二度目の対戦その2
バシュン。
圭一の放った光線銃のビームは、DEX の胴体の中央部分に穴を開けた。
圭一はもう一回銃を構える。
今度は胸。
だけどその傷もナノマシンの力で塞がれてしまった。
圭一は怒っている。
目の前でマヤとメドゥーが触手で叩かれた事にカチンと来たのだ。
「お~。怒ってる。怒ってる」
中島はそんな親友を諌める事なく見守っていた。
「中島君。何だか面白がっている様だべ」
ジンが少し呆れる様に言った。
「あ、ジンさん。圭一だって大人しいように見えて、怒る時は怒るんです」
長年の付き合いですから、と中島はジンに話した。
好きな子が倒されたんだから、それは頭に来るよね。
マヤとメドゥーは立った。
メドゥーの右側にマヤは立ち、肩で彼を支えている。
博士がメドゥーの左側に来て、同じように肩を貸す。
「博士……」
「マヤ。圭一君と中島君がDEX を引き止めている間に、こちらへ」
「でも……」
「ジンも居る」
短い言葉だったが、彼らを信頼している証なのだろう。
マヤは頷いてドクターの治療を受けている女性の元へ。
「博士、ドクターの診察を受けるほどの傷じゃないですよ。俺達」
「まあそう言うな。一応だ」
フィールズ博士がメドゥー達をたしなめる。
簡易型とはいえ、忙しいな。ドクターも。
「博士、わたしはもう平気です」
先に治療を受けていた女性が言った。
「何を言う。まだ治療中じゃないか」
「けれど、ドクターも休ませてあげないと」
見ると、ドクターに黄色いランプが点灯している。
これはドクターが疲れて来たという証。
「う~む。なら仕方ないな」
「そうですよ。傷の手当てなら、俺達自分でも出来ますから」
「そうか。ならメドの背中は、わたしが消毒してあげよう」
博士は弟子の手当てを名乗り出た。
シャツをめくると、やはりちょっと擦っている。
「しみるか? メド」
「少し。でもこれくらいなら……」
「痛かったら言ってくれ。君は、大事な弟子だ」
「あ、ありがとうございます」
マヤの方は、別の女性が見てくれていた。
大したことないみたい。
良かった。
「わわっ」
真っ直ぐ並んだジンと中島ギリギリに、DEX の光線が飛んでいた。
当たらなかったが、危なかった。
圭一はDEX の触手を狙う。
ズバッ。
ビームが跳ねた。
どうやら特殊な対策をしている様だ。
「予備ノ触手マデ壊サレテハ堪ラナイカラ、ビームヲ跳ネルコーティングヲシテオイタ。私ノ触手ハ撃テンゾ」
「う……」
「ドウシタ? 終ワリカ?」
「圭一君、こっち」
ジンが手招きする。
「〈奴〉の触手に光線が当たって跳ねたら、何処に飛ぶか分からないべ。今みたいに真上とも限らない。そしたら、おいら達も危険だべ。なら、その銃で触手は狙わない方がいいべ」
圭一と中島に聞こえる様に、小声で耳打ちした。
「そうですね。それが奴の狙いかも」
「その通りだべ中島君。なかなか賢いべ。もし、跳ねたビームの軌道まで、コントロール出来たとしたら……」
「厄介ですね」
「そうだべ。だとしたらなるべく」
「胴体か、それとも……」
「だべ」
圭一が言いかけた言葉にジンと中島が頷いた。
「ソレ、私モ参加サセテ下サイ」
うわっ。
びっくりした。
クローン、いつの間に側に居たんだ。
「ジンサン。相変ワラズ慎重デスネ」
「冷静、って言って欲しいべ。クローン」
「デモ、今ノオ話ハ、モシモッテ事デスヨネ」
「そ、そうだべ」
「ナラ、ヤハリ慎重デスネ。デモ」
クローンは微笑んだ。
「ソウイウ所モ、ジンサンラシイデス」
そう言ってDEX の所に駆けて行く。
「ちょっと。待つべ、クローン!」
「試シテミマスカ」
DEX にぴったり近づくのかと思ったら、クローンは少し距離を空けた。
光線銃を持つ。
「ホウ。触手ヲ狙ウツモリナラ、無駄ダト言ッタゾ」
「エエ。本来ナラ貴方ノ触手ヲ狙イマスガ、今ハ……」
ビッ。
撃ったのは足。
が、そのDEX の足も触手と同じように、ビームを跳ね返した。
しかもジンの予想通り、跳ね返ったビームがクローンの方に向かって来る。
「クローン!」
これはヤバい。
クローンは慌てて頭を低くし、しゃがむ。
光線は彼女の頭の上を通り、地面にぶつかった。
小さな穴が開く。
「ア、危ナカッタデス」
「クローン、大丈夫?」
圭一、ジン、中島が走って来てくれた。
クローンは立つ。
「無茶だべ、クローン!」
「エエ。少シ……、無茶ヲシマシタ」
ジンから咎められ、クローンは少しシュンとする。
圭一が喋った。
「ジンさんの言ってた事が、当たりましたね。それも触手だけじゃなく、足までもなんて」
「アア、ソウダ。私二ビームヲ当テタラ、オ前達ノ所二返ッテ行ク。忠告シタハズダ」
DEX は笑う。
「で、でもよ」
中島がDEX に聞こえないよう気を付けて、圭一の方を振り向き囁いた。
「確か圭一があいつの胸を撃った時、跳ね返らないで穴開いたよな?」
「うん。回復されちゃったけど」
「ならビームじゃなくて、もっとデカイので……」
「デカイって……」
「これだな」
メドゥーがエネルギー砲を担いでいた。
「メドゥーさん、マヤちゃん、平気なんですか!?」
「ええ。私達も一緒に戦うわ」
「中島君。これならある意味、光線銃よりもデカイぜ。それに、待たせたな!」
キラッ。
肩にエネルギー砲を乗せて、カッコ良く笑う。
メドゥーがやると、こういう仕草も似合う。
う、羨ましい。
「メド、それなら……」
「ん?」
車の方から声。
「マグ、バリー! 起きたのか?」
「うん! 兄さん、お待たせ」
「メド。僕がDEX の弱点を探る。それまで……」
「ああ。みんなで切り抜ける! 行くぜ!」
メドゥーがエネルギー砲を発射したと同時に、マグも車から降り、走った。




