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星光記 ~スターライトメモリー~  作者: 松浦図書助
前編
75/144

第15章 北海道降下作戦 05節

 凍てつく雪の殻を破り、土の血潮をくぐり抜け、魂の無い厳格なメカニズムの塊

 人を魂へと還すだけの、それだけを望まれ造られた殺戮者。



 「な、なに……あれ…………?」

 山岳に雪崩を巻き起こしながら、黒い巨人がその姿を現す。

 「カリスト大尉、黒岩山に装備不明の推定40mの人型をしたサイクロプスです。あっ……」

 「ぇっ?なに?クオン曹長?」

 先ほどから、普段冷静なクオン曹長にしては驚いているような声がポツポツ聞こえるため、それがカリスト大尉の不安を煽る。

 「……3機です。巨大サイクロプスが3機になりました。」

 巨大サイクロプスはあまり実践投入されていないが、先の会戦では亡きハーディサイト中将が1機投入し、幕府軍は苦戦に陥った経緯がある。それが3機である。

 「……敵巨大サイクロプスをギガンティスと名づけます。敵を攻撃……」

 そう冷静に通達を出そうとするカリスト大尉だが、その声音はわずかに低い。動揺をしながらもそれを隠そうという所作であろう。指揮官であるため、兵にはそれなりの態度を見せなければならない。

 「カリスト大尉、こちらの通常兵装では、敵の装甲を穿てません!」

 アマテラスは現在熱核レーザー砲は有しておらず、一般機と同型のライフルを装備している。その攻撃が通らないという事は、一般機では如何ともし難い、という事に他ならない。

 「カリスト大尉……」

 「クオン曹長、なに?」

 現在前線に出撃しているが、それでもクオン曹長は戦術参謀を務めるだけの知才がある。その現地検分報告は重要である。

 「ここは、精鋭で足留めすればいいのではないでしょうか?攻撃があまり効きませんし、下手に攻撃すれば消耗するだけです。少なくとも後続の援軍がくれば……。それに、制圧が優先します。」

 後続には、ヒビキ中尉他の女神隊が残存しているし、ヘルメス少佐の『フレイヤ』や、クラウン中佐の『オルフェウス』といったアマテラスに並ぶ高性能機があることに加え、地方を攻略中のバーン少佐の『ケルベロス』や、イシガヤ少佐の『ペルセウス』も援軍として現れる可能性が高い。また、降下中の本隊所属の量産機にしても、徹甲弾系の装備にすればおそらくギガンティスへのダメージを与えることもできるだろう。

 「アレを放置するのは危険です。クオン曹長、女神隊を率いて敵の牽制を行ってください。」

 そうなれば、危険な戦場になるが、クオン曹長の意見に合わせて女神隊を投入したほうが効率は良いはずだ。

 「……了解。アマテラスと女神隊機で敵の牽制に向かいます。カリスト大尉の部隊は旭川の制圧を進めてください。」

 「えぇ。そちらは任せますね。」



 降る雨は 野原の雪を 舞い上げて 散りて溶け消ゆ 姿なるらむ



 「カリスト大尉、ギガンティスに味方の軍勢が削られています……」

 「わかっています。」

 女神隊が牽制しているとはいっても、3機もの巨大サイクロプスをそうそう止められるわけがない。ギガンティスから無造作の如く放たれるビームの雨は、その都度降下艦隊に降り注ぎ、またサイクロプス隊へ突き刺さる。その冷たくも熱い雨は、友軍の魂を雪の如くどれほど散らし溶かしていくというのか。

 「カリスト大尉、艦隊旗艦双葉もこの位置では危険です!」

 「後退は……できません。」

 しかし、ここで怯んでいては速戦で敵を撃破することは出来ない。

 「双葉をシーキウシュナイ山山麓へ、可能な限り高度を下げなさい。護衛艦隊はシーキウシュナイ山前面へ展開せよ。ビーム撹乱幕は全力で展開。」

 高度を下げればそれだけ狙撃される確率は下がる。また、山岳などの遮蔽物が多少なりは機能し、艦艇の生存率は下がるのだ。だが、それでも護衛艦隊は前面に展開せざるを得ない。艦艇の火力というのは重要なのである。

 「カリスト大尉!!」

 索敵手がそう叫ぶのは深刻な被害が見込まれるからだ。

 「護衛艦隊の任務です。やらせなさい!」

 ギガンティスの正面に護衛艦を出すなど、死ねといっているようなものだ。だがしかし、死ねという命令を出すこともまた、指揮官の役割である。他人を死に追いやる覚悟をしなければらないし、自分も殺される覚悟をしなければならない。しかしそこから逃げ出すわけには行かないのである。

 「護衛艦観島、早蕨、雨宮、轟沈!」

 「……全艦高度を下げて!地表ぎりぎりに散開!曲射砲を装備している艦は森林や山を盾にする位置に移動。空母は清水山及び高砂山後方に退避。サイクロプス隊は直ちに近文台を制圧しなさい。」

 カリスト大尉は味方艦轟沈の報告を受けても、なお攻撃指示を続ける。ともかくも本隊降下中に近文台を制圧しなければならない。そして、近文台周辺は必ずしも堅牢な基地ではない。平地に置かれた陸軍基地倉庫地帯で対空迎撃兵器はかなりの数を置いてはいるが、本格的対地防衛用の兵器は、旭川全体に睨みが利く、旭川東部の黒岩山と旭川西部の常磐山に集中している。もっとも、常盤山の兵器は北東側に伊納山がある関係で、シーキウシュナイ山や高砂山周辺に攻撃できる兵器は少ないため、より注意するべきは黒岩山である。


 「乃木大将というわけじゃないけど……」

 カリスト大尉が呟くが、その黒岩山から近文台は遮る物がほとんどなく、狙い放題な立地で味方の受ける損害は計り知れないだろう。しかしどれだけの屍を積み上げても、作戦は成功させる必要があるのだ。

 「近文台を制圧すれば、クラウン中佐の本陣が直接黒岩山へ降下できます。全部隊、奮起して突撃し制圧せよ!」




 要塞砲が吼え、

 陣地に駆け上がる兵達が吹き飛ぶ。

 蟻のように地べた這いずり、

 蟻のように敵に群がり、

 もはや醜悪な光景。

 腕や脚は飛び散り、

 血や脳漿が飛び散り。

 それでもなお、ひたすらに、

 死出の前進続ける兵士。





 「カリスト大尉、近文台制圧!」

 報告が上がる。

 「よしっ!オペレーター、現在までの味方の総被害は?」

 「戦闘不能は30%弱です。」

 深刻な損害である。基本的にカリストの率いる軍勢は戦闘部隊のみであるから、3割の損害を受けても戦闘自体には支障をきたすことはないのだが、損害が深刻であることに変わりはない。

 「部隊の編成は?」

 「戦闘機隊は、イナホ大尉が逐次小隊再編成を行っており、損傷率は高いものの指揮系は健在で前線での戦闘が可能です。サイクロプス隊については再編が間に合わず指揮が乱れています。」

 消耗戦である。部隊の損傷が激しい中で、クノ大尉やウンノ大尉の再編指揮ではとても間に合わない。彼らも決して無能というわけではないが、この状況を建て直すには別の指揮官を充てるしかないのだ。

 「クノ大尉とウンノ大尉は後退させなさい。また、小隊のうち2機以上失った部隊も後退せよ。オペレーター、そうすると残りの部隊は?」

 カリスト大尉は一部に後退指示を出す。

 「およそ50小隊ほどです。」

 「では10小隊の5戦隊に分けます。参謀、該当部隊の上級中尉上の名簿をください。」

 「はい!」

 戦術参謀の一人から手元にスクリーンに名簿が転送される。実戦経験のある上級中尉以上は数が少ない上に、適性等の情報によってソートできるので、比較的選択はしやすい。

 「では、アシナ大尉、ナガノ大尉、タチバナ中尉、ヨウ中尉、バルツァー中尉、以上の士官を戦隊長とし部隊を割り当てなさい。」

 「了解しました。」

 彼女が選択した指揮官は、実戦経験が少しでもある中で、特に率先垂範の豪胆な指揮官である。この酷い損傷率のまま戦闘を継続するには、自ら先頭で旗を振る指揮官でなければ、下は付いてこないし、付いていけない。この編成であれば、難しいことは考えずに戦隊長について敵陣に駆け上っていけばいいだけである。

 「各戦隊長は部隊の再編が終わり次第、黒岩山への突入準備にかかりなさい。また、後退した部隊は撃沈した艦艇の装甲板をはがし、前線に逐次輸送して近文台陣地に輸送しなさい。前線部隊はこれを盾代わりに進軍せよ。」

 かなり強引な作戦命令である。艦艇の装甲であれば確かに頑丈ではあるのだが、どちらかと言えば恐怖を軽減させる効果のほうが重要である。ともかく後続到着までに進路を確保しなければならない。黒岩山のクオン曹長率いる女神隊もいつまでもつか……、それも問題である。

 「カリスト大尉、こちらクオンです。」

 「なに、クオン曹長?」

 「女神隊の損傷もかなり増えてきました。このままでは埒が明きません。カリスト大尉、アトミックレーザー砲の使用許可を。それで片がつきます。」

 アマテラス専用の熱核レーザー砲である。現在アマテラスに装備はしていないが、双葉艦内には念のため準備自体はされている。核兵器としては核反応を利用しているとはいえ熱放射のみの使用であるため、放射能汚染の恐れはほぼないが、それでもカートリッジに封入された核燃料を排出するため、戦場では使用しないように通達されている。

 「却下します!放射能汚染が無くても、核兵器の使用は許可できません!」

 「しかし、以前、釧路沖では使いました。」

 確かに釧路沖海戦ではシルバー大佐が敵艦隊に砲撃し、大ダメージを与えている。すでに前例があるのだから、そこまで気にしなくてもいいではないか、というのが、効率重視のクオン曹長の意見だ。

 「今は今です!」

 だが、それはカリスト大尉が一蹴する。万が一にも北海道の大地を核で汚染しては国に申し訳が立たないからである。シルバー大佐の場合には本人が元首であるため、責任の取りようがあるからだ。

 「了解……」

 クオン曹長がしぶしぶながら納得する。効率や被害の軽減を重視しているだけで、彼女とて核使用の問題を理解していないわけではない。

 「クオン曹長、ともかく保たせなさい!別の対処法を検討します。」

 とはいえ、出来ることと言ったら、せいぜい艦をギガンティスにぶつけるとかそういったレベルだ。

 「参謀、艦を特攻させてギガンティスにぶつける場合の、大まかな成功確率は?」

 無謀そうな思案であるが、それでも一応は参謀達に計算させる。

 「推定ですが……、成功確率は30%未満です。」

 「くっ……」

 30%では、5回試しても83%の成功確率か……。やれなくはないが、それなら援軍を待ったほうがまだマシだ。3機のギガンティスを潰そうと思えば、艦艇15隻では足りないだろう。

 「では、空母のカタパルトで重量物を撃ち出す場合は?」

 物理ダメージとして、衝撃を与えるならばそれなりに効果はあるはずだ。だが、現実的にそれができるかどうかは別である。

 「計算します……」

 無理難題でも計算を始めるあたり、幕府軍の参謀達は鍛えられている。基本的に非常識な作戦が多いからではあるのだが……

 「カリスト大尉!!」

 「なに!?どうしたの索敵手!」

 慌てて叫ぶ索敵手の声に、カリスト大尉が驚く。内容がどうのこうのという話ではない。

 「高速で飛来する物体あり!」

 「えぇっ!?」

 慌てて正面モニターを確認した直後……飛来した銀色の物体が、ギガンティスの頭にぶち当たって落ちる。

 「ペ、ペルセウス……でした…………」

 呆然としながら上げられる報告は過去形である……。

 「えぇ……!?イシガヤ少佐!大丈夫!?」

 ペルセウスはイシガヤ少佐専用機であり、よほどのことが無ければ別の人物が載ることはない。苫小牧宇宙港をペルセウスに乗って攻めていたのはイシガヤ少佐本人なのだから、彼で間違いないであろう。彼女は内心『バカだ……』と思ったわけだが、声を出さなかったのでセーフである。

 「すげぇ痛い……。つうか、デカい。なにこれ……?」

 「イシガヤ少佐、怪我は!?」

 「痛いけどたぶん大丈夫。たぶんな!」

 「アホだ……」

 今度はセーフではない。だが、王族をいくらか愚弄しても、親密なカリスト大尉であればある意味セーフである。

 「心配して損しました!さっさとその敵を撃破してください。『ギガンティス』と呼称していますが、約40m人型の巨大サイクロプスです。火力のある各種ビーム砲を装備し、対ビーム性をもった分厚い装甲があります!」

 彼女は興奮気味にそう指示を加えるが、それも当然である。友軍に多数の被害を出しながらどうにか渡り合っていた状況で、ギガンティスへ致命傷を与え得る援軍機の到着である。ペルセウスの大ランスの貫通力は流石のものがあって、先の衝突では、量産機のライフルで貫通できないギガンティスの装甲を突き刺している。

 「いや、カリスト、簡単に撃破しろとか言われてもさぁ……」

 流石のイシガヤも困惑しながらカリスト大尉に応答する。彼も一応エースパイロットとしての操縦技量はあるのだが、単機でギガンティスを倒せるほどの技量はない。先にハーディサイト中将のメデュサを倒しているとは言っても、あれは偶然と奇跡の産物である。

 「それでも男ですか、軟弱者!!」

 「えぇ……!?」

 とはいえ、実質的にペルセウス一機が来たところで、戦況が大きく変わるわけでもない。流石に興奮も収まり、彼女が通常の指揮に戻る。

 「イシガヤ少佐、少佐の苫小牧方面に展開していた部隊は?」

 「20分もすれば1個師団が来る。残存95%で損害軽微。オニワ大尉に指揮は任せた。苫小牧宇宙港はぶっこわしちまったけどな!」

 壊すなよ……とは内心思うが、それでもいち早く駆けつけてくれたのだ。再建担当は彼女ではないので、今現時点ではむしろそれでも来てくれたことを喜ぶべきだろう。

 「それで、俺の『ペルセウス』とクスノキの『ロムルス』はブースター追加で飛んできた。クスノキもじきに到着する。」

 「『ロムルス』でクスノキ中尉も!?」

 『ロムルス』はオニワ大尉専用機ではあるのだが、クスノキ中尉が乗る場合もある。設計はオニワ大尉用になってはいるのだが、製造や管理はイシガヤ家が行っているため、オニワ家に所有権があるわけではないからだ。この機体は兄弟機である『レムス』と同様に『ペルセウス』設計時に試作された高性能機である。ペルセウスは最終的にロムルスの設計を主に採用したため共通点が多く、主武装は円盾にランスとサーベルであり、防御力と突破力に優れた近接戦闘仕様である。機体外観はローマ王の名を冠するだけあってローマ兵の様相であり、性能的にはやや落ちるが、まさにペルセウスの兄弟機と言ったところだ。この援軍報告にカリスト大尉の頬が緩む。

 「こちらクオン曹長。カリスト大尉、にやけ顔がみっともないです。顔くらい引き締めてください。」

 「うっ……ごめん。」

 ロムルスという高性能機の援軍も嬉しいのだが、それ以上に彼女の頬を緩ませたのはクスノキ中尉が来るからである。鈍いクオン曹長とてそんなことは分かっているわけで、そう警告するのだ。ここは戦場である。

 「カリスト大尉!!」

 「索敵手、今度はなに!?」

 先ほどよりは落ち着いたようにも聞こえるが、やはり索敵手が大きな声でカリストを呼ぶ。どちらかと言えば興奮した声だ。

 「フルーレ少佐の陸軍第1師団が到着しました!」

 驚いた、というよりは、英雄の登場に興奮した、という所か。

 「地獄の番犬バーン・フルーレ少佐、参上だぜ!陸軍第1師団到着!後続もニッコロ中尉が指揮してどんどん来るぞ!」

 加えての僥倖である。バーン少佐の搭乗する『ケルベロス』は、イボルブ専用の念波操作のオールレンジレーザー砲を有している。弾数は多くないがこのレーザーは強力であり、ビーム砲では穿てない装甲や、特に精密な操作ができるのであれば弱点となりうる関節部などへの直接攻撃を行うことができる代物である。。バーン少佐にしても幕府軍で指折りのパイロットとしても知られており、ギガンティス対策としては得難い戦力であった。

 「バーン少佐、待ってました!」

 「いやぁ、美人のカリストちゃんに、『待ってた』なんて言われるとは!どうだ、側室に空きがあるけどよ?」

 「丁重に全力で断固として徹底的にお断りします。それより巨大サイクロプスの撃破を!」

 「つれないなぁ。」

 そうは言うが、完全に冗談なのはお互いに判りきっている発言だ。2人をあまり知らない兵達には英雄の、しかも王族の誘いを断る事に驚く者もいるのだが、イケメンの王族が断られる事に留飲を下げる兵も一定数はいる。まぁ、くだらない冗談で兵達をリラックスさせよう、というのがバーン少佐の本来の意図である。

 「クスノキ中尉、ロムルス到着しました。直ちに戦闘に移ります。部隊到着までカリスト大尉の指揮下に入りますので、御指示を。」

 続いてクスノキ中尉が戦線に到着する。ペルセウス同様に加速ユニット搭載での到着だが、流石にギガンティスにぶつかったりはしない。

 「ありがとうございます、クスノキ中尉!!」

 後続の部隊は確かに重要ではあるが、この場においては彼の存在、もとい、ロムルスの性能が重要である。

挿絵(By みてみん)

 「みんなーっ!ひっどいよ、わたしもいれてーーーーっ!!!」

 叫びながら降下してくるのは、ヒビキ中尉と本隊に降下した女神隊である。彼女の乗るコスモ・ガディスⅡやその配下の女神隊の追加も心強い。

 「カリン少尉以下、女神隊つれてきたよん!」

 「ヒビキ中尉、お疲れ様です。助かります。」

 僥倖である。 一気に決定打になる突破口を開ける戦力が到着したのだ。

 「私の影が……」

 クオン曹長がそう呟く。癖の強いエース達の登場で彼女の影が一気に薄くなる。

 「クスノキだ。バーン少佐、タカノブ、敵のギガンティスに対して接近せよ。敵機は近接戦闘での運動性が鈍い。また、遠距離からの攻撃では、一番脆い関節部を狙いにくかろう。ヒビキ中尉、クオン曹長達の部隊を指揮下組み入れて、我々の援護をしてもらいたい。」

 戦況に合わせてクスノキ中尉がてきぱきと指揮を始める。彼の階級は上級中尉だが、この程度の規模の指揮であればイシガヤ少佐やバーン少佐と比べても特に遜色はなく、むしろ得意である。イシガヤ家の末席に連なっていたクスノキ中尉は、彼等の兄弟子として亡きオニワ長老などからも特別に薫陶を受けており、年長者であるため戦場ではフォロー役として出陣したことも多い。こういった場合には、階級はともかくクスノキ中尉が指揮を執るほうが安定的なのだ。

 「対ギガンティス部隊の指揮はクスノキ中尉に任せます。メンバーは、イシガヤ少佐、バーン少佐、ヒビキ中尉以下女神隊、クオン曹長。バーン大尉の手持ちの部隊は私が一旦預かりますが、ニッコロ中尉が到着次第彼に任せます。ギガンティスの殲滅に注力してください。」

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