第十話 焚火(たきび)
寒くなったり暖かくなったり、その温度差で体調を崩して、最近一寸ダルいと感じてます。
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
今日も寒いね。だからたまには元気が出るような話が聞きたいね」
ネズミ「おや!珍しい。ウサギくんから注文が出るなんて。
一体今日はどうしたんだい?」
ウサギ「ここのところ毎日がとっても寒いからね。
ネズミくんの話でもいいから、そんな話が聞ければ気分的に少しは温かくなれるかもって思ったんだよ」
ネズミ「なるほど!
それにしても『ネズミくんの話でもいいから』って言いぐさは極めて気に入らないね。
まぁウサギくんの知識レベルは幼稚園児並みだから俺の実力を拝めて教えを乞うてきたのかと思ったよ」
ウサギ「・・・・・・」
ネズミ「まぁいいや。
温かくなる話って言えば、これはきっと正にその温かくなるって話だよ」
ウサギ「ふ~ん! どんな話?」
ネズミ「何だかその返事の仕方も気に障るな~」
ウサギ「あっ! ごめんごめん。気を悪くしないで、話を聞かせて」
ネズミ「最初から素直にそういえばいいんだよ」
ウサギ「ごもっとも」
ネズミ「ところで、ウサギくんは焚火って知ってるかい?」
ウサギ「焚火か~
実際に焚火に当たったりしたことはないけど、でも知ってるよ。
きっと温かいんだろうね」
ネズミ「そりゃもう温かいなんてもんじゃないよ。
驚くなよ!
なんてったって焚火でサツマイモが焼けるんだからね」
ウサギ「そりゃ凄いね!」
ネズミ「お寺なんかに行くと、大きな木が一杯あるから枯葉も一杯あるんだ。
小坊主さんなんかがそれを掃き集めて火をつけて、そしてその中に芋を入れるんだ」
ウサギ「なるほど。それでお芋が焼けるんだね」
ネズミ「そうさ。いい匂いがしてさ。
もうたまらないよ、あの匂いは!」
ウサギ「ネズミくん、よだれ、出てるよ!」
ネズミ「おお、これは俺としたことが・・・
でもね、思っただけでこの有様さ!」
ウサギ「焚火って、いいね~」
ネズミ「そうなんだけど、最近はその焚火を全く見かけないんだ。
だから焼き芋にもお目にかかれないんだよ。
何かさ、昔からの風情っていうか、そういうものがなくなっていくのは寂しいよね」
ウサギ「そうだね。でもどうしてなんだろうね」
ネズミ「焚火をするとダイオ何とかっていうものが出て、それがどうもとんでもないほど有害な代物らしいんだ」
ウサギ「それって、多分ダイオキシンだろ」
ネズミ「おおおおおおおぉぉ!
何でウサギくんがそんな言葉を知ってるんだよ。
気分悪い!」
ウサギ「だって太郎くんが学校でごみを燃せなくなったのは、そのダイオキシンが出ちゃうから禁止されてるんだ、って言ってたんだよ」
ネズミ「太郎くんはいろんなこと知ってるね。
凄いじゃん」
ウサギ「自慢じゃないけど、太郎くんは優秀な子だからね」
ネズミ「いいかい!
断っておくけど、今日は俺がウサギくんに負けたってわけではないからね。
ただ太郎くんがお利口さんだったっていうだけだからね」
ウサギ「これって勝ったとか負けたとかっていう問題じゃないように思うんだけど・・・」
ネズミ「ああ! やっぱり気分が悪い。
もう帰る!」
ウサギ「また怒らせちゃった。
でも確かに昔からの風情がどんどんなくなっていくのは、ネズミくんじゃないけど寂しい思いがするよね。
焚火で焼いたお芋、食べてみたかったな~」
温かい焼き芋、多分嫌いな人は殆どいないだろうと勝手に思っています。
かじりついた時、幸せだな〜って思いませんか?
安い!?幸せです。




