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第41話 初恋(はつこい) その3

大切な人を守ってあげたい。

いや、守る! だよね。

たとえこの身を焦がそうとも…

ネズミ「やぁ、ウサギくん」


ウサギ「やぁ、ネズミくん。

 いきなり聞くけど、マスコットのプレゼントは、したの?」


ネズミ「うん・・・」


ウサギ「あんまり元気がなさそうだね」


ネズミ「まぁね」


ウサギ「上手くいかなかったの?」


ネズミ「『やだ!何これ!気持ち悪い!!』って言って直ぐにごみ箱に捨てられちゃったんだよ」


ウサギ「突然下駄箱に見知らぬものが入っていたら、確かに不審になっちゃうかもね」


ネズミ「やっぱり、そうだよね」


ウサギ「じゃあこれからどうしたらいいか、また考えなくちゃね」


ネズミ「ただそれで諦めたわけじゃないんだけど・・・」


ウサギ「それはいいね!

 ネズミくんはそうでなくちゃ。

 直接ってやり方だってあるよね」


ネズミ「その面と向かうってのは絶対無理だよ。

 ウサギくんの考えはやっぱり俺の助けにはならないみたいだ」


ウサギ「・・・・(あぁ、僕も自信がなくなりそう)」


ネズミ「やっぱりネズミの俺には限界があるんだよ」


ウサギ「・・・・(可愛そうで見ていられない)」


ネズミ「だからさ、見守りに徹することにしようかと思ったんだ」


ウサギ「それって、ストーカーするってこと?」


ネズミ「馬鹿言ってんじゃないよ!

 そんなんと一緒にしないでくれ!」


ウサギ「でもいつも付きまとうみたいなイメージになっちゃうけど」


ネズミ「俺のはそんな下衆げすな思いじゃない。

 もっと清い心でひたすらすこやかな成長を見守るんだ」


ウサギ「凄い決心だね」


ネズミ「この思いはこの胸の内に秘めておけばそれでいい」


ウサギ「かっこつけるね!

 それで既にその見守りとかをしてるの?」


ネズミ「ああ、したよ」


ウサギ「よかったら聞かせて」


ネズミ「この前なんだけど、下校途中で変な高校生風の男から突然言い寄られてさ」


ウサギ「それって、もしかして痴漢?

 そしたら大変危険なことじゃない!?」


ネズミ「そうさ。

 今、やたらにそういう卑猥ひわいな事件が多く起こっていてさ!」


ウサギ「それで見守りをしようって思ったんだね」


ネズミ「そうなんだよ」


ウサギ「それで、どうなったの?」


ネズミ「女の子が断ろうとしたらいきなり腕を掴まれて・・」


ウサギ「それ、ますます危ないよね」


ネズミ「力任せだからね。

 女の子が泣きそうになってもその手を離さなくって・・」


ウサギ「それでネズミくんはどうしたの?」


ネズミ「だからそこで何とかして助けなきゃって思って、何も考えずにその高校生風の男の目の前に飛び出したんだ」


ウサギ「やる~!」


ネズミ「そしたら案の定その男がびっくりして手を離したんだ」


ウサギ「やったね!」


ネズミ「そこで『今だ!逃げろ!』って叫んでみたんだけど通じないじゃん。

 女の子は硬くなっちゃってて身動きが取れなかったんだよ」


ウサギ「そりゃそうだよね」


ネズミ「そこで何としても逃げてもらえる方法を考えようとしたんだ」


ウサギ「さすがネズミくんだね」


ネズミ「だけどさ、その時はもう気持ちが焦っちゃって、頭の中がごちゃごちゃになって、『どうしたらいいんだ!』ってまた叫んじゃったんだよ」


ウサギ「分かる。その気持ち」


ネズミ「そしたら今度はその俺の声に女の子が気が付いて『今の何?』って顔してこっちを見たんだ」


ウサギ「それで見つかっちゃったの?」


ネズミ「いや、直ぐに身を隠したからそれは無いと思う」


ウサギ「そうなんだ。先ずは良かった」


ネズミ「その時ひらめいたんだ」


ウサギ「おお! 何が?」


ネズミ「今度はその女の子の前に飛び出せばいいんだ!ってね」


ウサギ「ほほ~!

 捨て身の戦法だ。 厳しい~ね~」


ネズミ「そしたら思った通り『きゃー!!!』って言ってその場から思いっきり走って逃げ出してくれてさ、一件落着したんだよ」


ウサギ「おお~! お見事!」


ネズミ「でもこれで俺は完全に嫌われたな!

 だからもうこれでお終いさ!」


ウサギ「そんなことないさ」


ネズミ「勝手なこと、言うなよ」


ウサギ「勝手じゃないよ」


ネズミ「気休めはいらないよ!」


ウサギ「昨日のことなんだけさ、こんな話をしながらケージの前を通り過ぎた女の子いたんだ」


ネズミ「あんまり聞きたくない」


ウサギ「そう言わないで聞いて“!」


ネズミ「勝手に話せば!」


ウサギ「その女の子がね『持ち悪かったけどネズミのお陰で痴漢に遭わずに助かった』って言ってたんだ。

 ネズミくんの今の話の内容から思えばその子、多分、ウサギくんが好きになった女の子、なんじゃないかな~」


ネズミ「ん!?

 そんな話、初めて聞いたぞ」


ウサギ「そりゃそうだよ、今初めて言ったんだもん」


ネズミ「そうか~

 あの子がそんなこと言ってたか~!」


ウサギ「それだけでも良かったんじゃない!?」


ネズミ「だけど『気持ち悪かった』はやっぱりちょっとグサッと来るよな~」


ウサギ「この際、贅沢は言わない!」


ネズミ「まぁそうだよね。

 でも感謝されたのかな~?」


ウサギ「きっとされているんだよ!」


ネズミ「それなら、引き続き見守っちゃおうかな~

 エヘッ!

 じゃぁ、帰るね。

 バイバ~イ!」


ウサギ「あれ~ 尻尾を振ってる。

 きっと嬉しくなったんだ。

 やっぱりネズミくんは男気があるな~!

 かっこいいよ!」

別れ話が出たらその後怒りに任せてストーカーして、事件まで起こすなんて最低ですよね。

そんな奴には、ネズミくんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい!

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