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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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任務終了その2

 ほのかにライトで照らされた部屋の中、メドゥーとジンは横になっていた。

 彼らがズェ-支部に到着したのは、フィールズ博士からの通信が切れておよそ二分後。

 ご夫婦の子供はもうすやすやと眠りについていたが、弟夫婦と両親は起きて待っていてくれた。

 再会した時の抱き合う姿は、メドゥー達から見ても幸せな光景に映った。


(ここまで送って来て良かった)


 そう思えるほど。

 道中いろいろあったけど、まあ、無事に来れた。

 そう楽観視したいのだけど。

 気がかりがある。

 バリー達の事だ。

 あの時、突然通信が途切れた。

 何かあったという事は間違いない。

 〈DEX 〉という名前が出た事も気になる。

 この支部の人達に、「お疲れ様。少し休んだら?」なんてベッドを用意してもらって横になったものの、とてもゆっくり寝ていられる気分じゃない。

 バリー達が苦しんでいる。

 博士達からも連絡が無い。

 どうなっているか分からないというのが、一層不安を掻き立てる。

 メドゥーもジンも同じ事を考えていた。

 せっかくくつろげる部屋まで用意してもらったのに悪いが、この支部を出てバリー達を探しに行こうか。

 ジンがベッドから起きた。

 メドゥーも上着を取る。

 と、そこに、


 コンコン。


 ノックの音。

 入って来たのは、この支部の女性支部長だった。


「メドゥーさんとジンさん。本部から住民達の避難を手伝いに来ていただき、お礼申し上げます。おかげ様でこの支部への住民達の避難は、一人も欠く事なく、全て完了致しました」

「いえ。俺達も来た甲斐があったというものです」

「本来でしたらお休みになられているでしょう時間帯に来て頂いて、感謝しています。本当に助かりました。ところで、本部のフィールズ博士から、通信が届いているようなのですが」

「え?」

「こちらを」


 支部長はタブレット画面をメドゥー達に見せる。


『メド、ジン。人々の避難の任務、ご苦労だった。バリー達だが、やっと連絡が取れたよ。やはりDEX の触手の、攻撃を受けた様だ。君達の後をついて谷を越えようとしていた所、DEX によって車ごと谷底に落とされたらしい』

「えっ!? だ、大丈夫なんですか?」

『うむ。車が飛行状態になっていたから、触手で叩かれてもひっくり返らず、そのまま落下したらしい。車は破損した様だが、本人達は元気だ。今、谷底にあった洞窟内で、暖を取っているそうだ』

「そうですか。良かった。怪我は無かったんですか?」

『落下の衝撃で身体を打った時に、多少怪我をしたみたいだが、バリーは心配要らないと言っていた。ただ、今はまだ暗い。谷底まで救出に行くには我々としても危険が伴う。DEX はすぐ去ったという話だから、救出は日が登ってから行おう。それまで君達はその支部で休ませてもらうといい。わたし達も仮眠を取る。準備が整ったら迎えに行くから、待っていてくれ』

「……承知しました」

『支部長、二人を頼みます』

「かしこまりました。お任せ下さい」


 最後に博士は支部長にお願いをして、通信を切った。


(ホッ)


 バリー達は生きてる。

 一気に安堵感が襲った。

 と同時に眠気も。

 やっぱ疲れてる。

「お休みになられますか? 電気を消しますよ」と女性支部長が言う。

「お願いします」と答えた。

 少しは安心して休めそうだ。

 ベッドに戻る。

 直後に、まぶたの重さを感じた。


 パチ、パチ。


 焚き火の火が燃える音がする。

 谷底の川の近くの洞窟の中、体を寄せ合った圭一達が焚き火の火で手を温めながら暖を取っていた。

 何メートル落とされたか分からない。

 車のAIが危険を知らせてくれた後、マヤのリングのライトに一瞬太い触手が照らされ、ボンと衝撃が走ったと思ったら、車ごと川の中に落ちていた。

 車は真ん中からポキッと折られる様な形で破壊されている。

 完全に分離させられた訳ではないが、くの字に曲がっていた。

 後ろに座っていた圭一とマヤの足ギリギリの所。

 DEX が翼を狙った可能性がある。

 谷底に車ごと彼らを落下させて、完全に這い上がって来れない様に。

 生死の確認は明るくなってからすればいい。

 そう思ってその場は去ったのではなかろうか。

 マヤの額には包帯が巻かれていた。

 車がくの字に折られた時、前方に滑って、前の座席にぶつけてしまったのだ。

 良く見ると圭一達も腕や足に包帯が巻かれている。

 偶然にも下が川だったとはいえ、怪我しないとは限らない。

 むしろ命が助かって良かった。

 実際には彼らは数分の間、気絶していたのだから。

 これもDEX が計算していた事か。

 谷底に落ちてしまえば、多少なりとも怪我する事は分かっていたから。


「……マヤ。横になっていなくて平気かい?」


 バリーが額を打った彼女を心配して言う。


「車から寝袋を持って来たから、先に休むといい。圭一君達も、どうぞ」

「バリーさん、あなたは?」

「僕はもう少し安全を確認したら寝るよ。博士達が、朝に迎えに来て下さるらしいから」

「……分かりました」


 お先に、とマヤ達は寝袋に入った。









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