表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/99

第四幕 第八場

「わたしがシンデレラ?」わたしはとまどいを覚えた。


「ああ、そうだよ」男はうなずいた。「だからおまえは言ったじゃないか、わたしは長谷川の孫娘の居場所を知っている、と。しかも長谷川の孫娘は自分がその孫娘であると知らない、とも教えてくれた。だからそれを利用して狂言誘拐をでっちあげて、長谷川から金を巻きあげようって計画したんだろ」


「狂言誘拐?」わたしのとまどいはさらに増す。


「ああ、そうさ。おまえが長谷川の孫娘からこっそり血を抜き取り、それをハンカチにしみ込ませてきてくれたじゃないか」


「わたしがどうやって、そんなことをしたの?」


「そんなのおれが知るわけないだろ」男は顔をしかめた。「だいたいおまえは、長谷川の孫娘について詮索しないことを、おれたちに約束させたじゃないか。だからおまえがどうやって孫娘から血を抜き取ったのか、おれにわかるわけないだろ」


 何がなんだかわからない。記憶をなくす前のわたしが狂言誘拐を企んだ? 長谷川の孫娘の血を利用して?


「……そのハンカチはいまどこに?」


「何を言っているんだおまえ?」男は正気かと言いたげな顔つきになる。「長谷川宅に送りつけたじゃないか。おれがウルフに、そしておまえが孫娘に扮した脅迫ビデオとともにさ」


 わたしは信じられない思いだった。「どうしてそんなことを?」


「おいアカネ、おまえさっきから言っていることがおかしいぞ。忘れたのか?」男は困惑した様子だ。「これはおまえが立てた計画だぞ。長谷川の孫娘の血を利用し、狂言誘拐を実行する。そしてその罪をなすりつけるために、おれたちはウルフのふりをして脅迫状を送りつける。これは全部おまえが考えたことだ」


 足下がふらつく思いだった。どうやらわたしたちは、長谷川の孫娘の血を利用して、狂言誘拐をおこなったらしい。しかも主犯はこのわたしだ。それが事実だとしたら、とんでもないことだ……。


「おいアカネ!」男が心配そうにわたしの顔をのぞきこむ。「どうしたんだよ、ぼっとして。しっかりしろよ」


 わたしははっとする。「……あなただれ?」


「はあ? 何を言っているんだ。神谷にきまっているだろ」


「そう、あなたが神谷だったんだ。わたしたちの仲間の……」


「どうしたんだよ。まさか忘れたのか?」


「ええ、忘れたわ。だってわたしは記憶喪失なんだもの」

 わたしはそう告げると、自然と苦笑する声を漏らしてしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ