ロケットに乗って君に逢いに行く
ここに来れば君に逢えると思っていた
私は一人、ロケットに乗っていた
君に逢いに来た
君がいなくなる前、君は私に言った
『ずっと僕と一緒にいてくれる?』
私は嘘を吐いた
『うん、いいよ』
私はずっと前から知っていたはず
君が私と一緒に生きられないことを
君の燃料はもう切れるということを
君と私は大事なものや大切なものをもっている
うんと前、ずっと前から、人はどんどん変わっていくように
君だって私だって、昔の欠片もないほど変わっていた
私には君以外に大切なものも、大切な人もいる
君にも私以外に大事なものも、大事な人もいる
昔、仲良く手を繋いだ私たちは、もうとっくにいなくなっていた
そんなこと気付いていた
でもお互いずっと一緒にいたかった、甘いめまいがするくらいに
君は私の大切なものの山に埋まっていなかった、それだけだ
それは君が大切じゃないって訳じゃなくて、
上手く説明できないくらいに、君は大切だってことなんだ
このロケットはもうすぐ緊急停止するだろう
それはつまり機能停止、を意味する
このままいれば、きっと私は…
でも地球には帰りたくない
このままいれば、君に逢えるはずだから
だから待っていて、私のことを忘れないでいて
今すぐ会いに行く
目が眩みそうなくらいの速さで君に逢いに行くから
なんでだか、涙が溢れた、止まらない、止まらない
最後に君が言った言葉
『君は優しい嘘を吐く』
嘘じゃないことを証明してみせる
嘘なんかで終わらせない、君との約束
緊急停止を知らせるランプが点滅して、私はゆっくり目を瞑った
最後まで読んで頂きありがとう御座いました(´・ω・`)*