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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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アジトへ帰る

 レジスタンスが乗って来た車は、後発隊の使用した分も含めて計三台。

 だけどその内の一台は、DEX の目を欺く為にクローン、バリー、マグが森の中で燃やしてしまったため、使えなくなってしまっている。


「……済みません、博士」

「いや。謝らなくていいバリー。傷付いたクローンを連れて、君達も良く逃げた。DEX に追われていたんだ。車一台犠牲になっても、君達が無事なら構わない」

「博士……」

「それにほら、忘れたかい?」


 フィールズ博士は座席の下からミニチュアの車を取り出す。


「あ……」

「ライトで小さくしていた予備の車だよ。もしもの事態の為にここに隠しておいたはず。これを使って急いで逃げよう。この人数で、走って行く訳にはいかない」

「はい」

「なら」


 博士は窓を開けて、ミニチュアの車を軽くポンと投げた。

 車は元の大きさに戻る。


「残りのメンバーはその車に乗って。出発だ」

「はい!」


 と、一同元気に返事をした途端、


「博士……、あれを……」


 博士が座る運転席の後ろで、メドゥーとクローンに挟まれていたマグが、DEX を見て言う。


「どうしたマグ。ん?」


 バリーと博士、二台目の車に乗っている圭一達もDEX を眺めた。


「……!!」


 一瞬言葉を失う。

 膝を折り、動かなかったはずのDEX が、立っていた。

 ギギギ、と首がこちらを向く。

 全身のランプが点いた。


「こ、これは……」

「博士。DEX ガ起動シタ模様デス。ココハ早クコノ場カラ去ッタ方ガ得策ダト思ワレマス」

「そ、そうだな」


 エンジンをかけ、フィールズ博士は一目散に車を発進させた。

 ジンが運転する二台目、女性が運転する三台目も後をついて来る。

 DEX は……、


 ズドン。


 見開いた目でやはりというか、いきなり光線を発射した。


「どわっ!」


 助手席のバリーにアドバイスを受け、博士は光線を見事に避ける。

 その際、車が少し揺れた。

 後ろの席のマグが苦しそうな声を出す。


「マグ、大丈夫? 傷に当たった?」


 バリーが心配して振り向いた。


「も、問題ありませんバリー。このくらい……」

「でも、顔が青いよ」


 確かに血の気が引いた様な顔色をしている。


「応急処置はしたんだがな。一応」

「ケレドメドゥーサン。ドクターハ……」


 携帯用ドクターは、もうじきバッテリーが切れそうになっている。

 それでも10分程度は持つか。


「……作戦の時間がかかり過ぎたようだ。済まないなマグ。アジトに着くまで耐えてくれ」

「だ……、大丈夫です博士。自分はまだ……」

「なるべく急ぐ」


 アクセルを踏んだ。

 後ろの二台の車は?

 さすがだ、ちゃんとついて来ている。

 ジンの車が上昇した。

 DEX に狙われたらしい。

 光線を避ける。

 圭一達を乗せているから。

 その彼らが叫んだ様な声がしたが、何も無かったのならそれでいい。


「飛ぶぞ」


 車を変形させて翼を出す。

 空を飛んで逃げよう。

 DEX はそれ以上何もせず、逃げて行く自分達を眺めているだけだったと、最後尾の車のメンバーから通信が届いた。

 ただ一つ、触手を全て地面に突き刺して、その場から動かなかった事だけが気になった。

 何をするつもりだったのだろう。

 と、周りの景色に違和感を感じる。

 森の木が、不自然に動いているのだ。

 これはもしかして、揺れているのか?


「博士。オカシイデスヨ」

「うむ、おかしいな。木があんなに揺れて……。わたし達は飛んでいるから分からないが、地震か?」

「いいえ……。地震でしたら地面にもその痕跡が現れるはずです。けれど、そういう風には見えませんね」

「だとすると、〈奴〉か」

「……多分」


 バリーとクローンの言葉から推測すると、そうなのだろう。

 これは、DEX の仕業で、ほぼ間違いない。

 メドゥーがふと後ろを見ると、マヤが身を乗り出している。


「マヤ、どうしたんだ? 危ないぞ」

「あ、メドゥーさん見て! 後ろの方の地面」

「ん?」


 車のスピードが出ている為、最初は良く分からなかったが、目を凝らして見ると、地面に影、というか黒い煙らしき物が広がっているのが分かった。


「な、何だ? あれ」

「メド。僕の方もモニターで確認したよ。どうやらDEX の居る範囲から、あの影が徐々に広がっているようだ」

「何っ? じゃあバリー、あれが……」

「うん。あの男の言った、この惑星のエネルギーを吸い取るって事。現に、あの牧場の柵は既に……」

「!!」


 メドゥー、クローン、マグはバリーからモニターを見せられる。


「……燃えたように、真っ黒になってるよ」

「ナンテ事……」


 理解した。

 DEX は触手を地面に刺す事で、地下からイリアのエネルギーを吸い取り始めていたんだ。

 そしてだんだん巨大化していくんだろう。

 自分達、レジスタンスを潰す為に。


「とにかく……」


 彼も内心焦っているはずだが、博士はみんなを落ち着かせるように一呼吸置いて言う。


「DEX のエネルギーを吸い取る範囲というのがどのくらいの規模か分からないが、あの小屋の辺りに住人らしき人は居なかった。とにかく基地アジトへ急ごう。避難させるとしても巨大化を止めるにしても、もう少し情報を集めない事にはなんとも言えない」


 アジトへ帰ればメインコンピューターがある。


「DEX のその影に捕まらないように、気を付けて」

「……はい!」


 森の木々を右へ左へ避けながら、博士達は基地への帰路を急いだ。








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