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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
88/152

約束を守る為に

 カチカチ、カチカチ。

 ジー。カシャッ。


 レジスタンスの本部基地、地下室の研究室ラボ

 圭一達は無事森を抜け、誰も欠ける事無く三台の車でこのアジトに帰って来ていた。

 今、研究室ラボのメインコンピューターの前では、フィールズ博士とバリーがDEX がどのくらいの範囲で惑星イリアのエネルギーを吸い取るのか調べている。

 その後ろの机では、ジンがクローンのサポートを受けながら、画面上の地図でDEX の周囲約10~15キロの範囲に人が住んでいる所があるか探していた。

 実際にはもっと大規模になるかもしれないが、各支部と連携して、とりあえず近くの住人から避難させた方がいいと判断した。

 戦争に参加していない一般の人達も、博士達がレジスタンスとして戦っている事を、ニュースか何かで見て知っている人もいるだろう。

 内心では早く戦いを終わらせて欲しい。

 と思っているんだろうな。

 敵になるか味方になるか不明だが、これから戦いに参加したいと思っている者以外は。

 だから、王様との約束を守る為にも、なるべくたくさんの命を助けたい。

 負傷したマグは到着後、すぐに医務室のドクターの元に送られた。

 兄であるメドゥーがベッドの側に付き添っている。

 腕は腫れていたが、命に別状は無い。


「……マグ。痛い、か?」

「それは、痛い……、よ。でもこれくらい平気。兄さん、自分の事は心配しなくていいから」

「そうはいかない。お前は弟だからな」

「……ありがとう。少し寝る」

「ああ。無理するな。お前は今日、頑張ったよ」

「……うん」


 薬が効いて来たのか、マグのまぶたが重くなり目を閉じる。

 やがてゆっくり寝息を立て始めた弟の髪を、メドゥーは優しい眼差しで撫でた。


「お休み、マグ」


 普段は兄弟といえど照れもあり、こういう表情になった事はあまり無い。

 けど今日だけは……。

 マグの活躍もあったからこそマヤを助け出せ、こうして戻って来る事も出来た。

 無茶もしたがな。

 そんな二人の様子をドクターの助手のロボットが、温かく見守っていた。


「圭一、中島君……」


 無事に助け出されたマヤが、改めて二人にお礼を告げていた。

 ここはアジト内に用意された二人の為の部屋。

 レジスタンスのほとんどのメンバーは、今は自分達の部屋で休んでいるはず。

 マヤの部屋は圭一達の部屋より上の二階にあるが、わざわざ彼らの部屋を訪ね、こうして顔を合わせていた。


「礼を言う必要は無いよマヤ。君の危機に、僕らが何もしない訳ないじゃないか」

「圭一……」

「お。言うようになったな圭一。そうそう。クローンから惑星イリアの危機を聞いて、急いで地球からやって来たって訳。……でもマヤちゃん。圭一こう言うけど、実は一時的君の事……」

「うわっ中島! それはストップ! えっと……、何でも無いよマヤ。そう、クローンに連れて来られた時、気絶してたみたいで、星が見れなかったな」

「そう。それは残念ね。で、何がストップなの?」

「え? それは……」

「フフッ。秘密にしたいならいいわ。クローン、光の中にあなた達包んで、一気に飛んで来たのね」

「う、うん」

「重力の影響も受けたのかも」

「そ、そうかも」


 良く分からないけど。

 重力って、〈G〉って事かな?

 それだったら聞いた事がある。

 ドキュメンタリーだったかアニメだったかで。

 確か〈G 〉が強いと、身体に負担が掛かるんだっけ?

 うわ、危ない。


「圭一?」


 マヤに顔を覗き込まれていた。


「どうかしたの?」

「あ、ううん。訓練しないで良く来れたなって……」

「……そうね。私も地球に降りる時はそんなに時間が無かった。ロケットが負担を軽減してくれる仕様だったから安心もあったけれど。でも、あなた達はいきなりだったから。クローンが出してくれた光、あれはドーム状のカプセルロケットで、それがあなた達を守ってくれたのね」

「でもマヤちゃん、俺達いきなり光に包まれた感覚だったんだったけど」

「そう? 私はそう聞いてたんだけど。クローンが出すのが早かったか、最初からクローンに備わっていたかのどちらかね」

「そんな曖昧な……」


 そう。曖昧だけど、こんな事を議論していても仕方ない。

 マヤはDEX に捕まっていた分、本当は良く理解していないようだし。

 それより重要な案件がある。


 ピ-、バッ。


 来た。

 部屋に設置されていたモニターに、博士とバリーの姿が映る。

 マグは眠っているからあれだけど、側に付き添っているメドゥーは医務室で、他のメンバーは各部屋で同じ映像を見ていた。


『みんな、待たせたな。疲れて休んでいる者もいるだろうが、DEX の事で分かった事がある。そのままでいいから、話を聞いてくれ』


 というフィールズ博士の前置きの次に、バリーが緊張したように続けた。


『あ……、あの、その……。やっぱり一人で喋るのはアガるな……。DEX の大きさから考えると、さすがにこの星全体のエネルギーを吸い取るのは無理……がある。で、どのくらいの範囲かというと、せいぜい今居る場所からみて半径10キロから20キロくらい……。というのが、僕と博士の計算……なんだ』

『デハ、私達ノ調べテイル範囲ガ、少シ足リナイトイウ事デスネ?』


 後ろからの声に、バリー達は振り向く。

 クローンとジンがこちらを真っ直ぐ見ていた。


『……うん。でも、これはあくまで目安だから……。ジン、調べた中に民家は?』

『神殿の建っていた場所が森の中とはいえ、周辺にはやっぱりかなりの数があるべ。バリー、DEX がその範囲のエネルギーを吸い取るまでの時間は?』

『ざっと見立てて、二日、三日って所かな』

『ソウデスカ』


 博士が正面を向いた。


『みんな、聞いた通りだ。我々はDEX の脅威から人々を守らなければならない。まずは近くの支部と協力して、DEX の力の及ぶ範囲から人々を避難させよう。支部にはシェルターがある。そこならばDEX から人々を守れるはずだ』

「はい!」


 博士達に自分達の声が聞こえているか分からないが、圭一達は元気に返事をした。


『各支部にはわたし達から連絡しよう。支部のみんなが動いてくれるはずだ。君達は、とりあえず待機。休んでいてくれ』


 え、いいの? って思ったが、マヤからしっかり休める内に休む事も戦略の一つだと諭され、圭一達は従う事にした。



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