バリー達のピンチ
「……!!」
クローン、マグ、バリーはビクッとして体を硬くする。
まさか、DEX が追いついて来たのか。
いや、それならばわざわざ扉をノックする必要など無い。
〈奴〉の性格なら触手か光線かで、壁を突き破るはずだ。
コンコン。
二回目のノック。
マグが藁の上から立つ。
「マグ……」
「あ、心配いりませんよバリー。そこの窓から少し外を覗くだけです」
「そう……。でも危ないと思ったら、すぐに顔を引っ込めるんだ」
「はい」
マグはバリーに会釈すると、窓の近くに移動する。
窓は扉の左側。
ちょっと覗けば、ドアの前に立っている人物の姿が見えるはず。
「マグサン。ドナタカイラッシャッタノデスカ?」
「……え?」
「マグサン?」
「誰も居ない……」
バリーの顔が青くなる。
「マグ! 罠だ。隠れて!」
途端、扉がバッと開かれ、煙が出たままの筒が投げ込まれた。
「……コノ、煙ハ……」
「麻酔の、煙……。ゴホゴホ……」
マグが顔を隠す為に藁に戻って来た時にはもう、煙は小屋のほとんどに充満していた。
「窓、開け、なきゃ……」
煙を吸い込んでしまうと、バリーとマグは眠ってしまう。
クローンは眠りはしないが、動きが鈍くなる。
扉は筒を投げ入れられた時にすぐ閉められた。
屋根の上。
マグが窓から外を眺めた時、屋根の上の敵が筒を素早く投げ入れたんだ。
味方の指示を受けて。
しかも敵はDEX じゃない。
奴の仲間のロボットだろう。
「……っ」
早くしないと。
バリーが腕を伸ばすが間に合わない。
マグも窓にたどり着く前に倒れた。
DEX も何処かに居るのだろう。
気配を潜めて。
ロボット達に一応小屋の様子を見に行かせ、バリー達が隠れていると分かった途端行動に移した。
だいたい目星はつけてたはずだ。
あの道で休める場所なんてあまり無いから。
小屋の中からの話し声で居場所が漏れた可能性もある。
「ヤラレ、マシタネ」
クローンは動きを制限された身体で、それでも光線銃を手にする。
バリー達を守れるのは、今は自分しか居ないから。
DEX の声が聞こえる。
やはり姿を隠していたか。
「見ツケタゾ。鬼ゴッコハ終ワリダ。オ前達二ハ罰ヲ与エル」
パチパチ。
何かが燃える音がする。
まさか……。
小屋に火をつけたのか。
丸太小屋で木造だったのがいけななかった。
煙と熱が襲う。
「コレハ、ピンチデスネ」
DEX にいろいろ罠を仕掛けた仕返しをされたか。
麻酔で二人を眠らせた後、火をつけるなんて。
光線銃をしまう。
バリーとマグを助けないと。
火の回りが思ったより早い。
クローンは何とか二人を抱く。
脱出したい。
が、今外に出てもDEX とロボット達の餌食だろう。
どうする?
こういう時こそ冷静に状況を分析。
と思った刹那、
ガタガタッ。
突然、天井が崩れて落ちて来た。
「ヤッタ、カ?」
外で小屋が火に包まれているのを、助っ人のロボット達と共に眺めているDEX 。
高く燃え上がる炎に、身体が照らされている。
その表情は複雑。
倒したかも、っていう疑問と、また立ち向かって来るのかも、という思いが頭の中で交差していた。
全ては終わってみるまで分からない。
ブォン。
道の向こうから聞こえる車の音。
飛行状態で柵を飛び越え、こちらに向かってやって来る。
車はそのままロボットごと、DEX に体当たりした。
もう一台来る。
DEX 達は吹き飛んだ。
二台の車は牧場に停車する。
降りて来た者達は小屋に向かい走った。
「マグ! バリー! クローン!」
メドゥーだ。
バリー達がこの道を走っていると連絡を受けた博士達が、合流しようと車を動かしていたのだ。
リングの位置情報で小屋に居る事を知った。
DEX が起きる。
「無駄ダ。中ノ奴ラハモウ……」
燃える小屋を呆然と見つめながら立ち尽くすマヤ、圭一、中島の横で、メドゥーが叫ぶ。
「それでも、俺は諦めない。最後まで!」
崩れた小屋の隙間から中に入ろうとする。
フィールズ博士に止められた。
「メド、何をする!」
「行かせて下さい博士! マグが……、弟が中に居るんです!」
「それは分かっている! わたしだって行きたい。だが今入ったら、お前まで燃えてしまうぞ!」
「メド、あれだべ!」
ジンが指を指す。
小屋の脇に、ホースが繋がったままの蛇口。
ホースの先端はシャワーヘッドになっていた。
これで水が出れば……。
出た。
満開にして水を小屋にかける。
「黙ッテ、見テイルト思ッタカ?」
メドゥー達の必死の様子を見て、やはり僅かな可能性があるかもしれないと不安に思ったか、ロボット達と一緒にDEX が構え、襲って来た。




