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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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落とし穴からの脱出

 メドゥーと中島は落ちない様、必死にナイフの柄に掴まりながら、声のした上の方を見上げた。

 スルスルってワイヤーが伸びて来る音がする。


(あの声は……)


 ジンと圭一だ。

 二人がぶら下がったワイヤーが今、目の前に下りて来た。


「二人とも、怪我は無いべ? にしても、なんちゅうカッコだべ」

「ジン! と圭一君。迎えに来てくれたのか?」

「はい! それにしても……。えっと、どういう状況なんですか……?」


 圭一とジンはメドゥー達の置かれた状況が理解出来ず、ほぼ同じ質問をして、困惑した表情になる。

 中島が言った。


「圭一~。何でもいいから、早く助けてくれ~!」


 集中しないと落ちそうだ。

 バランスが難しく、足が震えているのが分かる。

 ジンがそれを見抜いてくれた。


「と、とにかく、このワイヤーに手を伸ばすべ」

「伸ばせ、って言われても……」

「中島、だったらこうする」


 圭一はワイヤーを揺らした。

 振り幅がだんだん大きくなる。


「タイミング良くこっちへ!」

「お、おう」


 ワイヤーが最大に中島の位置に近づいた所で、


「よっ」


 中島はワイヤーを掴んだ。

 一瞬滑って手を離しかけたものの、ジンがフォローする。


「中島君、そのワイヤーの輪っかに手を突っ込んで安定させるべ!」

「はっ、はい!」


 これであとメドゥー一人。

 メドゥーは中島が足場にしていたナイフを抜いた。


「メド、行くべ」

「ああ」


 メドゥーは器用に自分が握っていたナイフを抜きながらワイヤーも掴んだ。

 片手でナイフをしまう。


「ジン。悪い。もう一本あるんだ」

「分かったべ。DEX戦には貴重な武器だべな。忘れずに持って行くべ」


 ロープごと引っ張る。

 これで四人、ワイヤーにぶら下がった。

 ジンが何かを思い出す。


「あ、博士に連絡するの、忘れてたべ」

「連絡って、この状態でですか?」

「だべ中島君。メド、ボタン頼むべ」

「はいよ」


 ワイヤーが上昇して行く。

 が、四人も乗っているからか、スピードが遅くなっている。

 その間でもジンは落ち着いて博士と通信していた。


「……博士、おいらだべ。無事にメド達を発見したべ。今ロープで上昇中」

「……そうか。無事でほっとしたぞ。こちらもメンバーのみんなが引き上げてくれてな、今地上なんだ」

「メンバーのみんな?」

「うむ。マグが車を発進させた後、DEX の攻撃を避けるように隠れていたらしい。落とし穴に落とされたのは、わたし達だけだ」

「……それは、何と言うか、複雑な気分だべ」

「……そうだな。しかし逆にわたしは、落とされたのがわたし達だけで良かったと思っているよ。レジスタンスのメンバー全員が、危険な目にあったのではないからね」

「そう、だべな」

「そう。だから早く上がって、喜びを分かち合おうではないか」

「だべな!」


 ビッ。ビッ。ビッ。


 ワイヤーのスピードは遅いけど、確実に上に向かって進んでいる。

 圭一が気づいた。


「ジンさん、あそこって」

「ん? 着いたべか?」


 圭一とマヤが落ちた足場。

 博士とマヤがここで待っていたはずだが、レジスタンスの他の仲間に助けられ、今は姿が見えない。

 フックが刺さっている。

 よじ登った。

 やっと安定した所に足をつける。


「ふう」


 中島はペタンと地べたに座る。


「中島、どうしたの?」

「ああ圭一。ずっとバランスの悪い所に立ってて、やっと落ち着いたって感じなんだ」

「そういえば、変なとこに乗ってたもんね。えっと、あれ、ナイフ?」

「ああ、そうだよ」


 中島は圭一とジンが疑問に思ってた事を説明する。


「凄い! メドゥーさんが飛び上がってナイフを刺したんだ」

「さすがはメドだべ。おいら達が来るまで、そんな芸当を披露していたなんて」

「はは、まあな」


 照れるメドゥーと対照的に、中島は少し拗ねた様だった。


「……何だよ。俺だって」


 ぶつぶつ言いながら視線を落とす。


「でも、中島も凄いよ」


 そんな親友に圭一は声をかけた。


「ほぼ直角の壁を登って、ナイフの上でバランス取るなんて。しかも、明かりの少ない所で」

「いや、メドゥーさんのライトの明かりがあったけどな」

「それでも凄いよ! さすが中島」

「あ、ありがとな」


 そんな笑顔で言われると、恥ずかしくなってしまう。


「んで、ここからどうやって脱出するんだ?」


 メドゥーが天井の穴から差し込む光を浴びながら呟いた。

 圭一とマヤがこの足場に落ちた瞬間は曇りだったのに、いつの間にか太陽が登っていた。


「そうですよね。博士とマヤは他のレジスタンスのお仲間の方達に助けられたんでしょ? 忘れてるんですかね」

「忘れてるって……。いやいや圭一君、そんな事は」

「その通りだ」


 フィールズ博士が穴の外から顔を出す。

 隣にはマヤも居た。


「済まない。わたし達が脱出用に使った梯子が壊れてしまってな。修理していたんだ」

「今下ろすから待ってて、圭一」


 ビー---ッ。


 金属製の梯子が降りて来る。

 自動的に長さを調節して。


 ガチャン。


 固定された。

 これでやっと穴の中から抜け出せる。

 圭一達は梯子を上った。








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