マヒナちゃんの心情1
私は今日もいつものようにお店のお手伝いの為、受付にいた。
夜になると冒険者の方々がご飯を食べにお店にやって来る。
その為、私はこの時間になると受付のお手伝いではなく料理の提供のお手伝いをすることになる。
なぜか私が料理を提供した方がみんな喜ぶらしい。
理由は知らないが、喜んでもらえる私も嬉しい。
だから、私は食事の提供の時間になると、厨房に向かうことにしていた。
今日もそろそろ厨房に行こうかと思っていると、お客さんが来た。
このお客さんを案内したら厨房に行くことにした。
「いらっしゃいませ。お食事でしょうか? それともお泊まりでしょうか?」
私はいつものように聞いた。
「お泊まりでお願いします」
そのお客さんは礼儀正しかった。
服装は見慣れない服だが、いい生地を使っているのかとても高価そうな服だった。
それに、武器や防具も付けていなかった。
だから、この時の私はこの人が商人さんなのかと思っていた。
「はい、ありがとうございます。宿泊料金は朝と夜の食事付きで1泊銀貨1枚となります」
「とりあえず1週間お願いします」
「わかりました。そうしますと料金は銀貨7枚となります」
するとそのお客さんはズボンのポケットから銀貨7枚を出して私に渡した。
その行動はあまりにも自然だった。
多分、日頃からお金のやり取りをしているのだろう。
そう考えてしまった私は、ますますこの人商人さんなのだろうと思ってしまった。
この後、部屋の場所を案内をしたからそこまま部屋に行くのだろうと思っていたが、その人はこのまま食事をしたいと言った。
料理の提供のお手伝いをしないとと思っていた私は、食事についての説明をするをすぐに厨房に向かって行った。
厨房に行くとお父さんが張り切って料理をしていた。
お父さんは料理するのが好きだから、珍しい食材などを調理する際はいつも張り切っている。
きっと今日もなにかいい食材でも入手することができたのだろう。
「機嫌がいいみたいだけど何かいいことでもあったの?」
「おお、マヒナか。見ろ、今日はなんとジール公国産のデボンの子牛の肉が手に入ったんだよ。そもそもデボンというのはな......」
「待って、お父さん。その話は後で話して。今はお客さんも待ってるから」
「おお、そうだった。この話はまたア後で話してやるからな」
お父さんは料理や食材の話になるとずっと話してしまう。
お父さんの話は聞いてて面白いしためになるから、私も聞いていたい。
でも、一度話始めると止まらないから今は我慢してもうわないといけない。
私は料理を持って先ほどお店に来たお客さんの料理を持って行った。
「お待たせしました。今日はいい肉が手に入ったこともあり、シュフが気合を入れて作りました。こちらが今日のセットメニュー、子牛の煮込みシチューと子牛のクリームソースソテー、それから当店オリジナルの黒パンとなります」
そう言って私はお客さんに料理を提要した。
いつもならお客さんは喜んでくれる。
しかし、そのお客さんは少し違った。
私が料理名を言うと少し顔を強張らせていた。
もしかしてこの人は子牛がダメなのかもしれないと思ったのだが、そんなことはなく、料理を美味しく食べていた。
では、私の言い方が悪かったのかとも思ったが、他のお客さんは嬉しそうにしてくれた。
では、なぜあんな顔をしていたのだろうか。
私はそのことが気になり、その後のお手伝いはあまり身が入っていなかった。
次の日、私は今日はゆっくり休んでいなさいと言われた。
どうやら昨日私が少し悩んでいたことに気がついていたみたいで、気を利かせてくれたみたいだった。
私はお店のお手伝いをするのが楽しかったので、お手伝いをさせて欲しいとお願いしてなんとか朝食のお手伝いだけさせてもらえた。
そして、朝食のお手伝いをしていると昨日から気になっていたお客さんが降りてきた。
私はなぜが急いでそのお客さんの元に駆けつけていた。
「おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」
「おはよう。ここのベットは眠りやすくて良かったです」
「それは良かったです」
このお客さんにお店のことを褒められた。
そのことが嬉しかったが、なぜこんなにも私は喜んでいるのだろうか。
そのことがわからなかった。