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魔王を倒して用無しになった世界最強の魔法使いのワシ、パーティを追放されて60年〜もうすぐ死にそうなワシの最後の願いを叶えるぞい〜

作者: にわこう

 ワシの名はラルム・エッシェル・グレコ。歳は90歳。男じゃ。


 魔法を覚えて80年。これまで魔法使いとして生きてきた。23歳の時に最強の勇者パーティ「銀の翼」に入り、30歳でついに世界を脅かしていた魔王を討ち取ることが出来た。


 魔王を倒したことで、人間でも簡単に倒せるモンスターしか残らなくなり、次第に駆逐されていった。


 そんなこんなで、魔王を倒した1ヶ月後に用済みになったワシはパーティを追放された。


 それから時が経つのは早かった。2年後には妻のクリス貰い、1年後には息子のグレンを授かり、更にその16年後には孫が出来た。


「あぁ、なんというか……呆気ない人生じゃった」


「何を言ってるの、おじいちゃん!」


 場所はワシのベットの上。もうすぐ死にそうなワシを見届けに孫のサチが来ていた。


 サチの両親は共働きで、今も働いている。


「サチ……お前が生まれてきてくれて良かった」


 ワシが息子のグレンに教えたことと言えば、魔法の基礎を徹底的に叩き込んだ事だけだった。だが、今はモンスターなどはいなく、魔法はなんの意味も持たない。移動魔法が使えるということで、土木工事で働きながら生きている。


 何もしてやれなかった息子にこうしてサチが生まれてきて本当に良かった。


「おじいちゃん……」


「サチ、ワシはもうすぐ死ぬ。クリスは先に逝ってしまっまたし、グレン達もちゃんと生きて、サチもいる。もう思い残すことは何も無い」


「ほんとに?」


 色々あったが、パーティを追放されてから自由になったので好きなことをやった。温泉とかを巡ったり、覗いたり、たらふく飯を食べたりして、最高の嫁を貰って子供まで出来た。


「もうやり残すことは………………あったわ」


「え、ほんと!? なになに?」


「ワシ、世界を滅ぼしてみたい」


「…………はい?」


 1度は思ったことはないだろうか?世界を滅ぼしてみたいと。


「生涯最後の大魔法をやるか……。」


「え、ちょ、おじいちゃん、本気なの?」


 ワシのことを馬鹿にしとるのか、サチが信じられないような目で見てくる。


「黙って見ておれ、サチ!」


 ベットから体を起きし、両手を挙げて、詠唱する。


「右手はゼウス、左手はサタン。陰と陽、矛盾する2つの力が合わさる時――」


 右手が白く光、左手は黒く燃えている。本当に世界を滅ぼすのがわかったのか、サチは急いで止めようとするが、ちょうどその時に詠唱が終わってしまった。


「世界を破壊せよ!!!!」


「やめてぇぇぇええええ!!!!!!」


 両手が重なり、そして、何事もなく消えた。


「あれ? 失敗?」


「…………わからん」


 そのまま30秒間何も起こらなかった。


 そして、時がやってきた。いきなりの大地震、地割れが激しく起き、間からガスが溢れ出し、マグマの温度によって引火し、そこら中で大爆発。


「これって……まさか!?」


「どうやら成功のようじゃな」


 海は荒れ、天候が異常気象を起こし、山が崩れ、世界が破壊されていく。


「これでワシもポックリと逝けるな」


「いやぁぁああああ!!!!」


 直後、世界の中心にある核が爆発したのか、大陸すべてがこの日消滅した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 息子にたいして魔法を教えることしか出来なかった→でも今の時代強い魔物がいないから魔法を覚えてもあまり価値がない→使える魔法で土木作業をして生きている→そんな不出来な息子に孫ができて良かった …
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