遠回りするよりこっちの方が早いだろ?
ふと思いついて1時間ほどで書きあげたモノ。
軽く読み流してください。
なんで、こんなところを通らなきゃいけないの?
遠回り…は無理か。
時間がかかりすぎる……
どうしよう……
「おい、大丈夫か?」
閉じていた目を開けると、隣のクラスの男子が心配そうに私の顔を見つめていた。
「さっきからずっと動いていないけど、気分でも悪いのか?」
「橋高君?」
「顔色悪いぞ」
無意識なのだろうか私の額に手を置く彼。
「熱はないな……どうしたんだ?」
「…………」
「さっきまでは元気だったよな?」
首を傾げる彼に私は苦笑する。
「ごめん、私の事は気にせず先に行って。先生に相談してくるから」
「相談?」
「…………橋を渡れないの」
「え?」
「なぜか、橋だけは怖くて渡れないの」
「高所恐怖症なのか?」
「……どうなんだろう。タワーの展望台は大丈夫だし、ジェットコースターや観覧車は平気。だけど、橋だけはだめなの」
昔から橋を渡ることに恐怖を覚える。
歩道橋も怖くて渡れなくて遠回りして横断歩道で渡っている。
家族で山奥の宿に泊まる時、橋を渡らなきゃならないと知った時は恐怖で大泣きした。
あの時は親に抱えながら橋を渡った。
でも、高所恐怖症というわけではないと思う。
先ほど訪れた高層タワーの展望台で友人たちとガラス張りの床を覗き込みながら楽しんだし、
遊園地のジェットコースターや観覧車にも何度も乗っている。
「ほら手を出せ」
「え?」
「俺が手をつないでやる」
「ええ!?」
「お前は目をつぶっていろ。俺が手を引っ張っていってやる。遠回りするより早いだろ?」
戸惑っていた私の手を強引に掴むと彼はずんずんと橋を渡っていく。
私は怖くて思わず目を閉じてしまった。
コンクリートの橋なので揺れないし、よほどの事がない限り落ちないということも分かっていてもやはりどこか恐怖を感じている。
「あと少しだ、頑張れ」
彼の言葉に薄らと目を開けるとあと数歩で橋の反対側だった。
橋を渡り終えた時、手を離した橋高君。
「帰りも手をつないでやるからな」
そう言い残して友人たちの所に駆けていった彼に私はお礼を言えなかった。
「小鳥、大丈夫?」
フラフラしながら集合場所に向かうと幼馴染の優理香が声をかけてきた。
「橋を渡るなんてしおりには書いてなかったよね……」
「あー!なんかね、先生方がこっちの方が近道だからって急遽変更になったみたい。…………ってそういえば、小鳥、どうやって橋を渡ってきたの!?うちのクラスほとんど先に渡っちゃってからあんたの事気づいたんだけど……」
今更のように聞いてくる優理香に先ほどの事を告げた。
すると優理香はにやりと笑うと
「ほー、ついに橋高が動いたか……」
なにやらブツブツと呟いていたが集合の合図でよく聞き取れなかった。
帰りにまたあの橋を渡るのかと思うと足がすくむ私に優理香はにやりと笑うと
「橋の所で橋高が待っているみたいよ」
「え?」
橋の入口(?)を見ると確かに橋高君が立ってきょろきょろしていた。
「おーい!橋高!」
優理香が声を掛けると彼は嬉しそうに私たちの所まで走ってきた。
「橋高、小鳥の事頼むね」
なにやら優理香が橋高君に耳打ちしていた橋に対する恐怖心で私はそれどころではなかった。
「ほら、行くぞ」
ガチガチに固まっていた私の手を取り橋を渡る橋高君。
なんで、彼は私に手を差し伸べてくれたんだろう。
その答えは数年後の高校卒業時にやっと知ることとなった。
周りからは「やっとくっついたのか~」と散々からかわれる羽目になることも追記しておこう。
橋高「小鳥の鈍さは分かっていたけど、まさか8年も気づいて貰えないとは思わなかったぞ」
小鳥「…………だって、橋高君。誰にでも優しく手を差し伸べていたじゃない。私だけじゃなかったもん」
橋高「それは……!」
小鳥「だから、ただの友達だと思うようにしていたんだからね」
橋高「へ!?」
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【あとがき】
橋が苦手なのは作者本人です(笑)
本当に橋が苦手なんですよ。
どんなに頑丈な橋だとわかっていても恐怖で足がすくんでしまうんです。
でも高層タワーの展望台とかは平気です。
むしろ展望台から地上を眺めるのが好きです。
なぜ橋だけがダメなのかはいまだ不明……
克服したいけど克服できないんです(泣)




