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パニック作品

創造主


「会長、これにサインをお願い致します」


「うん、どれどれ。


これは南米の森林伐採の申込書か?」


「はい、そうです」


「私のサインが必要な程の森林が残っていたのかね?」


「そのようです」


「分かった」


書類にサインして部下に渡す。


私は世界No.1 企業、AKMカンパニーの会長をしている。


No.1企業と言っても今この世界で活動している企業は、我が社の子会社や孫会社など我が社に連なる会社しか存在しないがね。


これが意味する事は、地球上に存在するあらゆる物が我が社で生産された物だということだ。


例えば、人類以外の動植物。


昔は人間を襲い餌にする肉食動物が存在したが今はいない。


絶滅させた訳では無く、DNAを操作してその大きさを食玩くらいの大きさにしたのだ。


これらは大抵の一般家庭にあるミニチュア動物園を見て貰えば分かるだろう。


また山々を覆っていた杉や檜を始め沢山の木々、今はそんな木々は存在しない。


それらの木々が無くなったお陰で、木々に覆われていた土地を有効利用できるようになった。


これらの木々も盆栽くらいの大きさにDNAを操作され山々に生い茂っていた頃以上に光合成を行い、春から夏にかけて人々を苦しめていた花粉を全く放出しない。


まだある、豚や牛などの畜産動物、DNA操作と品種改良を行った結果、摂取した飼料を100パーセント身体に吸収して糞を排出せず過密飼育でも全て上質な肉や乳に変える。


これらのように今地球上に生息する生物の大半は人類を除き、我がAKMカンパニーで造り出された物だということだ。


このような事を行ってきた我が社だが、自然保護団体や宗教界などを含んで誰からも非難された事は無い。


と言う事は、我が社が行っているDNA操作は地球上に住む全ての人々に支持されていると言えるのだ。


背筋を伸ばそうと椅子から立ち上がり、本社ビルの800階にある執務室の窓から遥か彼方に微かに見えるニューヨークを眺めた。


「うん? 火事か?」


微かに見えるニューヨークの街の中から黒い煙が立ち上がっている。


そのときノックもされずに執務室のドアが突然開かれ、顔面を蒼白にした秘書課長が執務室に飛び込んで来た。


「会長! テレビを見てください!」


私にそう怒鳴りながら彼はテレビを点ける。


映し出されたのは、天使だった。


慈愛の微笑みを浮かべた数百数千の天使がニューヨークの街の中を飛び回り、手に持つ刀剣や弓や槍を使って逃げ惑う老若男女を無差別に惨殺している。


警官や銃を所持していた市民が天使を銃撃。


しかし弾が当たった天使はその場から掻き消えるが、消えた場所から数十体の天使が新たに現れ銃撃した警官や市民に殺到した。


秘書課長はテレビのチャンネルを次々と変える。


変えられたチャンネルの画面に映るのは、ニューヨークと同じように慈愛の微笑みを浮かべる天使に襲撃されている世界中の街だった。


ロンドン、パリ、モスクワ、カイロ、エルサレム、テヘラン、デリー、上海、北京、東京、ロサンゼルス、ワシントン、全世界の全ての都市が天使に襲われ人々が惨殺されていく。


「会長! ここも何時襲撃されるか分かりません。


直ぐに地下の核シェルターに非難してくださ…………」


秘書課長の言葉が終わる前にドアから私の個人ボディーガード達が雪崩込んで来て、私を執務室から引きずりだし専用エレベーターに押し込む。


エレベーターの扉が閉まる寸前私の目が捉えたのは、何もない空間から突然現れた、慈愛の微笑みを浮かべる天使が秘書課長の首を切り落とすところだった。


エレベーターは超高速で本社ビルの地下500メートルにある核シェルターに到着。


先に来て待機していた警備員である世界トップクラスの傭兵達や個人ボディーガードの幾人かと共に、シェルター内の執務室に入り一方の壁全体を覆うモニターを見る。


数秒毎に切り替わる画面には、飛び回り次なる獲物を探す慈愛の微笑みを浮かべた天使と惨殺された人々の姿が映っていた。


執務室の外から怒号が響き渡る。


「来たぞー! 会長をガードしろ」


怒号と共に銃声が鳴り響く。


執務室の何もない空間から慈愛の微笑みを浮かべた天使が現れ、個人ボディーガードや警備員達と戦闘が始まる。


彼らと天使の戦闘を執務室の片隅で眺めていた私の胸を天使が投げた槍が貫いた。


戦闘が終わり暫く経ったとき慈愛の微笑みを浮かべる天使達より上位の大天使が現れ、動くものが見当たらない核シェルター内を見渡して満足そうに頷く。


そして天上の主に報告した。


「思い上がり主が創造した物を排除し、自分達が造り出したもので世界を満たそうとした者達の排除が終わりました。


続いてこの汚染された大地を浄化します」




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