第29話 夢(ゆめ)
立秋になりました。
秋とは名ばかりですね~
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
最近少し日が暮れるのが早くなったね」
ネズミ「おや、ウサギくんにもそれが分かったんだ」
ウサギ「僕は自然の動きには敏感だからね」
ネズミ「いつから日が短くなったか、知ってる?」
ウサギ「う~んと! あのね~!!」
ネズミ「夏至っていう日があるんだよ」
ウサギ「あっ! それだ!
それが出てこなかった。悔しい!」
ネズミ「答えられなくて残念だったね」
ウサギ「誰だってたまには度忘れって、あるよね」
ネズミ「負け惜しみはみっともないよ~」
ウサギ「・・・・(別に負け惜しみしたわけじゃないのに、いつもそうやって決めつけるんだよね)」
ネズミ「だから、もう秋が直ぐそこまで来てるんだよ」
ウサギ「秋か~ 僕は春の次に秋が好きなんだ!」
ネズミ「俺もだよ」
ウサギ「秋は涼しくって、よく眠れるからね」
ネズミ「俺はウサギくんと違って、やっぱり読書だね!
俺はあっちこっちの出先で本は読み放題だからさ」
ウサギ「ネズミくん、本はかじるんじゃないの!?
まさか、読んでるの?
びっくり~!! 」
ネズミ「それ以上言ったら、本当にぶつよ!!」
ウサギ「たまには僕も言ってみたいんだよ」
ネズミ「十年早いって、知ってるかい?」
ウサギ「そんな仕返しするようなこと言わなくってもいいじゃないか」
ネズミ「ウサギくんも読書してもっと知識を増やさないとね。
さもないと俺とのおしゃべりについてこれなくなっちゃうよ!」
ウサギ「ケージの中にいる僕にそれを言うのは一寸酷だよね!」
ネズミ「それはさ、ウサギくんの運命だから仕方ない、ってことかな」
ウサギ「運命か~」
ネズミ「だからこうやって本で得た知識をウサギくんに教えに来てやってるんだよ」
ウサギ「また恩に着せてる」
ネズミ「でもウサギくんにだっていいことがあるじゃないか!?」
ウサギ「いいことって?」
ネズミ「ぐっすり眠れれば、いい夢をたくさん見られるじゃないか」
ウサギ「夢か~」
ネズミ「ウサギくんはどんな夢を見てる?」
ウサギ「そうだね~ やっぱり大自然の中の草原を駆け回っているのが多いかな!?」
ネズミ「叶わない夢だね」
ウサギ「冷たいことを平気で言うね。
じゃあネズミくんはどんな夢を見てるのさ」
ネズミ「俺の夢は、いつも美味いものに囲まれて、それを食い放題出来る生活を送る、ってのが夢だな」
ウサギ「それって、眠っている時に見る夢と違う夢なんじゃない!?」
ネズミ「夢なんだから、どっちだっていいんだよ」
ウサギ「そうなの?
それともネズミくんはもしかして夢を見たことがないの?」
ネズミ「正直言うと、脳を使い過ぎて疲労しているから、確かにウサギくんと違ってあまり見てないな」
ウサギ「何だ、そうなんだ。
夢の中身は自由だからね。それを見られないなんて可哀そうだね」
ネズミ「随分なこと言ってくれるじゃん。
それを言うなら草原を駆け回っている時に鷹が飛んで来て、それでウサギくんを捕まえちゃうってことになるかも知れないね」
ウサギ「そんなことはないさ」
ネズミ「どうしてそう言えるんだい?」
ウサギ「だって僕は駆け回っているだけじゃなくて、この大きい耳を羽ばたかせて空を自由に飛ぶんだよ」
ネズミ「そんな夢見てるの!?」
ウサギ「そうするといろいろな鳥がたくさん飛んで来て、みんなで一緒にあっちこっちを飛び回るんだ」
ネズミ「そこに鷹が!」
ウサギ「その鷹も友達になって一緒に飛ぶんだ。
凄く気持ちがいいんだよ!」
ネズミ「そんなの嘘の世界じゃないか!」
ウサギ「夢だから嘘も本当もないと思うんだけど」
ネズミ「そんなのずるいよ!」
ウサギ「だって夢なんだから仕方ないじゃないか」
ネズミ「何だかいつもの立場が逆になってしまったような気がする。
一寸気分が悪い。 帰るわ!」
ウサギ「一寸言い過ぎちゃたかな。
空か~
いつか本当に飛んでみたいな~
それが僕の夢かな~!」
そこのあなた!
何か夢をお持ちですか?
私?
勿論、持ってますよ!
でも、恥ずかしくって人様には言えませんけど…




