「僻地からの手紙」
この島に来たのは5年前。
右も左も分からないから、小さな舟で魚を捕った。
魚はたくさん捕れたから、砂浜に腰掛けてるお爺さんにおすそ分け。
魚ばかり食べていたからなんだか野菜が食べたくなって、小さな土地を耕してそこに種を植えてみた。
しばらく経つと野菜や果実が生えてきて、散歩のお婆さんにおすそ分け。
今度は玉子が食べたくなって、ニワトリを分けてもらおうと出掛けたら、ニワトリ小屋のお婆さんが玉子を両手におすそ分けくれた。
やっぱり牛乳も飲みたいな、牛を飼おうかと考えてたら、お爺さんが牛乳担いでやって来た、おすそ分けだありがとう。
あれから5年も経ったんだ。
それでも変わらず、今日もみんなでおすそ分け。
いつだって美味しい物にかこまれてる。
おしまい。