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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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散り散りのメンバー

 一体、何処まで落ちたのだろう。

 鳥のさえずりも風の音も木々のざわめきも聞こえない、暗く静かな穴の中。

 偶然にも出っ張っていた地面の上で、圭一とマヤは目を覚ます。


「け、圭一……」

「マヤ……」


 起き上がって二人は辺りを見回す。

 マヤがリングの明かりを点けた。

 地上は?

 どうやら天気は曇っている。

 太陽は曇に隠れてしまったよう。

 が推測すると四、五メートル近く落とされた感じ。


「マヤ、怪我は?」

「DEX にやられた傷はドクターに視てもらってほぼ痛みは消えたわ。落ちた衝撃で軽く擦ったみたいだけど。ここに緑が生えていて良かった。下が固い岩とかだったら、私達、大怪我してたかも」

「そうだね。あの高さから落ちて生きてたのは、運が良かったのかな?」

「選ばれし者の奇跡かもよ」

「そ、そんな。僕はただの人間だよ」

「フフッ。あら?」


 下から声が聞こえる。

 リングの光で照らして見ると、同じように足場に立って手を振っている人達の姿が見えた。


「あ、あれは……」


 フィールズ博士だ。

 それとジンも。


「お~い。圭一君、無事か~?」


 フィールズ博士の声に圭一達も笑顔で応える。

 斜め下の足場からフック付きの丈夫なワイヤーらしき物が投げられる。

 フックが地面に刺さった。

 確認した後博士とジンはワイヤーの先端を手で握り、ボタンを押す。

 何とワイヤーが縮まり、博士達がぶら下がった状態で上に上がって来る。

 圭一やマヤと合流した。

 素手で握っても安全なワイヤーらしい。


「博士、ジンさん!」

「圭一君、マヤ。無事で何よりだ。まさかDEX に落とし穴に落とされるとは、思ってもみなかったがね」

「そうですね」

「けど、問題はメド達だべ。おいら達、あそこで必死に呼びかけたんだけど、気配どころか、声さえも全く聞こえなかったべ」


 ジンが少し青ざめた顔で話す。


「ジンさん、リングに話しかけた?」

「ん? いや。リングでは通話しなかったべ」


 マヤの指摘にジンは、あ、そうかという表情になる。

 しっかり者のジンでも、落とし穴に落とされ、仲間達とも離ればなれになってパニックになったのだろう。


「ジン。リングでメドに通話してみてくれ」

「分かったべ、博士」


 ジンが手首のリングに向かい呼びかける。

 が、反応は無い。


「駄目だべ、博士」

「う、うむ」

「中島……」


 圭一が行方不明の親友を心配してうつむく。

 フィールズ博士がそんな圭一の肩に手をかけた。


「圭一君、きっと大丈夫だ。二人は生きている。わたし達がきっと見つける」

「は、はい……」


 お願いしますという風に、圭一は博士達を見た。

 ジンがもう一度手首のリングのモニターを見た。

 指先でピッと操作する。


「博士、今メドのリングの位置情報を調べたべ。それによると、二人はこの穴のさらに深くまで落ちてしまったようだべ」

「それは、だいたい何メートルくらいだ?」

「う~ん、六、いや七メートルだべか」

「そんな……」


 その深さを聞いて、マヤも泣きそうになってしまった。


「無事でいてくれればいいべな」


 ジンも不安は隠せない。

 フィールズ博士が一度片付けたフック付きのワイヤーを足場の下に向かって降ろす。


「ここで議論していても仕方がない。ここは何とかこのワイヤーで下に降りて、二人を救出しようではないか」


 圭一、マヤ、ジンが顔を上げる。

 同時に頷いた。


「博士のおっしゃる通りだべ。こんな所で待っていたって、いつまで経ってもメド達の様子は分からないべ。圭一君、おいらと一緒に下に降りてくれるべな?」

「はい。ジンさん」

「博士とマヤはここで待っているんだべ。大丈夫だべ。必ずメドと中島君を見つけて帰って来るべ」

「二人とも……」

「ん?」

「気をつけて」


 マヤのその言葉に背中を押される様に、圭一とジンは笑った。


「それじゃ、博士」

「うむ。もしメド達を見つけたら、連絡してくれ」

「分かったべ」


 ジンは圭一にワイヤーを手に巻き付ける様に、しっかり握るように言うと、リングのライトを下向きにして穴の奥を照らした。


「よし、行くべ」

「はい」


 ボタンを押す。

 ワイヤーが伸び、二人は降下して行った。

 マヤは祈る様な気持ちで見つめていた。


(……圭一、どうか、無事で。そして、早く二人を連れて帰って来てね)


 揺れるワイヤーの先で、ライトの明かりが光っていた。





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