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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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逃走

 その爆発音を聞いた時、崖の上の三人はすぐ気付いた。

 DEX がヘリコプターのメカを光線で貫いて壊した音だと。

 別の車と思わせて飛ばした事がバレてしまったか。

 DEX が戻って来る。

 急いでこの場から逃げないと。

 モニターで確認した。

 やはりDEX は最初の車の方に足を進めていた。


 ピッ。


 DEXの目の色が変わる。

 バリー達の痕跡をサーチしているようだ。


「まずい……」


 崖の上から望遠レンズを通してDEXの姿を捉えた。

 まだ洞窟の位置には気付いていないようだが、この分だとすぐに把握するだろう。


「バリーサン……」

「ああ、行こう。クローン、走れるかい?」

「ハイ。何トカ」


 バリー、マグ、クローンは走り神殿への道の方へ。

 DEX は丸焦げでバラバラの車の側に戻って来た。


「アンナ、次々二罠ヲ用意シテ。オチョクラレテイルノカ? 許サナイ。絶対二、殺ス」


 サーチは続く。

 ついに洞窟の位置を見つけた。

 巨石をどかし中へ。

 入らなかった。


「騙サレルモノカ。中二居ルト見セカケテ、居ナイパターンダロウ」


 今までのバリー達の行動から学んだのか。


「イヤ、シカシ……」


 ん? 入り口で悩んでいる。

 即断出来ない。

 思考はメカというより人間に近いのか。

 優秀な自立型AIなのだろう。

 〈怒り〉の感情も備わっているみたいだし。


「居ナイト思ワセテ、ヤハリ中カ……? ン?」


 足跡を見つけた。

 崖を上った跡。

 DEX がニヤリと笑う。


「ソウイウ事カ」


 見つかった。

 バリー達は今、真っ直ぐな細い道に出た。

 息を切らし走る。

 一瞬、クローンが後ろを振り向いた。

 まだ、〈奴〉の姿は見えない。

 が、悪い予感がする。


「バリーサン。マグサン。モウ少シ急イダ方ガイイカモシレマセン」

「何か感じるのかい? クローン」

「マダDEXノ気配ハシマセンガ、敵ノ優レタ科学者ガ造ッタメカナラバ、私達ガ既二コノ道ヲ走ッテイル事二気付クノモ、ソウ遅クハ無イハズデス」

「……そうだね。でも……。はあ、はあ……」


 バリーは肩で息をしていた。

 道端の柵に寄りかかるように止まる。

 柵に囲まれる形で牧草地が残されていた。

 今は動物は居ないが、もともとは牧場だったのだろうか。

 柵も古く、あちこち良く見るとガタが来ている。

 牧草地の一部にも、焦げた様な穴が空いていた。


「……ちょっと、疲れ、た……」


 牧草地を見ながら、バリーが呟いた。

 さすがのマグも汗をかいている。


「自分も、です」


 クローンは二人の側に立つ。


「仕方アリマセンネ。少シ休憩シマショウ」


 とは言うものの、DEX が近づいている為、あまり時間は取れない。


「何処カ隠レラレソウナ場所ハ……。アノ穴、ハ無理デスカ」

「大丈夫だよクローン。はあ。少し休めば……」

「マア、無理ハイケマセンヨバリーサン。ア、アソコハ……」


 牧草地の穴の向こう、丸太小屋が見える。

 動物を入れておいた小屋だろう。


「アノ小屋ヲオ借リシマショウ。マグサン」

「分かった」


 マグはバリーを担ぐ様に小屋に連れて行く。

 暗くて藁の匂いがする。

 電気のスイッチを探した。

 パッと明るくなる。

 もぬけの殻。

 餌が入れられていたらしきトレーが残されている。


「藁ガアリマスネ。一応、消毒シマショウカ」


 ふかふかの藁に、消毒、消臭が出来る液体を垂らす。

 それが全体に広がって匂いが消えた。

 速乾効果もあり、すぐ座れる。


「それ、持っていたんだ」

「エエマグサン。匂イマデ消ス必要ハ無カッタカモシレマセンガ、何ガアルカ分カリマセンカラネ」

「だね」


 バリーを寝かせる。

 どうしたのか顔色が優れない。


「疲レガ出タノデショウカ?」

「かもしれないね。自分と違って、バリーは運動苦手だから」

「マグサンハ鍛エテイラッシャルヨウデスカラ」

「よう、じゃなくて鍛えてるの」

「ぼ、僕だって……」


 バリーが無理に起き上がろうとする。


「駄目ですよバリー。寝ていなきゃ」

「そ、そうじゃなくてマグ……。僕も……」

「はいはい。あなたが兄さんに教えてもらって、DEX 戦に向け徐々に鍛えていたのは知っています。けど今は、横になっていた方がいいですよ」


 フラッ。

 めまいだ。

 バリーの頭が揺れる。


「ほら、横になって。ここは自分達が見ています」

「バリーサン。神殿デ戦ッテ、私ノ身体マデ直シテ頂イテ疲レタノデショウ。ソノ分私ガアナタヲオ守リシマス」

「……」


 バリーは静かに寝た。

 二人の言う事を聞いて休む事に。

 藁の上は暖かい。

 クローンとマグも壁に背を任せる。


 ドンドン。


 小屋の扉を叩く音がした。









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