝敗に直結しそうだ。


まず最初に落としておきたいのは、ザッケンローだ。

アイツの能力は厄介すぎる。

サシの平面勝負なら体術でなんとかなるんだけどな。

人数で不利な現状でそれは却下。

剣を持っていないときに魔法を打たれたら、さすがの俺も無傷じゃ済まねえ。

いかにして『氷の女王』の攻撃をかわしつつザッケンローを倒せるか。

この足場じゃ、さすがに俺1人じゃ無理だ。

シャルロットに目配せで合図すると、小さく頷いた。

アカネほどではないが、ある程度考えていることが通じるようになっているようだ。

嬉しい誤算だ。


シャルロットを信じ、ザッケンローに向かい走り出す。

やはりスピードに乗りづらいだけあり、初撃を簡単に剣で受けられてしまった。

『剣の舞』は踏み込みが大事な技なだけあり、このフィールドに向いてない。

まさか砂漠で剣を振るとは思ってなかったからな。

そしてなにより試合開始から動いていない者と、砂漠を動き回った者の体力差も凄い。

俺もシャルロットも肩で息をしているのに、相手は汗をかいてるだけだ。

受けようと思えば氷属性魔法で涼めただろうしな。


「ユウ、攻守代わるわ!」


炎をまとった剣を大上段から振り下ろす。

飛んでくる炎の竜を咄嗟に避けたものの、砂漠に炎って暑いわ。殺す気か。

何考えて・・・いや、相手にとっても同じなのか。

ザッケンローも同じ理由か、はたまた魔法は防げないのか、俺と同じように回避していた。

そのままザッケンローに向かって駆けるシャルロット。

身体の右側に両手で持った燃える剣。

それが地面の砂を斬り、燃やしながら進んでゆく。

ただでさえ暑い砂漠に加え、燃えはじめる地面。

まるで灼熱地獄だ。


そんな感想を抱いた瞬間、ザッケンローが少し屈んだ。

これからジャンプをするかのように。


「シャルル!!」

「『絶対零度(アブソルート)』」


ザッケンローを見ていなかったら危なかった。

奴がジャンプした瞬間に、咄嗟に俺も合わせて飛ばなかったら氷漬けにされていただろう。

イオの『大寒波(ディープ・フリーズ)』と同格の氷属性魔法が、辺り一面の砂漠を凍らせた。

俺とシャルロットを含めた全員がジャンプしていたおかげで助かった。

だが先ほどまでとの温度差が凄い。

こんなん風邪ひくわ。


「今よ!ユウ!」

「『剣の舞 壱式 居合─柳閃』」


分厚い()の地面を駆け抜けた。


イオと闘った時も、今も。

相変わらず氷属性範囲魔法を使わせるのが上手い奴だ。


「ブリドー・メーデー、戦闘不能!」


ザッケンローを狙っても良かったが、先ほどの一手目で剣を合わせてしまったのが失敗だった。

自分の剣を過信しすぎたな。

猛省は後でするとして、とりあえずこの場で2対2に持ち込めた。


シャルロットが空気を読んで剣を鞘にしまっている。

フィールドの氷を解かさず、俺を動かすためにだろう。


「こんなに空気読める奴だったっけ。」

「声に出てるわよ・・・?」


ちょっと涙目になって落ち込むシャルロット。

相手はそんなことお構いなしに容赦なく斬りかかる。


「『雪月花の魔女ソルシエール・ド・グラス』」

「咲き誇れ!!『大輪の狐百合(グロリオーサシールド)』!!」


ガチィンと音を立てる赤い花の盾。

イオとの闘いでは破られたものの、今回はヒビ1つなく相手の攻撃を防いでいる。

発動時間もかなり早くなってるな。

こりゃうかうかしてられん。


シャルロットが攻撃を受け止めた瞬間に走り出す。

しかしやはりと言うべきか。

シャルロットの盾の熱で地面の氷が溶け始め、もはや泥のようになっている。

さっきよりも走りづらい。


「行け、ユウ!!『炎舞─飛翔竜剣(ドラゴンライズ)』!!」


狙うはイザベラだった。

俺が若干脚を地面にとられた瞬間、イザベラと俺の直線軌道上に最大火力の炎の竜が飛ぶ。

え、全然避けれないから、文字通りフレンドリーファイアになるんですけど。


待て・・・シャルロットは何て言った?

行け、ってことはそういうことか!!

まったく決めてもいなかった行動ではあるが。

咄嗟の機転にしては上出来だろう。


自分に炎竜がぶつかる直前に、可能な限り踏み込みながら前に跳躍した。

正直自分でもこのあとどうなるか分からん。

ぶっつけ本番もいいところだ。


灼熱の炎の竜を、背中で()()()

前に飛んでいた力と炎竜が飛ぶ力が合わさり、いつもの『加速』以上の速度でイザベラに向かう。

この勢いを利用して、叩き斬る!!


「『剣の舞 陸式・真 神速─雷炎』!!」


おそらく俺も背中の感覚がなくなるくらいには大やけどを負っているはずだ。

着地のことも考えていなかっただけあり、おそらく相打ちがいいところだろう。

あとはうまく2対1の状況を利用して勝利してくれ。

これでイザベラは戦闘不能にもっていくから。


ズバンッ─




完璧に決まった。




間に割って入った、()()()()()()()





(かい)。」


ズバンッ─



-----シャルロット視点


「ユウリ・アマハラ、戦闘不能!!」


「ウソ、でしょ・・・ユウ!!()っつ・・・!!」


体力が限界に近づいていたアタシは、思わず膝をついていた。

そこに死角に回ってきたアンジェからの突きが刺さる。


「戦闘中によそ見をするような子に一度でも負けたなんて、辛いのだけど。

今回はもう眠っておきなさい。『飛竜─雪華』。」


まともに動けないアタシは。


さっき見た同じ技よりもきめ細やかな。


そして美しく散ってゆく雪の竜に飲み込まれた。



「シャルロット・マリア・ヴァルローレン、戦闘不能!!」



-----通常視点


「クリスタル破壊により勝者、ノースリンドブルムAチーム!!」


最後は残った2人で攻め、体力の落ちているショウヤに対してザッケンローが斬りかかり足止め。

その隙に遠距離からイザベラがクリスタルを狙撃して終了だった。


耳を穿つほどの大歓声。

新人戦のリベンジ達成に盛り上がる場内だが、俺たちの表情は暗かった。


アカネが居なくても、心のどこかで勝てると思っていたのかもしれない。

1度勝っているからと油断があったのかもしれない。

もしくはその両方か。

負けた理由を言語化できないってのはやばいな。

かもしれない、ではダメだ。

何も得られない。


ノースリンドブルムはこれでもか、と言うほどに対策をしてきたのだろう。

アカネが居なかったのは仕方ないとはいえ、最優先でイオを倒したこと。

そして速度を武器とする、俺への一撃必殺のカウンター。

盾を得意とするシャルロットへの死角からの攻撃。

厄介なショウヤは数が有利な状況で叩く。


全てノースリンドブルムの作戦勝ちだ。

ぐうの音も出ないほどの完敗。


ジジイと姉さん以外じゃ、初めての経験だ。

あのまま家に居て修行してるだけじゃ、味わえない体験だろう。


「やっぱり、学園に入って正解だった。」

「悔しさには慣れてる自信があったけど、まだ上があったわ。」

「団体戦の闘い方、勉強になりましたね。」

「悔しいが惨敗だ。だけど、悔しんでいられないね。」


4人がそれぞれ違う感想。

それでも、この仲間だからこそベスト4まで来れたのは事実。



あとはショウヤの言う通り。

悔しんでばかりもいられない。


最後の仲間を助けに行こうか。



拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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