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念願の若返り

作者: 小雨川蛙

 ついに念願の若返りの薬を開発した!

 思えばここに来るまでが長かった……。


 僕は元々不細工で低身長だった。

 それのせいで子供の頃は虐められていたのだ。


 不細工が憎い!

 低身長も憎い!

 そう思った僕は必死に勉強をして不細工を変えるために整形をし、さらに身長が伸びる薬も作って高身長になった。


 だが、しかし。

 それらが出来た頃にはもう僕は二十代半ば……。

 周りは恋人どころか結婚している者、中には子供が出来た者もいた。


 ここになり僕は気づいた。

 僕は『青春』を求めているんだって。

 そして青春は大人では味わえない。


 で、冒頭に戻る。

 三十そこそこの年齢の現在、遂に念願の若返りの薬が出来たというわけだ。


「さーて! 青春するぞ!」


 友達を作ろう。

 恋人も作ろう。

 ついでに知識や運動で無双しちゃうぞ!!

 将来的に大人物になりそうな奴とも仲良くなってやる!!!


 *


 なんて、思いながら今は小学生低学年として学校に通っているわけだが……。

 あまりにも周りが子供すぎて嫌になる。


 話は全く通じないし、会話のレベルが低すぎて退屈だ。

 将来的に大人物になりそうな子供なんて早々居るはずもなく、周りに居るのはバカガキばかり。


 いや、それだけならいいんだけど……。


「本日は授業参観です」


 教師の言葉に僕は絶望する。


「お父さん、お母さんの前ですから頑張ってくださいね」


 そんな言葉と共に皆のお父さん、お母さんが入ってくる。

 別の言葉を使うなら僕の元同級生たちが……。


 皆が立派な社会人や立派なお父さんお母さんになっているのに僕は一体何をしているんだ?


「それじゃあ、この問題解ける人〜」



 僕の苦悩など知る由もなく教室は緊張と温かさに包まれながら日常にとけていった。

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